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四国同盟⑥

 ゼルバ達一行は、ベザ国内へと入った後も数日間移動し続けた。


「この辺りからですかね」


 そして、ある場所でゼルバがそんなことを呟いた。

 そこは、何の変哲もない道の途中である。


「何がだよ?」


 何のことかわからず、ギヨウは尋ねる。


「それは、レシヘストに聞いた方がいいかと思います」

「あたしに聞かれても困るよ。あたしにだってわからないんだからさ」

「だから何がだよ!」


 相変わらずギヨウは置いてけぼりであり、思わず大きな声を上げてしまう。


「国境ですよ」

「え?」


 ギヨウは驚き、辺りを見回す。


「今、こんな何もないところが、と思いましたね」


 まさしくそうである。

 何の変哲もない道の途中であるのだから。


「ギラグ国は国境を守ることはないよ。というか国境を認識すらしていないからね」


 レシヘストが呆れたように言う。自分の国の事だからこそであろう。

 そして、ベザ国が国境に壁のようなものを作ろうとしても、ギラグ国には破壊されてしまうのである。


「なので、皆さん気を引き締めてください」

「「「はっ!」」」


 ゼルバが全員へと声をかける。

 連れて来た兵士は五十人程だが、精鋭部隊である。

 もちろん戦いに行くわけではないし、既にギラグ国への文書も送られているのだが。


「レシヘスト。お願いできますか?」

「ああ」


 わからないとは言っていたが、レシヘストが前で案内役となる。

 それから、一行は進み続けるが、次第に道は悪路へと変わっていく。


「おい、道がなくなっちまったぞ」


 そしてギヨウの言う通り、道がなくなってしまったのだ。


「当たり前だよ。村の周りならともかく、関係ない所まで道の整備をするやつはいないんだ」


 今まで通ってきた道は、ギラグ国が作ったものではなく、ベザ国が作ったものであった。


 道がなくなるというか、森の中へと入って行く感じである。

 そんな中でも一行は進んで行くが、途中で異変が起きる。


「ぐあっ!」


 一人の兵士が落馬したのだ。

 いや、落馬させられたのだ。

 横から突如として、出て来た者によって。

 上半身は裸で、下半身に布切れをまいただけのその姿は、まさに野蛮としか言いようがない様であった。

 そんな者達が、何にも森の中から現れたのである。


「敵襲!」


 誰かが叫ぶが、ギヨウは迷う。


(話し合いに来たんだよな?戦って良いのか?)


 野蛮な見た目の者達は、ギラグの人間なのであろう。

 同盟を結びに来たのに戦って良いのか、ギヨウは迷ってしまったのだ。

 そして、ちらちとレシヘストの方を見て、ギヨウは驚いた。


「うらぁ!」

「ギィ!」


 レシヘストが、襲撃者の頭を手斧でかち割っていたのだ。


「ええ……」


(同じ国の人間じゃないのかよ)


 その姿を見て、そう思うしかない。


「~~~~~」


 更に、襲撃者たちはレシヘストを見て、何か言葉のようなものを喋る。

 だが、ギヨウには何を言っているかわからなかった。


(レシヘストが同族ということに気付いたのか?)


 ギヨウは冷静にそんな事を考える。


「ふんっ!」

「ギッ!」


 しかし、レシヘストはそんな中へと突っ込んでいき、次々にそいつらを殺して行ってしまう。


「え、ええ……」


 その姿を、ギヨウは茫然と見ているだけで、いつしか戦いは終わってしまったのだ。


 戦いが終わった後、ギヨウはすぐにレシヘストに話しかける。


「お、おい。いいのかよ、仲間なんじゃないのか?」

「え?ああ、別に仲間じゃないよ。この国にそんなものはないよ。強いて言うなら村単位では仲間っちゃあ仲間かもしれないけどね」


 レシヘストがあっけらかんという。


「でも、なんか話しかけられてなかったか?」

「ああ、なんか言ってたね。何言ってるのかわからなかったけど」

「わからないのかよ!」


 ギラグ国でのみ通じる言葉かと、ギヨウは思ってたのだ。


「多分、いい女がいるぜ犯してえ、とか言ってたんじゃないかい?あたしの方を見ながら、ちんぽおったててたしね」

「ちんぽって……」


 ギヨウは呆れてしまう。


「まあ、この国じゃよくあることだよ。負けたら犯させろって言う男が毎日挑んでくるのさ。それが嫌で、あたしはこの国を飛び出したのさ。誰がお前らにあたしの初めてをやるかっての」

「え!」


 意外な情報を聞いてしまい、ギヨウは驚く。


「さっ!進もうか。さっさと行こう」


 レシヘストは馬に乗り直す。

 

「襲ってくる敵は全部殺していいよ。女王はそんなの気にしないさ。弱い奴が悪いんだ」


 それから、そんな事を言った。

 ギヨウが戦うのを戸惑ったことに気が付いたからである。

 そして、それはつまり、他国から話し合いに来た使者が襲われるのは普通のことだということでもあった。


「まあ、それならそれでいいか」


 ギヨウは呆れながらも、後に続くのであった。

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