レンの覚悟
ダンジョンの探索から帰って来てからずっとレンが静かだ。
食事中も静かだしおちょくっても俯いている、ずっと一緒にいるレンが落ち込んでいると俺も何だか落ち込んでくる。
しかし落ち込んでいると言っても仕事をしないわけではなく食事を取りに行った片付けもちゃんとして洗濯の後はベッドメイキングもちゃんとする。
おt
「なぁそんなに引きずるなよ、つまらんぞ暇だ」
牛の死体を持って帰って来たから今晩は俺の手料理でもふるまってやろうと思ったのだがなぁ
そんな事を考えながらこの部屋の木目を数えだすと俺の横にレンが来て俺を見下ろす感じになった。
「少しだけお時間いいですか」
「いいけど、どうした?」
俺は起き上がらずにベッドに膝をついてレンを見る。
相変わらずしょぼくれた顔をしている
「今まで私は助けてもらってばかりでごめんなさい、今日も私は助けられました」
「主人が奴隷を守るのは普通じゃないのか?少なくとも俺はレンを守るのは普通だと思ってるぞ」
今日の件は俺のが牛肉に夢中になって剣しか装備してなかったのが悪いしな
「それで考えました、どうしたら私がご主人様のお役に立てるのかと」
また要らない考えをして悩んでいたらしい、俺が「一緒にダンジョン行ってるだけでも役に立っている」や「毎日楽しいからいいよ」って言ってもまだ悩んでいるのなら一生その答えは出てこないんじゃないだろうか
シュル パサ
「ん?」
布が擦れて床に落ちる音が聞こえたからレンに視線を戻すとロウソクの灯りと月明かりで幻想的にうつるレンの上半身が布一つにも隠されることなく見えた。
なんとレンは上半身裸なのだ
「うわあああ!? なにしてんだ!?」
「ご主人様、私を抱いてください」
「はぁ!?なんでそうなる!」
「ご主人様も男なら性欲はあるはずです、奴隷の身体ですけど私も女だから気持ちよくすることは出来ると思います」
何言ってるんだこの馬鹿は
確かに物凄い綺麗だ、映像や画像で見るのと全然違う。
「さぁどうぞお好きにしてください」
ギシとベッドが音を立ててレンを乗せる、そして俺に近づいてくるレンの乳房
そんな光景に俺の息子は・・・・反応しなかった。
なぜかは俺も分からない、あまりにレンの裸体が幻想的で綺麗だったからなのか。
それともレンが火傷で蝋人形が解かされたような体だったことを見た事があるからだろうか、それは分からない。
理由はなんにせよ、レンがここまで必死に頑張ってくれているのだ。これで俺の息子が反応しないなんて知られる訳にはいかない。
「レ、レン」
「はい、まずなにをしますか?」
「・・・・め、命令だ。 今すぐ服を着て・・・さ、下がれ」
「あ・・・」
命令と言う言葉を聞いてレンは悲しそうな顔をしながら下がっていった。
服を拾い着るレンの後姿を見ながら俺はこれでよかったのかと考えていた。
確かに俺はニートで恋愛経験はなく、童貞だ。 今すぐにでもレンを抱きたい・・・が
こんな状況で抱いていいのか?レンは奴隷と言う立場で俺に尽くしているだけだ、奴隷じゃなくなれば俺の元から去るだろう。
ならレンはいつかの人の為にその体を綺麗にしておかないといけないんじゃないのだろうか
まとまらない考えを考えながらレンが服を着る途中に布団にくるまって眠りの世界に落ちた。
次の日の朝
まだ太陽が出て居なく薄暗い中で警告音で目を覚ます。
目を開くと赤い文字で『警告 ドローンが攻撃を受けてます』『警告 ドローンの装備の損傷が深刻化』と沢山の警告ウィンドウが開いていた。
急いで起き上がりロウソクに火を灯してレンを探すと机に座っているレンと目が合う、特に誰かに攻撃を受けている訳ではなさそうだ。
「あ、ご主人様」
「なにしてるんだ?」
ロウソクを台ごと持って机の上に置くとレンの手元には壊れた髪飾りが握られていた、何か弄っていたのだろう警告文の正体はこれのようだ。
目にクマを作って何をやっているんだか
「ご主人様にいただいた髪飾りを壊してしまったので・・・」
「それで直そうと?」
コク
レンは頷いてまた髪飾りを弄りだすとまた俺の視界と頭に警告文と警告音が鳴る。
元々髪飾りは必要DPを極限まで少なくして作ったもので、そんなに大切な物じゃないし空中に浮いてレーザーを照射する機械だ。
それにこの異世界より技術が進歩している現実世界でも作れない代物をレンが修理できるわけがない。
と言うか警告音がうるさいのでやめてほしい、寝れない
「・・・・・直してやるから寄こせ」
「あっ」
レンの手から無理矢理髪飾りを奪って見てみる、ある程度機械に詳しい俺にもなんで動いているのか全く分からない。
しかしばらばらになったりパーツが無くなっているわけではないので簡単に直せる・・・が、そのまま直していいのか?
今の俺達は銃を持っているだけで防御役、つまり盾を持つタンクがいない。
盾を持つだけなら俺が持てるが俺達は二人だ、タンク役に戦力を分けるのも気が引ける。ならサポートになっているこのドローンを盾にすればいいんじゃないだろうか。
そうと決まれば
「レン、この髪飾りを強化する」
「強化?ですか?」
「そうだ、レンには俺達二人を守る盾の役割もしてほしい」
「ご主人様を守る・・!? はい!お願いします!」
守ると言う言葉に反応したのかさっきまでの落ち込んだ表情ではなく今は顔に生気があった。
それを見た俺は少しだけ微笑んでデジタルプリント画面に目をやる。
新規作成のチェックを外して既存装備改造にチェックを入れてレンの装備から壊れた髪飾りだけを外して選択する。
ドローンの装備とは言え自立型の攻撃兵器だ、新規で作るとなるとそれなりにDPを食うが今からやるのは機能拡張と強化なので安く済むはずだ。
今この髪飾りはレンの頭に装備出来る様になっている、これはレンの行動等に制限を駆けないためだ。
だから今ここで髪飾りの形を変えて盾をそのまま飛ばす様にしてしまうと小柄のレンには負担になるだろう、となると必要なときだけ盾を出現させればいい となると変形と言うのが初めに頭に浮かぶが髪飾りレベルの大きさのものを変形させて大きくさせてしまうとそれだけ薄っぺらくなる。
なら実体のない盾ならどうか、今この髪飾りの攻撃方法はレーザー照射だ少し前に盗賊に物理攻撃していたがあれは忘れよう、思い出したくない
このレーザー照射だが銃を装備させると巨体になるからだ、その分レーザーは威力が弱く照射で焼くと言った使い方になってしまったのだが・・・・
とにかくイメージは俺達を絶対に守る盾・・・いやシールドやバリアだ、どんな攻撃も通さない鉄壁の
思い描いたイメージをそのまま髪飾りに機能としてつける。
手に持った髪飾りが蒼く光りボロボロになった傷が消えていく。
「・・・ふぅ、出来たかな」
「ほんとですか! わぁ何だか青い線が増えてますよ」
まぁ新しい機能を付けたんだから多少は変わるだろう、早速レンに装備させてやると直った事を確かめる為にレンが髪飾りを飛ばす。
もちろん壊れた方だけを改造したのでもう片方は前のレーザー照射のままだ、それにしっかりとした盾を付けたのでなんと6000DPも取られてほぼ一文無しだがそれだけの能力は持たせることが出来たはずだ。
「それは何があっても攻撃を通さない盾をイメージして作ったんだ、そうだなアイギス・・・いやエージスと言う名前はどうだろう」
「えーじす・・ですか? いい名前です!」
「よし、なら明日は実戦テストださっさと寝るぞ!って太陽がぁ!!!」
窓を見ると何ともう太陽がこんにちはしていた。
「では準備をしま ご主人様!?」
「まだだ!もう少しは寝れる!うおおおおおお!」
椅子をプールの飛び込み台の様に蹴り飛ばしベッドにダイブするが見えない壁にぶつかり顔面を強打してしまう。
「ダメです!」
「ぎゃふん!いてぇ!」
ゴロゴロと転がりながらベッドを見ると六角形のガラスの様な物がつならった丸形のシールドがレンに渡した髪飾り、エージスから出ていた。
とてもきれいなのだが俺がぶつかった個所に俺の鼻血がついているので台無しだ。
「ご主人様!?血が!」
「いてぇよぉ!レンにやられた!死ぬぅ!」
鼻血が出た事をダシにして粘りお昼まで寝る権利をゲットしたのだった。




