エルエ国滅亡の日④
ゼルバとギヨウは、一度アカツキ隊へと戻ると、シルルやミュエネ、イズエラ達、三十名の精鋭を連れて、ある場所へと向かう。
「どこに行くの?」
道中で、ミュエネがギヨウへと聞くが、ギヨウもそれは聞かされていない。
結局ゼルバに聞いても、「当ててみてください」としか言わないのだ。
(意外とゼルバってそういうところあるよな……)
いつでも冷静沈着であり、歳を感じさせないほどの落ち着きを見せるゼルバではあるが、たまに子供っぽいことをするのである。
「俺も知らねえよ。当ててみろってさ……シルルわかるか?」
「ああ」
「だよな……って、わかるのか?」
絶対に分からないと思っていたので、ギヨウは驚いた。
「多分だが、予想はつく」
「まじか……イズエラは?」
ギヨウはイズエラに聞くが、
「話しかけないでくれ、馬から落ちそうだ」
イズエラは、馬の上でグラグラと体を揺らしていた。
「歩かせてるだけだろ……ミュエネ、教えてやれよ」
その様子に、ギヨウは呆れるしかなかった。
「教えたんだけど、駄目だったのよ」
ミュエネも呆れたように首を振る。
「ははは、では私が教えましょうか?」
ゼルバが会話に混ざって来て、イズエラは焦る。
「え!ゼルバ様が!?そ、そんな恐れ多いです。あっ!」
その結果として、イズエラは落馬してしまったのだ。
「これはすいません。驚かすつもりはなかったのですが……」
「いいんだよ。こいつ、なにもなくても、よく落馬するんだ」
「「「はははっ!」」」
一向は和気あいあいと馬を歩かせていく。
その向かう先は、城から離れていく方角であり、そこには森があったのだ。
♦
ギヨウ達は、馬を歩かせ続けた。
その時間は、かなり長い時間である。
といっても、数時間程度であるが。
森の中を歩き続け、そこを見つけたのだ。
「ここは?」
「廃村……だな」
それは、小さな廃村であった。
廃村自体特に珍しいものではなく、森の中にあることだって妙ではない。
つまり、普通の廃村であったのだ、
「ここがなんだってんだよ?」
ボロボロになった家の壁を触りながら、ギヨウが聞く。
軽く触っただけで、家の壁の木は剥がれ落ちた。長く使われていない証拠である。
「こちらです。馬は降りてきてください」
ギヨウ達は言われた通りに馬から降りると、ゼルバに続いて廃村を歩いて行く。
ゼルバは迷いなく歩いて行くと、一つの家へと辿り着く。どちらかと言うと、はずれにある家だ。
その家へと、やはりゼルバは迷わずにはいる。
ギヨウ達もその後ろに続いた。
中は、何の変哲もない家であるが、ギヨウは少し違和感を感じる。
「なんだ?物を動かしたのか?」
そしてギヨウは、それに気づいたのだ。
やけに物が偏っていたから。
「ですね。それで、物を動かされたここに、何があると思いますか?」
ゼルバは家のある部分を指さすが、そこには何もない。
「いや、なにもねえけど……」
そのため、ギヨウは素直にそう答えたのだ。
「皆がギヨウくらい馬鹿なら、騙せるのだろうけどな」
そう言って、シルルが前に出ると、急に床を踏みつけだした。
「ここだ」
そして、何かを見つけると、床を持ち上げたのだ。
木張りの床は、綺麗に持ち上がると、そこに階段が現れる。
「隠し通路か!」
そこまで見れば、ギヨウにだってわかる。
「そうだ。そして、ここがどこに繋がっているかわかるな?」
シルルの問いに、答えられないものは流石にいなかった。
「城に繋がってるってことだな?」
「そうです」
ギヨウの答えに、ゼルバが答えた。
「話は中に入ってからにしましょう。先は長いですよ」
ここまで来るのにも時間がかかったと言う事は、戻るのにも時間がかかると言う事である。
「え?今から行くんですか?夜になってしまいますよ?」
イズエラが心配そうに言った。
「我々は今から城に忍び込むのですよ。むしろ、夜になった方が良いくらいです」
「当たり前だろ!」
ゼルバが言い、ギヨウもそれに便乗した。
「お前も同じ事思っただろ」
「い、いや、そんなことないぞ。うん」
しかし、シルルに看破され照れて、顔を赤くしながら誤魔化した。
「「「はははっ!」」」
それはバレバレであり、仲間達には笑われたのだ。
「さて、行きますよ」
そして、ギヨウ達はその隠し通路へと入って行ったのだった。




