二人の知将⑥
戦場へと着き、戦陣を設営したフェズ国ではあったが、多くの者には関係がなかった。
結局、ギヨウ達は野宿である。
本陣を築き、改めて味方の列を作り直しただけである。
しかし、ギヨウはそんな事よりも、目の前に広がる光景に戸惑うばかりであった。
ギヨウ達の目の前には、森が広がっていたのである。
更に、その森の先には渓谷があるのだ。
「こ、ここが本当に国なのか?」
しかし、見える範囲には人が住んでいるようなところは目に映らず、ただ広大な大自然が広がっているという感じである。
「でも、森に入る道は何本かあるぜ」
シンザが言った。
遠目ではわかりづらいが、よく見ると確かに森へと入る道がある。
「あそこから進軍していけばいいって事か?」
森は広く横に広がっており、騎馬でも回り込むのは日にちがかかりそうである。
そうなると、人が通れそうな道を通って進軍していくのは仕方のない事と言える。
「あんなにわかりやすい道、罠にしか見えないわね」
ミュエネが冷静に分析する。
「でも、森に入るのはもっと危険だろ?」
「そうね」
誰よりも森に詳しいミュエネが言うと、説得力がある。
「まあ、僕達が考えても仕方のない事さ。どこから進軍するかは、上の人間が決めるのだからね」
そして、ジェスが最後にそう締めた。
「よくわかってるじゃないか、そういうことだ」
「うお!」
それに答えた人物に、ギヨウは驚く。
「シルルじゃねぇか!」
行軍している間、一度も姿を見せなかったシルルが、いつの間にかギヨウの近くに来ていたのだ。
「会いに来ないから、もしかして来てないのかと思ったぜ」
「馬鹿、ただの百兵隊長のお前と違って、こっちは忙しいんだ。それに、なんで私が会いに来る前提なんだ」
「でも、会いに来たじゃないか」
まさに揚げ足取りであり、シルルは普通に怒る。
「用があるから来たんだよ!ゼルバ様がお呼びだ。ギヨウ」
シルルはそう言うと、さっさと歩きだしてしまった。
「ああ。ジェス!部隊を頼む!」
「お任せあれ、隊長殿」
ジェスが芝居のかかった動きをしながら、ギヨウの命令を聞いた。
それを確認したギヨウは、急いでシルルの後を追うのだった。




