女達の想い⑦
朝になる。
横で裸で眠る女に、寝所の横に散乱した服。
昨日と同じ光景である。
ただ、眠っている女がシルルでさえなければ。
ギヨウは頭を押さえて少し悩む。
「まあ、これでよかったのかもな……」
しかし、すぐにそう結論付けた。
シルルも、ミュエネも、大切な家族である。
どちらか片方を選べと言われても、到底選ぶことなど出来るはずもないのだ。
丸く収まっただけ良い。
ギヨウはそう考える事にした。
考えを纏めると、シルルに布団をかけ、ギヨウは立ち上がる。
そして、おもむろにぐちゃぐちゃとなった服を集めていると、部屋の扉が開いた。
入ってきたのはミュエネである。
「ギヨウ、そろそろお腹空いたんだけど」
やはりミュエネは平然としており、
「ああ、今作るよ」
ギヨウも慣れたもので、平然と返したのだった。
すると、ミュエネは部屋を出て、一階へと降りて言ったのだが、
「ん、んん……」
やはり、シルルが起きてしまう。
「おう、起きたか。おはよう」
そして平然と挨拶をしたのだが、
「ん……おは……あ!み、見るな!」
「いてっ!」
シルルは自分が裸である事に気が付くと、平常心をなくして顔を真っ赤にし、ギヨウを蹴り飛ばしたのだった。
♦
それからギヨウが朝食を作ると、いつも通り朝食を四人で取った。
「その……悪かったな」
「いや、別にいいよ」
流石のシルルも理不尽な事をしたと認識しており、ギヨウへと謝ったのだった。
朝食を取り終えると、昨日とは違い、何故かシルルがギヨウへとついて回る。
ギヨウに密着して回っていたミュエネとは違い、シルルはいつも通りの、近いけど少し離れている。そんな距離でギヨウの後ろを歩いていた。
「ん?おう、隊長。昨日は静かだったな」
「おかげでよく眠れたよ」
「ははは!」
そんなギヨウを、隊員がからかう。
「そりゃあなぁ」
ギヨウは頭を掻きながら、シルルの方を少し見る。
「お、おい、馬鹿」
ギヨウは意識してやったわけではないが、シルルの言葉も悪かった。
その反応に、隊員たちはギョッとした驚き、何があったのかを察してしまう。
「え……」
「まじかよ……」
「二日続けて?」
「俺達のシルル副長が……」
多くの者は心に衝撃を受けたようで、とぼとぼとどこかへと歩いて行った。噂が広がるのは明らかである。
しかし、それを止める事が出来るわけもなく、諦めてギヨウ達は川に洗濯をしに言ったのだ。
「おい」
そして、ギヨウが洗濯をしていると、シルルが声をかけてきた。
「私のは自分でやる」
「え……」
ギヨウは驚く。
いつも家事はギヨウに任せきりだからである。
流石のシルルも恥ずかしかったのかもしれない。
「これからは、こう言う事もやらなければいけないからな」
それだけではなく、何か思うところもあるようであった。
「ああ、頼むよ」
シルルは、慣れない手つきで洗濯を始める。
それを、ギヨウは後ろから微笑んで眺めているのだった。
♦
夕食を終えて部屋へと戻ると、ミュエネも付いてきたので三人となる。
なんだかギヨウは、三人で部屋にいるのは久しぶりに感じた。
もちろん、久しぶりという事はないのだが。
妻が二人いると言うのは、この世界ではそれほど変な事ではないのかもしれない。
だからギヨウは、二人を受け入れ、三人の家族で生きていく。
それもいいものなのだと思ったのだ。
「じゃあ、ギヨウ」
「私達は少し……ね」
しかし、何故か夜になるとシルルとミュエネはどこかへと行ってしまった。
「は?」
一人取り残されたギヨウは、口を開けたまま二人が出て行くのを見るしかなかった。
「ん、んん?」
ギヨウは少し考えて、すぐに結論に辿りつく。
着替えにでも行ったのだろうと。
「じゃあ、待ってるか」
ギヨウは、寝所に入って待つことにした。
そして、しばらくして部屋の扉が開く。
シルルとミュエネが戻ってきたのだろうと、扉の方を見て、ギヨウは愕然とした。
「おい、ギヨウ。起きているな?」
入ってきたのは、ローゼオロメメアだったのだから。




