依頼 31
宿に帰ると早速部屋に干した干し肉を回収する。
レンガ遅れて部屋に入って来て俺が部屋中にぶら下げていた肉を回収している姿を見て首をかしげながら近づいてくる。
「もう乾いたんですね、保存用のお肉」
「まぁ一応保存食だけどこれは干し肉って言うんだ」
干し肉も保存食だがただの保存食じゃない
「何が違うんですか?」
「ほら試しに一個食ってみろ」
俺の真横に居たレンに回収していた干し肉の一つを渡してやる。
受け取った干し肉をレンは不思議な顔で見ていた。
「このまま・・・でですか?」
「そうだ、いいから騙されたと思って食べて見ろ」
「じゃあいただきます」
カプッと齧り付くが中々噛み切れないので悪戦苦闘しているようだ。
肉との格闘の末になんとか噛み切れたらしくモグモグと肉を噛んでいる。
「ん!おいしいです!」
「だろ?これはこれで完成した食べ物なんだ、お菓子・・おやつみたいな物だよ」
そう言いながら自分も一つ取って食べてみる。
うん、どうやらうまく作れたみたいだ程よく塩辛くて中々おいしい。
昔干し肉を食べたいけれどお金が無かった時に自分で作ればいいじゃないかと作り方を調べたのだけれどそもそも肉を買うお金がない事に気付いて作れなかったのが今生きた。
「そう言えばレンは料理出来るのか?今まで宿の飯か俺の飯しか食ってないけど」
「うっ!ちょっと気にしてたんですよ・・・・。 料理はある程度できますけど作る場所がないので・・・」
「そう言われてみればキッチンもないもんな」
キッチンも道具もないのに作れるわけがないか、だからと言って今の所住居を持つ気もない。
しかしレンの手料理も気になる・・・考えておくか。
次の日
俺達はいつもの様に朝の素材代回収に冒険者ギルドに来た、いつもの職員さんみたいに毎回話しかけている職員はいないので少し寂しい気持ちになってしまう。
ちょっとだけ前の街の事を思い出しながらカウンターに向かうと何やら奥の方で慌ただしく動く職員が見えた。
「何かあったんでしょうか?」
「またボスとか嫌だなもう行かないぞ」
前回の亀のボスを思い出す、確かに金もDPもおいしかったが死にかけるのはいやだ
「次があれば私が一緒に行くので大丈夫ですよ」
「俺がレンに助けられる?ありえないな」
フン!と鼻で笑ってやると反論しようとするレンだがレン自身も自分が俺を守っている姿が想像できないんだろうかすぐに不機嫌な顔になって睨んでくる。
正直俺は最強ではない、何度も死にかけてたし生き残れているのも武器のおかげだ。
それでレンが命を持って俺も守るほどの事があれば俺もレンも助からないだろう。
「あのー、すいませーん!」
いくらカウンターで待っても誰もこないので声を張り上げて呼んでみるが俺に気付きすらしない。
しばらく待っているとどんどん他の冒険者が入って来て俺の後ろに列を作り出した。
後ろの方の奴が俺を睨んでいる、俺がなにかしたと思っているのだろうか勘弁してくれ俺は無罪だ。
これ以上ここに居るのは俺のメンタルが持たないので素材代回収は今日の帰りの時にしようとカウンターを離れようとすると女性の職員が紙を一枚持ってこちらに走ってくる。
「あ、職員の人来ましたよ」
「見れば分かる、やっとか・・・あの、素材代をもら」
「申し訳ございません!もうしばらくお待ちください」
俺が言い終わる前に通り際に少しだけ頭を下げて掲示板に走っていく。
踏んだり蹴ったりだよ
「ご主人様泣かないで」
「あぁ?」
「へへごめんなさい」
子供をなだめるように背中をさすって来たレンを睨んでやると笑いながら謝ってくる。
反省していないアンポンタンはほっておいて職員が貼った掲示板の紙を見に行く、
確かあの掲示板は依頼のボードだったな・・・
掲示板の前には俺の後ろに並んでいた冒険者達が既に集まって近寄れなかったので少し離れた距離からレンの頭に体重をかけて掲示板を見る。
「うぅ・・重いです・・・支えにするなら髪飾りにしてくださいよぉ」
「こんな所で飛ばすなよ、んー見にくいなよっと!」
「あぅ! あぅ! わっ!」
レンの頭にさらに体重をかけてピョンピョンとジャンプすると何とか読み取れる。
「ほっ! 至急 応援 要請 メマ村 モン スターに 襲われ」
「っ!メマ・・・村・・・」
途中まで依頼の紙を読むとレンが下を向いて考え出した。
「のわあああ!? イデッ!」
「へ? きゃふん!」
もちろんレンの頭がずれると全体重をかけていた俺は支えをなくしてツルッと髪の毛で手を滑らせレンの脳天に俺の顎が直撃した。
「いってぇ・・・レーーンーーーーってどうした?」
顎をさすりながら身体を起こしてレンを見ると頭を押さえながらも何か考え込んでいる表情をしていた。
さっきも何とか村の名前を聞いて頭を動かしたし・・・
「え、あ・・・いえ何でもありません」
「いやなんかあるだろ」
「・・・・」
聞いても考え込んでいるだけでまともな返事は帰ってこない
「なんにしてもここじゃ落ち着かないな、いったん外に出るぞ」
「・・・はい」
立ち上がりギルドのドアまで歩いて振り向いたがレンが掲示板を見たまま動いてないのでレンの手を引いて外に出る。
レンがこんな状態ではダンジョンなんて危険で行けないのでとりあえず宿に向かって歩き出した。
俺とレンの身長差はそれなりに大きくレンは上半身を前に傾け俺に無理矢理引っ張られている形になりながらぼそぼそ何かしゃべりだした。
「メマ村・・・メマ村は」
「ん?なんか言ったか?」
「メマ村は・・・私が生まれた所です」
「・・・うま・・なんだって?聞こえんぞ」
足音と周りの人達のせいでレンの声が全く聞き取れない。
キョロキョロと見渡した後に路地裏に入った。
「よし、ここなら静かだ。 でなんて?」
「・・・メマ村は私の生まれた村なんです」
出身地か・・・だとしたら家族もいるんだろう、心配だったから落ち込んだんだな
「でも私は奴隷としてうら」
「心配だったら心配だって言えばいいのに、まぁそう言うことならこのトオ・・じゃなくてご主人様に任せなさい!」
「れて村の人た・・・え、ちょ!?」
家族やご近所さんを心配するとはやっぱりレンは優しいんだな、先輩ちゃんや自分の事について奴隷はこんなものだとか非情なことを言ってたから忘れかけていたが家族想いないい子なんだな
自分の子供の様にレンのやさしさに感動しながらレンの手を引いて立たせようとする。
「ま!待ってください話には続きが!」
「もしかしたら一刻を争うかも知れないだろ?それぇ!」
「きゃ!」
レンを脇に抱えてギルドに入ると冒険者の群れを避けながら掲示板の依頼の紙を取り職員の所まで持っていく、その間もレンは何か喋っていたがレンを抱えながら冒険者の大群の中を通っていたので冒険者に押しつぶされてレンはクタクタになっていた。
「これを受けたい!」
「・・・・分かりました、では説明させてもらいます。 まずこの依頼は急を要する緊急依頼です、先日隣町のザガローナ街がドラゴンに襲撃された話は知っていますね?今回の依頼、もしかするとドラゴンの可能性がある上にメマ村にドラゴンがとどまっている場合があります、それでも依頼を受けますか?」
「・・・え、ドラゴン!?」
ドラゴンってあのドラゴンだよね!?あの時見たドラゴン!あんなのと対峙したら俺死ぬぞ、しかしこれはレンの為レンの為レンの為レンの為レンの為レンの為レンの為レンの為レンの為レンの為
「あ、あの・・・やめておきますか・・・?」
「だだだだだだだいいいいいいいじょじょじょじょううううぶぶぶぶぶ」
「あわわわわわわわわわわわわわわ」
ガタガタとバイブレーションする俺とその揺れで揺すぶられているレンを交互に見ながら職員は苦笑いしながら確認してくるがここで引き下がるわけにはないかない。
「えーっと・・じゃあ説明つづけます・・・ね?ゴホン、メマ村までは馬車をギルドで出します大体着くまでは2日程かかると思います、報酬は上銀貨8枚でもしドラゴンがまだ居るのであれば金貨5枚です」
「おおおおおおおお多いんだな」
「ドラゴンが居るのであれば国からもドラゴンの位置特定として報奨金が出ますから、では馬車は今ギルドの前に用意させたのですぐに出発できますがどうしますか?」
とくに必要な物はないし、あっても馬車に乗りながら作ればいい
説明中ずっと振動に耐えていた白目をむきながら気絶しているレンを連れてすぐにメマ村に出発したのだった。




