エルエ国包囲網⑤
ベザ、フェズの合同軍は、驚くほっどあっけなく一つ目の障害となる巨大な城、セイルハ城を落城させた。
ギヨウからすれば、それは物足りないものであったが、ギヨウの想いなど関係なく、すぐさま軍は次の戦場へと進軍を始めるのであった。
そして、更に十日間もの行軍が行われた。
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「なぁ、次の戦場はまだなのか?」
消化不良のまま進軍するギヨウは、何度目かわからない言葉を言う。
「見えて来たぞ」
「全く、あとどれだけ歩けばい……え?」
いつもと同じ、「まだまだだ」という答えが返ってくると思っていたギヨウは、しっかりとした答えが返って来て驚く。
「あそこだ」
ローゼオロメメアが指さす先には、大きな城があった。
しかし――
「おお!って……」
その城、ネテゼン城からは、黒い煙があがっていたのだ。
「もう落ちているな」
ローゼオロメメアは、無情にもその言葉を口にした。
「なんでだよ!」
「我々がセイルハ城を落としている間に、先行した軍が落としたのだろう」
元が10万を超える大軍である。軍を半分に分けても、城を簡単に落とせるほどの戦力なのだ。
「仕方がないだろう。城が落ちてしまっていては戦う場所もない」
シルルの言う通りであるため、
「わかってるよ」
ギヨウは不貞腐れたようにそう言うしかなかったのである。
それから更に、長い行軍は続くのだった。
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その頃、二つ目の巨城であるネテゼン城が落ちた報せは、エルエ国王都ルトにも届いていた。
「急報です!ネテゼン場が落城したとの事です!」
それを聞いて、多くの臣下達がざわめいた。
「なんと!」
「いくらなんでも早すぎる」
「大丈夫じゃ、わしらにはエルエ王様と、ロヤ様がおる」
「おお!知の将ロヤ様の策があれば、勝てるはずだ」
その言葉をきっかけにして、その場の者の視線がロヤへと集まった。
「私は――フェズ国側からの防衛については、あまり口を出していません」
しかし、ロヤはそんな事を言ったのだ。
「な!なんですと!」
「何故でしょうか!」
それを聞いてしまっては、その場は更に騒がしくなるという者である。
「あちらには守の将ズェガェ様、それに武の将オグルブ様がおります。特に、ズェガェ将軍は、幾度となく守りで功を上げて来た歴戦の将です。何も問題はないでしょう」
ロヤは言うが、それでも心配する声は上がる。
「それはそうですが……」
「いくらなんでも兵力差があり過ぎでしょう」
「こちらは5万、あちらは11万。二倍以上です」
「それに、東からギラグの野蛮人共がこちらに向かっているという話もあります。あまりにもバラバラなので、数は把握できないようですが……」
それぞれがロヤへと助けを求めるように、次々に声を浴びせる。
それに対して、別の所から声が上がった。
「だが、やるしかあるまい」
それは、エルエ王の言葉であった。
焦る家臣達とは裏腹に、落ち着いた声である。
「もう奴等はすぐそこまで来ているのだ。戦って勝つ以外の方法はないのだ」
エルエ王の言葉に、家臣達は黙るしかなかった。
現エルエ王は、若き王である。他の王の候補を退け、王となった後に、戦乱の世を終わらせるために、全ての国を支配、統治すると決めた王である。
当然、その意見に反対した家臣は多かった。
そういった家臣は、あらゆる手を使って排除した後である。
つまり、今この場にいる者達は、全員、最後まで王について行くと決めた家臣しかいないのである。
なればこそ、王の言葉に反論する者などいないのである。
それが、どれだけ無茶な事であっても。
「だからこそ、戦が始まるまでに出来ることはやっておくのだ」
「「「はっ!」」」
エルエ王の言葉に、家臣達は心を一つにして頷いたのだった。
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それから数日後、ベザ、フェズ国の合同軍が、守の将の主城、タハルニオ城の近くへと到着する。
その城の前の平原には、既にエルエ国5万の兵が待ち受けていたのだ。
ベザ、フェズ軍は、戦を始める前に陣を築き、戦の準備を始める。
その、いち早く築かれた本陣の中に、今回の戦の重要な将軍が集まっていた。
当然、その中央にはゼルバとベザ王がいた。
「相手の兵は5万、こちらは11万にギラグ軍ですか」
ゼルバは実際に敵兵を目の前にして、その報告を聞いて、口に出して反復した。
「間違いがありません。我々の勝ちです」
そして、そう言い切った。




