始まりのお話
とある豪華な一室。
その部屋にある教壇では派手な服装をした中年男性が黒板に文字を書きながらこの世界についての説明をしている。
「…」
その話を聞いているのは高校生4人とその教師1名。
何故こんなことになっているのかと言うと、今から約2週間程前に元居た世界で放課後に追試を受けていた。しかしそんな所に足元へいきなり大きな魔法陣が現れ、教室を光が包み込み…気がついたら異世界だった、という。
最初は皆この事態が呑み込めずにいたが、落ち着きのない物は不思議な術によって強制的に落ち着きを取り戻させられた。
魔術というのか、催眠術なのかサッパリ分からないが、明らかに不思議な力であったのは確かだ。
そのあとは別人の様に落ち着いて生活に順応し始めた、という感じだ。
「スキルというものは…」
教壇では中年男性がひたすらに色々喋っている。
あまり興味が無いので聞き流しているが、他の生徒達は熱心に聞いている。
そして俺、天宮 空は物思いにふける。
まるでゲームや漫画、小説の話みたい。
本当にその言葉通りの事が自分自身に起こるとは思わなかった。
講師の話を聞きつつ、視界に浮かび上がるウインドウを指先でいじる。
視界端に浮かぶオプションウィンドウというものからステータス、スキル、その他様々なものを確認できる。
常に視界にはHP&MPバーが浮かび、メッセージやコールという通話が届けば通知が来る。
まるでVRの様だ。
だが、もちろん怪我をすれば痛みを感じて、何も食べなければ腹が減り、疲れれば眠くなる。
一言で言うなれば、ゲームの様なシステムの概念のある世界。
そんな世界に俺達は召喚されてしまった。
「君たち選定者達は選ばし者たちなのだ、しっかりとこの世界について知っておくべきなのだよ」
締めくくるように教壇の上でそう男が言うと、その授業が終わった。
「選定者、ね…」
思わず小さな声で呟きが漏れる。
召喚者のことをこの世界では選定者と呼ばれるらしい。
こちら側から俺達が元居た向こうの世界で一定のステータスを持つ人物を選び出し、その人物の周囲に一定時間居る人物達をまとめて呼び出す。
何を勝手にという話だ。
正直、バカバカしい所だが、この世界で生きていく術が何も無い俺達にとってこの世界で生き抜くには、この国の人達の言う事を聞く以外選択は無いのだ。
そうして、その後も俺達はひたすらにこの世界について学ばされる時間が過ぎていく。




