在庫処分
朝起きると俺の視界にいつものレンと・・・・・干されている肉たちがうつる、なかなか変な組み合わせだ。
朝食を食べながら今日は10層を無事攻略し終わったので15層に行くことを伝える。
これでやっと前のダンジョンの階層まで戻ってこれた、俺達の戦いはこれからだ!
ダンジョンの入り口に行きいつもの様に冒険者達の間を抜けて転送魔法陣に乗る。
「さてどんな敵がいるんだろうな」
「あまり強くない敵がいいですね」
当たり前だろう俺はそんな強さを求めている訳じゃないのだから弱くて高く売れる敵がいいに決まってる。
15層と呟き転送の光に包まれ目を覚ますと目の前に他の冒険者がいた。
冒険者は4人組で男2人に女2人だ、男の一人は大柄で大きな盾を持って腰にはハンマーのようなリーチの短い武器、もう一人の男は大きな大剣だけを持っている。
女は弓を持っている・・・ん?もう一人の女は奴隷か?服装がボロボロで首輪をつけている、どこかで見た事が・・・
「あ、先輩」
「ああ、先輩ちゃんか」
俺に続いて転送してきたレンが俺が立ち止まっている事を不思議に思ったのかヒョコッと俺の横から顔だけを出して冒険者を見るとぼそりと呟いた。
そのおかげで思い出した、宿に初めて来たとき奴隷部屋に居たレンの教育期間の先輩だ。
「せんぱいちゃ」
「ダメです!」
「うお」
元気かとあいさつしようと一歩踏み出すとレンに腕を掴まれてバランスを崩してしまう。
そのままレンに耳元までレンが背伸びして
「ここで知り合いだと分かれば先輩が責められます」
「なんでだよ」
チラリと先輩ちゃんに視線を戻すと目だけであいさつしてくるのでとりあえずウィンクしておく。
目丸くして驚いていたが他の冒険者達が進みだしたのでそれについて行ってしまった。
「っとそろそろ手離してくれる?」
「あ、ごめんなさいっ」
パッと手を離し俺は自由になる
「んでなんで先輩ちゃんが責められるんだ?」
ない襟を直すふりをしながら聞く
「奴隷は基本的に自由な行動を認められていません、だから先輩が他の人・・・奴隷ならまだしもご主人様の様な人と知り合いになると言う事は自由行動をしていたって事になります」
「別に誰と話してもいいだろ」
「はぁ・・・それを許すのはご主人様くらいですよ」
なんかため息が俺をバカにして気がしたが気のせいだろう
にしても自由の時間がないって奴隷も大変だな、過労死しそうだ俺は奴隷にはなりたくないな
「ん?そうなるとレンも自由時間ないって事になるのか」
「それは・・・どうなんでしょう」
もしレンに休憩時間を上げるとしたらダンジョン内の休憩時間がそれになるのか?
そうなると俺の休憩時間に面倒を見る人がいなくなってしまう、それは死活問題だ。
「レンも自由時間ほしいか?」
「私ですか?ご主人様と居たら常に自由時間みたいなものですし・・・今とあんまり変わらないような・・・」
「そうだ、レンのお世話をする奴隷を買うのはどうだ」
「それ本末転倒ですよ・・・」
奴隷の面倒を見る奴隷、そしてその面倒をまた見る奴隷。 そして永遠ループに・・・
そんな考えにふふふと口元がつい歪んでしまう。
「っとそろそろ俺達も進むか」
いつまでも魔法陣の前に居ると次来る冒険者に邪魔になるしいつまでもこんなとこでだべっていても仕方がないので進むことにする。
15層の記念すべき一戦目のお相手は斧を持ったゴブリンと亀だった。
「亀か・・・そう言えば10層じゃ見なかったよな」
「そうですね、まさか亀が15層の新しい敵なんですかね」
「なんとつまらん、そしてめんどい」
もしかすると亀の代わりがあのでかい牛だったんだろうか、牛と出会えたのは嬉しかったが15層からまた亀なんてめんどくさい事この上ない。
戦いたくないと言う気持ちが顔に出ていたのだろうかレンが俺の顔を見た後に武器を構える。
「私が戦いますので大丈夫です、怖がる必要な いたたたたた!」
どうやら俺のしかめっ面が前回のボスでのトラウマを思い出していると勘違いしたのだろう、優しく笑うレンの顔面をわしづかみしてやる。
あの時はダンジョンそのものにトラウマを持ちそうだったが悔しいがレンのおかげでなんとか克服できたのでもう怖くはない。
あるものを思い出してわしづかみしているレンの頬を両手で挟み込む様に持つ。
ふふこれを見たらレンも俺をびびりだとは言えなくなるだろう、俺の威厳を取り戻す為にも今ここで俺の凄さを見せつけてやろう
「ごちゅじんちゃま?」
「レンよ今こそ俺の真の力を見せてやろう」
「ちんのちかりゃ?」
レンを俺の横に投げ捨てて右手を空高くに掲げる。
「はぁあああああ!!今こそ破壊の力を解放する!」
目線だけ左下に向けて隠すように装備画面を触りM202ロケットランチャーを装備する。
「下がってろレン! 後ろじゃ危ないこっちこっち」
「ここですか?」
起き上がって離れようとしているレンを手招きして横に避難させる
レンの位置を確認してから発射準備を整える
「よしよし じゃあゴホン・・・食らえ!秘儀在庫処分!」
このM202ロケットランチャーは4連式で撃とうと思えば一気に4発撃てるのだが亀とゴブリンごときに4発すべて使うのは流石に勿体ないので一発だけ発射する。
ボシュゥーと音を立ててロケットが飛んで行く。
「きゃあ!?」
「うわ!けむてぇ!」
レンは音とロケットから出る火にびびり俺は目の前に浮かぶ白い煙にびっくりして声を上げてしまう。
飛んで行ったロケットは飛んで行って亀に命中してボン!と大きな音を立てて爆発してパラパラと石が落ちてくる中に肉片や甲羅の破片が飛んでくる。
「ど、どうだ?」
「はぇぇ」
俺も若干ビビりながらレンを見るとヘナァと腰を抜かしていた、今までゲーム時代は基本的に銃を撃っていたし撃ったとしてもRPG7くらいしか撃ったことがなかった。
煙で視界が通らないがあの爆発だ、ゴブリンも亀も即死しているだろうから安全ではあるはずだ。
念のために武器をSCARに変えてレンの元に行きしゃがむ
「大丈夫か?」
「は・・はひぃ」
ダメだ完全に放心状態だ、ちょっと近すぎたか?
その時足音が聞こえたのでセイフティを外して引き金に指をかけてその方向を睨む。
「何か聞こえたぞ!」
「爆発・・・みたいだったな」
「こっちだ!」
他の冒険者か・・・このままここに居ればこの惨状を突っ込まれるのは目に見えている。
流石に「いきなりモンスターが爆発したんですよぉ」なんて言い訳通る訳がない。
「レンここから離れるぞ、立てるかって・・・おぉ?」
「だいじょうぶですごしゅじんさま」
引き金から指を離して振り返ると髪飾りとエージスに身体を預け浮いているレンがふわふわと奥へ行こうとしているので俺も一緒に着いて行く。
横で並走しながらレンを支えている髪飾りとエージスを見る。
「それいいな、朝それで俺を運んでほしい」
「ちゃんとおきてください」
顔をしかめながら少し距離を取られてしまう、ひどい。
自分用に作ろうか・・いや無駄だな作るなら戦闘向きを作らないと。




