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女達の想い⑧

 ギヨウは驚いていた。

 それも、この三日間で最もである。

 あまりにも予想出来ない展開としか言いようがなかった。

 その為ギヨウは、寝返りを打って寝たふりをする。

 見なかった事にしようと思ったからではない。

 見なかった事にしたかったからである。


「寝たふりをしているのはわかっているぞ、私が見破れないとでも思ったか」


 しかし、ローゼオロメメアはてのひらを前に出しながら自信満々にそう言った。

 もちろんギヨウは、それも聞かなかったことにして無視をする。


「強情な奴だな」


 だが、ローゼオロメメアはそう言うと、当然のようにギヨウの寝所へと潜り込んできたのだ。


「いや、帰れよ」


 これには流石のギヨウも物申す。

 

「むっ……」


 ギヨウに言われ、ローゼオロメメアは寝所から出て行く。

 しかし、すぐにギヨウの正面へと回り込むと、寝所の中に入ってきたのだ。


 そのため、ミュエネやシルルとも同じように、ローゼオロメメアと近くで正面から向き合うような形になる。

 ミュエネやシルルと同様に、ローゼオロメメアも顔立ちはかなり整っている。

 だが、ローゼオロメメアを前にしても、ギヨウの心臓の鼓動が速くなることはなかった。


 ギヨウがそんな事を考えていると、ローゼオロメメアはギヨウの手を取ると、その手を動かそうとした。

 だが動かない。

 当たり前だ。ローゼオロメメアは非力だし、ギヨウは少しだが力を入れていたから。


「おい、力を抜け」


 ギヨウは少し迷ったが、手の力を抜いてやる事にする。

 すると、ローゼオロメメアは自分の腹へとギヨウの手を導く。

 ローゼオロメメアは、ミュエネ達と同様に、いつもとは違う露出の多い服を着ていた。恐らくジェスが仕立てた物だろう。


「どうだ?」


 ローゼオロメメアは得意気に言う。


「いや……どうもしないけど……」


 ギヨウの言葉に、ローゼオロメメアは不満そうな顔をする。


「むう……ギヨウは腹を触らせればいちころだと、ミュエネが言っていたのだが」

「いや、そもそも俺は別に腹を触るのが好きなわけじゃないぞ」


 そんな特殊な性癖は持っていない、そうギヨウは強く主張する。


「そうか。その割には、私の腹を熱心に触っているようだが?」


 ローゼオロメメアは鋭い指摘をする。

 実際に、ギヨウはローゼオロメメアの腹を、撫でたり、つまんだりしていた。

 

「いや、なんか、すべすべで、ぷにぷにだからつい……」


 ギヨウは、急いでローゼオロメメアの腹から手を離した。


「それで、私の何が駄目なのだ?」


 更に、ローゼオロメメアはそんな困る事を聞いてくる。


「どこって……」


 ギヨウは、ローゼオロメメアを見る。

 体の平らさは、シルルと変わらないかもしれない。だが、身長はシルルよりも低く、ギヨウから見ると子供にしか見えない。


 というのは置いといて、もっと大事な事があるとギヨウは考える。


「そもそも、俺の事そこまで好きでもないだろ」


 正直に言うと、ミュエネからもシルルからもある程度は好かれているという自覚はあった。

 ただ、ローゼオロメメアはギヨウに好意があっても、仲間としての好意だと思っていた。


「お前、それは酷いぞ……うぅ……」


 だが、何故だかローゼオロメメアは顔を覆って声を震わせる。

 泣いているようだった。


「私は確かに感情を出すのは苦手だが……私はこんなにもギヨウの事を想っているのに……ぐす……」

「あ……その……」


 それは意外な言葉であった。

 そして、泣き出してしまったローゼオロメメアを前に、ギヨウは戸惑うばかりである。


「確かに私は、子供のような容姿をしているかもしれないが……年齢はお前達そこまで変わらないのだし……」

「そりゃそうだけどさ……」


 ギヨウがたじたじなのを見て、ローゼオロメメアはここぞとばかりに攻勢をかける。


「私達、四人で暮らして来たじゃないか……私だけ除け者にする気なのか?酷いじゃないか!」

「いや……そういうつもりじゃ……」


 ギヨウはその言葉に、強く動揺してしまう。


「じゃあ、私も同じ扱い……してくれるよな?」

「あ、ああ……」


 動揺しているギヨウは、ついそう答えてしまったのだ。

 そしてローゼオロメメアは、ギヨウにバレない様に顔を隠しながらニヤリと笑ったのだった。

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