クラスメイト達
連続投下しますね!
「天宮君」
休憩時間になったのでボーッとしていると、俺達の教師だった山瀬 紀之が声をかけてきた。
「君は休憩しなくていいのかい?」
眼鏡をかけてにこやかにそう言ってくる。
正直なところ胡散臭い。というかもっと良い言い方をするならば、常に笑顔で優しい雰囲気だが、強いものには下手に出て気に入ろうとする様な人間だ。
「あ、僕はいいです。そんな疲れてないですし…」
かく言う俺も猫を被っている…というかスクールカーストとやらで底辺なので、ぺこぺこと平穏に暮らそうと思っていたら人と接する際にこうなってしまっていた。
「そ、そうなのかい?なら良いんだ」
そう言って自分の席に戻っていく山瀬。
先生だった彼は今やただの大人として俺達と共にこうして混ざっている。
それでもああやって気を遣ったりする所は教師としてなのか、なんなのかは分からない。
「イマイチこのスキルとか分からないんだよね」
「私もそうなの、深山さん分かる?」
「私のスキルはみんなと違うからなんとも言えないかな」
そして少し離れた位置で、英雄スキルというものを所持してる男子生徒、新堂 浩司が女子二人に囲まれながら楽しそうに話をしていた。
新堂の問いに一番最初に返したのは来栖 海美。
新堂の小さい頃からの幼馴染で二人はとても仲がいい。
そしてもう一人、深山と呼ばれた女子生徒。
深山 舞愛。
ハッキリ言って俺はアイツが苦手だ。
そんなことを考えて見ていると、深山がコチラに視線を向ける。
俺は慌てて視線を外してステータスウィンドウを開いた。
新堂は誰にでも明るく優しい性格でクラスの人気者であり、その傍にいる来栖はそれに並んで人気だった。
しかし、深山は元いた世界ではそのグループの少し下あたりの女子グループとよく居た。
俺が深山を苦手な理由はそこにある。
アイツの居たその女子グループの一人に俺が何故か目を付けられてしまい、陰で嫌がらせをされるようになってしまった。
深山は直接何かをしてくるような事は決して無かったが、それを止める事無く黙認して同調して笑っていた。
だから苦手だ。
深山には深山なりに色々理由はあるのだとは思う。
だが、嫌いと言う程でもない、…興味がないといった方が近いのか?
「いつか帰れるのかな」
一瞬、深山がボソッとこぼした言葉が俺には聞こえたが、俺よりも近いはずの新堂と来栖の二人は聞こえていない様子でずっと会話を続けていた。
こちらへ来てすぐに施された謎の魔術・催眠術のせいで山瀬、新堂、来栖の三人はおかしくなってしまったと思う。
俺は比較的に落ち着いていたし、深山は何やらこの世界に来て授かったスキルのおかげで色々と事態を知る事が出来たせいか慌てふためく事などなかった。
しかし、他の三人はいきなりの異世界召喚という有り得ない事象についていけずに混乱してしまった。
なので俺と深山の二人を除いた三人はその謎の怪しげな術で強制的に落ち着かされたのだった。
「いやー、いつかこの英雄スキルで…」
「そうね!きっと浩司ならできるわ。あら、深山さんどうかした?」
「…ううん、なんでもないよ」
この距離でもハッキリと聞こえる程の言葉を言っていたのにも関わらず、気にせず会話をしていたと思ったら急に深山の様子に気づいてその様子を心配する来栖。
その異様な光景を前に、諦めた様に深山は首を横に振って笑顔を浮かべる。
俺はそんな様子を少し離れた席から伺いつつも、何か出来る訳でもないのでフイとステータスウィンドウに再び目線を落とすのだった。
いつか帰れるか、なんて考えは俺の中には無かった。
俺もおかしくなってしまっているのだろうか?




