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アカツキ隊正式結成①

 戦が終わると、ギヨウは一度家へ戻ったが、ゼルバに呼び出されてすぐにゼルバの元へと向かった。


「まずは勝利したことは、おめでとうと言っておきましょう」


 ゼルバは素直に褒めたが、ギヨウはそれを素直に受け取ることは出来なかった。


「いや、相手は負ける気で来てたんだろ。それに命令違反だってしちまったし」

「命令違反ですか?」

「ああ、持ち場を離れちまった」

「なるほど」


 ゼルバからすれば、ギヨウが大人しく従っている方が不思議なくらいである。


「まあ、いいんじゃないのでしょうか?」


 だからというわけではないが、ゼルバはあっけらかんとそう言った。


「ゼルバ様、よしてください。そんなこと言うと、こいつがつけあがります」


 シルルが珍しくゼルバの言葉に反論する。


「いえ、確かに戦場を勝手に動かれては困りますが、ギヨウのように野生の勘で動く部隊はあった方がいいと私は思いますよ。思わぬ戦果を挙げることがありますからね」

「ふふっ」


 ゼルバの言いように、ミュエネが笑う。

 ギヨウが野生と言うところが面白かったからである。

 そしてギヨウも、褒められたわけではあるが、野生と言われては素直に喜べなかった。


「とはいえ、好き勝手に動いて、毎回上手く行くわけではありません。シルルはむしろギヨウに喜んでついて行きそうですしね」

「うっ……」


 まるで見透かしたようなゼルバが言う

 そして、実際にそうだったのだからシルルは痛い所を突かれたという反応をしてしまう。

 その反応を見て、ゼルバは予想が当たったとして、やれやれと首を振った。


「そこで、アカツキ隊に軍師を紹介しようとずっと思っていたのですが……彼女はとても気難しくて、中々首を縦に振ってくれませんでした。ですが長い説得の末、やっと首を縦に振ってくれました」

「本当か?」


 ギヨウからすればよくわからない人間ではあるのだが、ゼルバの紹介とあればギヨウも信用できる人間となる。

 だから、ギヨウは軍師の参入には肯定的であり、期待もしていた。


「しかし、一つ条件を出されてしまいました。それは、当たり前の事ではあるのですが……」

「なんだよ?」

「しっかりとした部隊を作れという事です」


(そりゃそうなるよな……)


 ギヨウ達のアカツキ隊は、現状は現地で寄せ集めた部隊となっている。

 リーグカルの部隊が加わったとはいえ、アカツキ隊の仲間と呼べる人数は150人程度であった。


「つまり、ちゃんとした五百兵隊を作れって事だな」

「そうですね。それと、先ほどの話に戻りますが、私はあなたに期待するのは型にはまらない戦いです。今、軍の再編成がありますので、あなたの部隊を遊撃隊としたいと思っています」

「おお!いいじゃねえか!」


 ギヨウは喜び、椅子から立ち上がる。


「落ち着いてください。問題もあります。あなたの部隊は農兵も多いですね?」

「そうだな」

「農兵には、農業をやめて、兵士に専念してもらうことになります」

「それが、正式な隊になるってことか……」

「正式な隊の条件と言うわけではありませんが、これからの戦いは激しくなります。アカツキ隊には戦に専念してもらいたいのです」


(俺はいいけど、シンザ達はどうだろうな……)


 シンザとダククガは二人兄弟である。

 奉公人はいるが、その二人が農業をやらなくなって大丈夫かは、ギヨウにはわからなかった。


「わかった。仲間にはそう伝えとくよ」


 だが、だからと言って断るわけにはいかない。


「でも、そんなに簡単に五百人も集まるかしら?」


 ミュエネが聞く。

 前にも、似たような話をして、シルルが難しいと言ったはずである。


「むしろ、多く集まり過ぎてしまうと思いますよ」

「え?」


 ゼルバの意外な言葉に、ギヨウ達は驚いた。


「軍の再編成であぶれる人が出てくるでしょうからね。それに、そろそろエルエ国とフェズ国の戦いの話を聞いて、各国から浪人が集まって来る頃でしょう」

「なるほど」


 あまりにも理にかなっている話であり、ギヨウは感心するしかなかった。


「だから、私がフェズ国内に募集の紙を発行しておきましょう」

「えっ!いいのかよ?」

「構いませんよ。私はこれからたくさんの書類をフェズ国中に流布しないといけません。なので、ついでですよ」

「助かるぜ!」


 ゼルバは、それもあって、集まり過ぎると言っているのであった。


「ちゃんと、ならず者募集、と書いておきますよ。ハハハッ」


 ゼルバは上機嫌に笑う。

 ゼルバとて楽しみなのだ、アカツキ隊が一体どんな部隊になっていくのかが。


「ならず者って……まあいいか」


 ギヨウはミュエネの方を見る。

 それに対して、ミュエネは何故見られたのかわからずに、美しい顔で小首を傾げた。

 アカツキ隊は、元々ならず者の集まりである。その筆頭がミュエネであるのだが、自覚はないらしい。つまり、ならず者の募集は今更である。


「さて、というわけで、すみませんが私は忙しいのです。アカツキ隊の募集の日はあとで決まったら連絡をします。場所は……ギヨウの家の裏でいいですね?広い荒野ですし」

「ああ、ありがとうよ」

「いえ、新しいアカツキ隊。楽しみに待っていますよ」

「ああ!」


 そして、ギヨウ達は家に帰り、その日を待つのだった。

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