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村長が言っていた洞穴の場所に向かいながらレンを見る。
「なぁ流石にさっきのは酷いんじゃないか?」
「・・・・あんなこと言うからです、ロセフくんは昔からずっと遊んでいた幼馴染だったんです。 昔は好きだった頃もあります・・・いえ奴隷になってなかったらいつか一緒になってたかもしれないです。
でも私はご主人様に命を救われて一生仕えると決めたんです、それともご主人様はロセフくんと一緒になれって言いますか?」
レンは視線を前に向けたまま口だけでそう言った。
確かにさっきの青年はかわいそうだった、だからと言ってレンを手放すわけない。 これは同情なんだろう。
見も知らぬ男の幸せの為に自分の幸せを手放す程俺はお人よしじゃない。
「そんな事言う訳ないだろ、俺から離れないでくれよ」
「離れるわけないじゃないですか任せてください」
俺は俺の幸せを手放さないようにするだけで精一杯なんだと再確認できた瞬間だった。
メマ村の村長の家
外が安全だと分かり、村の若い男達は慌ただしく外に出て仕事をしていた。
その中で部屋の隅で力なく座っている青年が居た。
そう彼の名はイリイチ・ロセフ。
先程ローライシ・レンに振られた男だ。
「ロセフ、大丈夫か?」
「あ、うん・・・」
働けないおじいさんたちがロセフを慰める、しかし彼は心ここにあらずと言った状態だ。
レンが奴隷になるまでは彼は自然とレンといつか一緒になるものだと思っていた。
別に彼がうぬぼれているわけではなく、この村での同年代はレンとロセフだけなのだから一緒になるのはほぼ決まりみたいなものだったのだ、しかしあの兵士たちが攻めてきたせいですべてが変わった。
レンは奴隷として売られ村からいなくなることを知った彼はもちろん反論したら、なら自分が奴隷として売られるのか?と聞かれて彼は答えれなかった。
奴隷は若いなら男も女も売れるがレンの容姿はかなり可愛い部類に入るので通常より高いし男のロセフよりも高く売れる。
もちろんロセフも若いので高く売れるのだが男手は村にも必要な上に将来結婚の事を考えるとロセフより高いレンを売った方がいいと言う判断もあってのことだった。
彼が自分が売られるか?と言う質問に答えなかったことはレンは知らない、しかし今のレンは村人全員を信用していないのでもちろんロセフの事も信用していない。
「僕は・・・あの質問で答えれていたら・・・」
「どの道変わらんよ、ロセフが奴隷になればレンちゃんにはもう会えなくなっていただろうしのぉ。」
「そうだよ、ライシちゃんは奴隷なんだ奴隷が俺達一般人の言う事を聞けないのはおかしいよ、あいつだあの男が断るように命令したんだ」
「ロセフ?」
「ぼくが・・・ぼくがライシちゃんを助けだすんだ」
ぼそりと誰にも聞こえないほどの小さい声で自分に言い聞かせる様に言って立ち上がった。
その彼の表情は目は血走り口元は歪んでいた。
森の木々を進んだ先、村長が言っていた場所に着くと確かに洞穴があり穴の近くには警備でもしているのだろうか斧を持ったゴブリンが2体程立っている
「いるな、あれが村長の言ってたゴブリンの住処か」
「そうみたいですね」
「レンはここで待ってるか?村の女が攫われたとなるともしかするとレンのお母さんも・・・」
「いえ、大丈夫です。 ロセフくんのおかげで私も落ち着きを取り戻したので」
ロセフくんよ、君は確かにしっかり役に立ってくれたよ安らかに眠れ・・・
心中で爆沈したロセフに冥福を祈ってから銃を構える。
「俺は左をやる、レンは右だ」
「はい」
「・・・・撃て」
パン! パパパ!
俺は脳天に一発、レンは胴体に三発のバースト射撃だ。
俺が狙ったゴブリンは頭部すべてを吹き飛ばし絶命して、レンが狙ったゴブリンは三つの穴を開けて倒れる。
「ゴブリン達が襲撃に対応準備が完了するまで一気に畳みかけるぞついてこい」
「はい!!」
草陰から勢いよく飛び出してゴブリンの死体をまたいで洞穴の中へ入っていく。
奥ではギャアギャアと言う鳴き声が聞こえてたいまつを持ったゴブリンが奥に見える、こんな暗闇でたいまつを持つなんて的にしてくださいと言っているようなものだ。
レンはゴブリンに狙いを定める為に立ち止まりしゃがんで射撃を開始する、俺はレンの射線の邪魔をしないように橋を通りながら射撃する。
俺の背中には念の為だろうかぴったりとエージスがくっついて来ている。
ゴブリン達は俺達に近い順番から銃弾を受けて倒れていく、数からして6体程倒すとそれ以降は出てこなくなった。
ゴブリンが出てきた道の前で武器を構えてレンが来るまで待つ。
レンが俺の横まで来たことを確認してからゆっくりとゴブリンが出てきた道の曲がり角を曲がると少しだけ広い部屋になっている場所があり、床に置かれたたいまつの光で縛られた女性達の姿が見えてくる。
特に怪我は無さそうだが少し衰弱して来ている様だ、周りの警戒を怠らないようにレンと一緒に掴まった人達を解放していく。
「あ、ありがとう・・ございます・・・あなたは?」
「依頼を受けた冒険者だ、ゴブリンは8,7体ほど倒したけどもっといたか?」
返事をする余裕がないのだろうか声ではなく首で頷く。
もっとゴブリンが大量に居る住処だと思っていたがそんなわけではなかった様だ。
「レン!こっちは全員解放した、さっさと戻るぞ」
「わかりました!先行します」
レンが先に部屋を出て通路の安全を確認してからこちらに合図を送る。
捕まっていた村人は大体30人程だったので全員の面倒を見ることは出来ない、動けないほど怪我をしている人も居ないのできついかもしれないが自分達で歩いてもらう事にする。
初めに聞いた様にゴブリンは俺達が倒したのですべてだったらしく洞穴を離れて街が見えてくるまでモンスターとの遭遇はなかった。
俺達の列は一番前にレンでその後ろに村人たちが並んでその最後尾に俺がついているので列の全体を見れる。
戦闘を歩いているレンを数人の村人がずっと見ていたが赤い髪の女性がレンに近づいて声をかけた。
「レン・・・レンよね」
「・・・・・」
レンはそれを無視しているが完全には無視できないのかレンもチラチラと赤髪の女性を見て最後は肩を少し下げて諦めたように赤髪の女性に返事をした。
「なにお母さん」
「やっぱりレンなのね!どうしたのその髪は!」
どうやらあの女性はレンのお母さんだったようだ、死なずにゴブリンに掴まっていたのか。
レンの母親はレンの髪を触って文句を言っている様子だ。
「関係ないでしょ!今は私奴隷だからご主人様のものなの!」
触ってくる母親を避けようとしているがことごとく失敗して触られ続けているので怒ってしまったようだ。
それを聞いた母親はキッ!と俺を睨んだ。
また巻き込まれるのか勘弁してくれ・・・ほら俺の方に来たぞ、さっきまでの疲労困憊状態はどうしたんだよ
「あなた!私の娘に何しているの!」
「いいからはよ歩いてくれ、村に帰ってから話聞くから」
それから俺はレンの母親に文句を言われ続けながら村まで戻る。
どこの世界でも母親と言うのはうるさいんだな思いながら少しだけメマ村に来たことを後悔していた。
村に戻ると男達が瓦礫の撤去などの復旧作業をしていたが帰って来た俺達を男達が見つけると各自それぞれ身内の元に駆け寄り無事を喜ぶ。
人の命が助かっていいことなのだがやはりレンの表情は暗い影がさしていた。
助け出した村人達は各自の家族の家に戻ったり衰弱が酷い人達は回復魔法を使えるレンが面倒を見ていた。
こうなると俺の出番はもうないので村長の元に報告に向かった。
ドアを開けると数人の村人が集まり会議の様な事をしてる所だったが俺がドアから入って来たのを見ると
「おお、冒険者様よく皆を助けてくださいました!なんとお礼を言えばいいか」
「依頼だからな、それで報酬を貰いたいのだが」
心から感謝されているのは分かっているが何度お礼を言われたところで俺に得があるわけではないのでもう物を貰って早く帰りたい、そしてベッドで寝たい。
「報酬の話なのじゃが今この村に報酬を払う余裕はなくての、ギルドに戻ってから申請しておくれこれがその時必要になる書類じゃ」
そう言われて何かごちゃごちゃと書かれている紙を貰う。
内容を見るがよくわからない、しかし右下に何かのハンコみたいな物とサインがあるので大丈夫だろう。
「・・・分かった、後は帰りの足を用意してほしい」
「足・・・ですかのぉ?ふむ・・・それなら隣町まですぐに馬車を出すのでそれに乗って隣町からはギルドの馬車に乗ってください、さっき渡した書類で借りれるはずじゃ」
「わかった」
めんどくさいが今無理を言って聞き入れてもらえる状況じゃないは分かってるので大人しく我慢することにする、いざとなればレンにやってもらって俺はどこかでボケッとしてればいいしな。
村長はさっきまで指示を貰いに来ていた中年の村人に「資源運搬の馬車をすぐに準備させてくれ」と指示を出す。
「馬車の準備が出来るまで少しかかるのでそれまでゆっくりしておくれ、どれつまらぬ物じゃが茶でも」
「いや、要らない適当に村をぶらぶらさせてもらう」
左の手のひらを見せて遠慮する
「では準備が整ったら呼びに行かせると言う事でいいかの?」
「分かった」
何が楽しくてこんなジジイが沢山いる場所で長時間居ないといけないんだ、こんな所にいるくらいならレンを弄ってた方が楽しい。
目的を果たした俺は村長の家を出てレンの位置をパーティ昨日で見つけてそちらに向かう。
レンが見える程の所まで近づくと誰かと話しているのが見えたので近づくと話が聞こえてくる、どうやら相手はロセフとレンの母親のようだ。
「だからライシちゃんはあの男に操られているんだよ!」
何やらもめているみたいだ、わざわざ火の粉を被りに行くほど俺はバカではないので足を止めて様子を見る。
「元々お母さんたちみんなが私を売ったんでしょ!それを今さら帰ってこいなんて勝手過ぎる!」
「それは村を救うためだったのが分からないの!?」
「分かってるけど一度家族を売った人達を信用できない!」
「それが母親に言う事なの!?やっぱりあの男が悪影響なんだわ!」
「そうだよ!奴隷を買う人間なんてクズに決まってる!」
「なんでそんな事言うの!?信じられない」
どんどん口喧嘩が白熱して行ってる、余計にあの中に入りたくない。
しかしレンの言う事も分かるがあの母親の言っている事もレンを心配しての事なんだろ・・・決してあの二人の肩を持つことはないがな
それからはレンの髪の色をあの男が変えただの、首輪の魔法で操られているだの好き放題言ってくれた。
この世界は人が簡単に死ぬ、ましてやレンが前に言っていたが奴隷になれば昔の知り合いに会うなんて事は滅多にないらしい。
だからこそ例え喧嘩になっても話をさせていたのだが
「ライシちゃんは騙されているんだ!僕が助けてあげるよ!!!」
「きゃ!? や、やめて!」
ロセフがいきなりヤンデレの様な危ない事を言い出してレンを押し倒し首輪に手をかける。
そんな行為が目の前で起きているのに母親は「そうよ帰って来なさい」とか言ってレンの手を押さえだした。
ロセフが首輪を引っ張り無理矢理壊そうとすると俺の視界に赤い文字でエラーの文字が現れる。
エラー内容もすべて文字化けしているのでよくわからないが、奴隷の首輪を無理に取ろうとしたり壊そうとすると奴隷そのものが死ぬと言っていたレンの言葉を思い出しレンを助けに走り出した。
「お前らやめろおおお!」
「チッ!くそ野郎!!!」
俺の姿を見たロセフがレンを押さえるのをやめて俺に殴りかかってくる。
しかしモンスターに比べると赤子の手をひねる様なものだ、ロセフのパンチが俺に届く前に先に胸ぐらを掴んで地面に顔面から衝突させてやる。
ゴン
「アギャ!」
「ヒッ!」
次に邪魔なのはレンの母親だ、レンの腕を拘束しているので母親は膝をついている状態なので目の前で立ち止まり顔面を蹴る振りをすると手を離して自分の顔を守ろうとしたのでレンは自由になる が
「ゲホッゲホッ!」
レンは立ち上がらずにうつ伏せになりながら額を地面に押し付けながら苦しそうに咳き込んでいる。
顔は汗をかいて所に土がついて汚れているがその上からでも分かる程に顔色が真っ青だ。
「レン!あなた娘になにしたの!!!」
俺にいい掛かってくる母親を無視してレンの首輪を見ると壊れはしてないが少しヒビが入っている。
急いでレンの改造画面を開くが首輪の装備なんて元から表示されていない、ないものは直せない。
「ねぇ!聞いてるの!?」
「黙れ!!!俺を責める前に母親なら娘の安否を心配しろ!!!!」
喉が痛くなるほどの怒鳴り声で叫んだからか母親が黙り込んだが村中の人が集まってくる。
集まった村人達は倒れているロセフと苦しむレンの姿を見て困惑している様子だ。
「レン!大丈夫か!?レン!」
「カハッ!ゲホッ! ヒュー ヒュー」
初めは咳をして悶え苦しんでいたがもうレンはぐったりと苦しそうに呼吸するだけで返事すら帰ってこない。
このスピードで衰弱していけばすぐにレンの命が尽きるだろう。
「村長!村長は居るか!出てこい!!!!!」
「な、なんの騒ぎじゃ!?」
集まった村人の中からこの騒ぎを聞きつけて姿を現した。
村長も他の村人動揺この状況を理解できずに固まっている様子だ。
「村長!奴隷の首輪が壊れかけているんだ、このままじゃレンが死ぬ!!どうにかならないのか!?」
レンを抱きかかえたまま焦りながら村長に叫ぶ。
「わ、わからん・・・奴隷はこの村に居た事がない・・・しかし隣町に行けば冒険者ギルドがあるからなにか分かるかもしれないが・・・」
クソ!何が村長だくその役にも立たないじゃないか!
俺の足でレンを運べばすぐに付くだろう、しかし今の状態のレンにそんな激しい移動を耐えれるのか?
何か安全にレンを移動させれてすぐに隣町まで行ける方法は・・・・
「・・・車・・・」
ぼそり頭に浮かんだ言葉を口に出す。
いや、ダメだ!今のDPでは荷台付の車すら作れないだろう。
DPが・・・DPが足りない・・・今からモンスターを倒せば 何をバカな事言っているそんな時間はない!
落ち着け!落ち着くんだ、客観的に見れば何か解決策が見えてくるはずだ
「待てよDPを入手する方法ある・・・じゃないか」
そう元々DPはゲームでのプレイヤーを倒した時に手に入る物だ、この世界に来てからモンスターから手に入れると言う感覚になっていたが本当は逆だ。
自分でも驚くほど冷静に周りに集まる村人を見渡す。
こいつらを全員DPに変えれば何とか車を作れるだろう、レンと赤の他人の村人どっちが大切なんて一目瞭然だ。
だがそれはレンの家族や知り合いを殺すと言う事だ、しかしレンをこんな目にあわせたのがこいつらだ。
「俺は・・・俺は・・・・!!!」
バァン!!!




