戦線①
賊狩りで経験を積んだアカツキ隊は、防衛網の一角へと配属された。
配属されたと言っても、ギヨウ達は遊撃部隊として配属されたため、自由に戦う事が許されていた。
アカツキ隊は、その小さい一角ではあるのだが、そこで知らぬものがいないほど活躍をしていた。
そして今日も、アカツキ隊は戦っていた。
「いくぞ!アカツキ隊、突撃だ!」
ギヨウは先頭で騎馬を駆り、敵の部隊へと突っ込む。
リーグカルの部隊に少し騎馬兵を足して、シルルとリーグカル、それぞれに百の騎馬隊を作った。
「くそっ!なんだこいつら!強すぎるぞ!後ろへ引くぞ!」
リーグカルの部隊は正規の部隊であったため強く、更にギヨウが先頭で敵を蹴散らすものだから、戦えばたいていの敵はすぐに引くのである。
「ジガーソ隊長!後ろに、敵兵が!」
「なにい!いったいどこから……」
しかし、そこには森を素早く切り抜けて来たミュエネの歩兵部隊が現れる。
「どうすれば良いのですか?ジガーソ隊長!」
「くっ……せめて敵大将の首を取るぞ!私に続け!」
挟まれた敵が取る行動は様々であるが、負けを悟り、無謀にもギヨウへと向かってくる敵将も多かった。
ギヨウは部隊から突出しており、敵将は簡単にギヨウへと肉薄してしまう。
「その首、もらった!」
「ふんっ!」
しかしギヨウは、向かってくる敵将を一刀の元に斬り伏せてしまう。
そして、敵将を失った敵部隊は、アカツキ隊に簡単にやられてしまうのである。
これが、ローゼオロメメアが考え出した必勝の策であった。
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夜になると、アカツキ隊は味方陣の近くへと戻り、野営を始める。
「今日も勝ったなぁ!」
「いやぁ、優秀な軍師がいるとやっぱり違うな。ギヨウについて行くんじゃ命がいくつあっても足りねえからな」
シンザとダククガが酒を飲んで調子づいてそんな事を言う。
「どういう意味だこら」
その二人の頭をギヨウは抱え込む。
「で、でも!隊長も凄いです。相手の大将をあんなにあっさり倒すなんて」
そう言ったのは、同じ焚火を囲んで、酒を飲んでいた少年である。
「おう、よくわかってるじゃねえか、ゼン」
デサと呼ばれた少年は、先日の募兵で入って来たリーグカルの甥である。
とても戦いに向いているとは思えないあどけない顔つきで、実際にあまり戦いは得意ではない。
それでも、彼は国を守るために立ち上がったのである。
「隊長が敵を切る度に、俺達もやってやるって気分になるんだよなぁ」
そう言ったのも、先日の募兵で入って来たイズエラである。
イズエラは、槍上手であるため騎兵に配置したのだが、逆に馬の扱いは苦手でよく転げ落ちている。それでも、すぐに態勢を立て直して、敵を倒すのだ。
その言葉に、シタダイルの頃からギヨウと共に戦っている、ユモンザやジャラハクガも頷いた。
「あまり褒めるな、調子に乗るぞ」
更に、ダンレンとイイルダも話に加わって来る。
「本当だよ。せっかく後ろで待ってたのにさ。強い奴は隊長に取られちまうんだ」
ギラグの戦士レシヘストは、少しずれた文句をつける。
「大人気ね」
仲間に囲まれるギヨウの隣で、ミュエネは小さい声で呟いた。
「別に嬉しかねえよ」
ギヨウが照れ隠しに言うが、
「嬉しいくせにな」
シルルはそれを見破ってしまう。
「なんにせよ、部隊の空気が良いのはいいことだ」
ローゼオロメメアが言うが、彼女の様子にギヨウは文句を言う。
「あっ!お前!」
彼女は上質な椅子に座り、その隣には何人かが待機していて、彼女の持つ杯に飲み物を注いだり、食べ物を持ってきたりしていた。
(俺より良い待遇じゃねえか)
怒るのを通り越して、呆れるほどである。
「お前ら、あんまり甘やかすなよ」
だが、ローゼオロメメアが部隊に認められているのはいい事なので、怒る事はしなかった。
それからも、夜の宴は続く。
新しい仲間とも打ち解け、アカツキ隊は、より強固な部隊へとなったのである。




