女達の想い④
ギヨウは凄く困惑していた。
まず、部屋へと一番に戻ってきたのがミュエネであったことである。
シルルが話を聞きに行ったのだから、シルルが先に戻って来て、ギヨウに状況を伝えてくれると思っていたのだ。
そして、更にミュエネの恰好である。
ミュエネは、いつも森の民の衣装を着ている。
そのため、露出が多い服を着ているのだが、今ミュエネはいつもとは違う服を着ているのであった。
ただ、その衣装が妙に布が薄く、ひらひらとした衣装なのである。
元々色気の強いミュエネが、いつも以上に扇情的な状態になっていたのだ。
明らかにいつもと様子が違うミュエネに、ギヨウは強く困惑したのである。
そこでギヨウが取った行動は――寝たふりだった。
ミュエネの姿を確認した直後に、寝返りを打つふりをして、ギヨウは後ろを向いたのである。
「起きてるんでしょう?」
そうしてギヨウは、少しの間寝たふりをしていた。
だが、ミュエネの声が近づいてくる。
いや、それどころではない。
息遣いが聞こえる程近くまでミュエネは来ているのだ。
そして、ギヨウにとって驚くべきことが起こる。
布団がめくられ、ミュエネがギヨウの寝所へと侵入してきたのである。
少し涼しい夜ではあるが、ミュエネの体はギヨウに密着し、服越しに熱い位の熱を感じる。
確かに、戦場ではミュエネは、ギヨウの馬の後ろに乗るため、これくらい密着しているのかもしれない。
だが、それとはまるで違うのである。
戦場で密着するのと、夜に寝所で密着するのはまるで違うのである。
そのため、ギヨウの心臓は驚くほど速く鼓動し、ばくばくという音が聞こえるのではないかと思う程であった。
しかし、ギヨウは気付く、それはミュエネも同じだと言う事に。
ミュエネの心臓の鼓動も速く、体を密着させているギヨウは、その大きな胸越しにそれを感じ取ることが出来たのだ。
「ねえ……」
ミュエネが耳元で囁く。
これも、戦場ではよくあることである。
しかし、これもまるで違のだ。
「あ、ああ」
いい加減、寝たふりをするのも限界で、ギヨウは返事をしてしまう。
「その、なんだ……どうしたんだ?」
ギヨウは、極力普通のふりをして問いかける。
すると、何故かミュエネはギヨウの背中を後ろから拳で軽く何回も叩く。
「わからないわけじゃないでしょう?」
しかし、すぐに身を寄せ直すと、ギヨウの手に自分の手を絡ませながら、再び耳元で囁く。
いかにギヨウとて、今この状況で、それが何を意味するのかわからないわけではない。
「いや……その……急で……」
ギヨウからすれば、そうとしか言いようがないのだ。
何故、急にこんな展開になっているのかもわからない。
「今回捕まって思ったの。今回は何もなかったけど、普通ならそういう事をされるって……」
戦場で女が捕まれば、されることは一つである。
「そうなる前に、せめて初めてはあなたに……って」
「あ、ああ」
耳元で囁くミュエネの声に、ギヨウはどう答えていいかわからず、生返事をしてしまう。
「ねえ、こっちを向いて」
ミュエネは、ギヨウが自分の方を向けるように、後ろからギヨウの手に絡ませている自分の手を離す。
ギヨウは少し迷ったが、ミュエネの方へと振り向いた。
部屋は暗いが、すぐ近くにあるミュエネの顔は良く見えた。
ギヨウが自分の方を向くと、ミュエネは再びギヨウの手を取って、自分のお腹へと導く。
そして、顔を近づけてギヨウに囁いたのだ。
「今日は、好きなだけお腹触っていいわよ……」




