二人の知将④
そしてギヨウは、ミュエネとシンザ、ダククガを連れて、ハフメイという街へとやって来ていた。
今回は、防衛戦のように集まった場所が戦場になるわけではない。
この街に兵を集め、エルエ国へと攻め込むのだ。
そこで、ギヨウは百兵隊長として、兵の募集をしていた。
「こんな部隊に人が集まるんだろうか?」
シンザが呟く。
まだ、集まった人数は四人である。
言うまでもなく、ギヨウ、ミュエネ、シンザ、ダククガである。
「部隊長がギヨウじゃなぁ」
ダククガかギヨウの方を見て言った。
別に変な意味ではなく、ギヨウがまだ若いからである。
無名の、子供の部隊長の元へ集まる兵はい少ないだろう。
「どういう意味だよ!」
ギヨウは言うが、実際に募兵を始めてそれなりの時間が経ったが、誰も来ていなかった。
「ミュエネが立ってれば、人は集まるんだろうが……」
シンザがミュエネを見る。
ミュエネは、目立たない様に外套を被って隠れるようにして座っていた。
「変な奴が来ても困るでしょう」
美しい女を目当てに来るような奴に部隊にはいられても困るので、ミュエネが目立たない様にしているのだ。
「とはいえ、余りものでも困るんだけどな……」
そんな事を話しているギヨウ達の元へ、一人の男が訪れる。
その男は、高価そうな甲冑を着た男であった。
「やあ、副官の席は空いているよね?」
ジェスルリイドである。
「ああ、空いてるぜ」
ギヨウは喜んでジェスを受け入れた。
「お、いたいた。探したぜ」
更に、三人の男がギヨウの元へと辿り着く。
かつて、シタダイルで一緒に戦った、ダンレンとイイルダともう一人、
「よう、久しぶりだな。こいつは俺の親戚のボズルだ。ヨライの町一番の力持ちなんだぜ。仲間に入れてやってくれ」
ボズルは、力持ちの名に恥じない程の巨体であった。その身長は2メートルにも及ぶほどである。
「でけえな。頼もしいよ、よろしくなボズル」
「ダンレンから話は聞いてるよ。まだ若いけど、凄い強いんだってな。よろしく」
互いに握手を交わしたが、小柄なギヨウとボズルでは、手の大きさは二倍ほどの差があった。
「おお、あんた!百兵隊長になったんだな!」
更に待っていると、シタダイルで撤退時に一緒になった兵達が、ギヨウの元へとぞくぞくと集まって来た。
「なんだあそこ」
「ガキが隊長なんてやばそうだと思って避けたけどよ」
「もしかして有名な奴なのか」
その様子に、周囲は驚きざわめいた。
「99、100、だね」
ジェスが一人一人数えて行き、百人の兵士が集まったことを確認する。
「集まったか!」
ギヨウが嬉しそうに言った。
ここに、ギヨウの百兵隊が完成したのである。
その部隊に、一人の男が近づいてきて、後ろからギヨウへと声をかけた。
「すまない」
「ああ、悪いんだけど、うちの部隊は今埋まった――ん?」
ギヨウは振り向いて、その男を見て困惑する。
その男に見覚えはないが、着ている鎧が立派だったからだ。とても部隊に入りに来たようには見えない。
「久しぶり……と言っても、覚えてないかな」
「すまねえ、誰だ?」
ギヨウには全く覚えがない。
「シタダイルで、君が援軍に来てくれた丘の五百兵隊長だった者だ」
「え!じゃあ、あんたが俺を百兵隊長にしてくれ人か?」
「そうだね。でも、今日は改めてお礼を言いに来たんだ。あの時は逃げるのに必死だったし、途中で別れてしまったからね」
「いや、俺もおかげで百兵隊長になれたし、お互い逃げ延びれたんならいいじゃねえか。えーと……」
相手の名前がわからず、ギヨウは言い淀む。
「リーカグルだ」
それに気づき、相手はすぐさま名乗った。
「よろしく、リーカグル」
「よろしく、ギヨウ」
二人は握手を交わす。
「実は、私の部隊に君の百兵隊を入れようと思ったんだが、駄目だと言われたよ」
「え?なんでだ?」
「それは、私が聞きたいよ。心当たりはあるのかい?」
「ないな」
「まあ、別の場所になってしまったようだが、一緒に頑張ろう」
「ああ!」
そんなやりとりをして、リーカグルは去って行った。




