攫われる奴隷
数日後俺達は1層から徐々に下の階層へと進んでいった。
一度俺が6層まで行っているので敵の詳細や道が大体分かる為前回の倍のスピードで6層まではこれた、今は9層にチャレンジしている。
今日もいつもの様にダンジョンに向かっている途中だ。
ダンジョンに入るまでは目立つアサルトライフルは装備せずに俺は剣と盾、レンは杖を装備している。
もちろんレンには俺のおさがりの初期ハンドガンを腰に装備させているが。
「レンー待ってくれー」
「どうかしたんですか?」
腹を両手で押さえながら歩いている俺を追い越しそうになるレンを引き留める。
「腹痛だ、腹が痛い死ぬー」
「少し休憩しますか?」
「いや、ちょっと草陰に行ってくる。 すぐ戻ってくるよ」
小走りで近くの樹影に走って周りにモンスターが居ない事を確認してから腰を下ろした。
かなり時間が掛かったが出すものは出した、それに腹痛の薬も作って飲んだので大丈夫だろう。
レンの所に戻るとレンが馬車の人物と何かを話しているのが見える。
知り合いか?
お?なんか腕を捕まれて馬車に乗せられて・・・・あ馬車が走り出したぞ。
レンを無理矢理馬車に連れ込んだ男には見覚えがある、確かあいつは先の事件の奴隷商人だ。
木陰からレン誘拐事件を見ているレンが俺と目が合い必死に俺の方に手を伸ばしているので、笑顔で手を振ってやる。
それを見たレンは一瞬絶望の表情になり悲しい顔になって、そして最後に怒った表情になり馬車に詰め込まれ行ってしまった。
「レンよ、新しい所でも元気でやれよ」
青い空を見上げてそう呟いた。
「と言うのは冗談で」
操作画面を開いてアイテムのレンを選択して呼び出す。
するとドサッと俺の目の前に目隠しされ拘束されているレンが現れる。
「やめて! ご主人様の所へ返して!」
縛っているロープを解こうと近寄ると
「あぎゃ!?」
「え?ご主人様の声?」
顔面に思いっきり蹴りを食らって倒れてしまった。
次は目隠しから外してから解放してやると涙目で俺に抱き付こうとするが俺の顔についてる靴の跡を見つけ目を反らした。
「え、えーっと。 攫われてた時に手なんか振るからです!」
「・・・蹴ったんだからこれでお相子な。 それでさっきの」
もう見えなくなっている奴隷商人の馬車の消えた先を見ながらレンに聞く。
「はい、奴隷商人です。 初めは私が回復していることに驚いた後いきなり・・・」
自分から捨てて置いてよくもまぁぬけぬけとそんな事が出来たものだ。
おかげでレンと知り合えたのである意味では感謝しているのだが。
「勝手に攫われるなよ」
「そんな滅茶苦茶な・・・」
そう言っても今のレンは銃が・・・そう言えば縛られてたんだな
何か装備強化をする頃合いかな。
ダンジョン9層
パン! パン!
軽い発砲音が鳴り響く、俺の前に立って発砲をしているレンはかなり様になっている。
逆に俺は操作画面をいじくりながらただレンの後ろについて行ってるだけだ。
初めの頃は走ってくる敵に銃撃してもたまに倒しきれず目の前まで接近を許すこともあったが今はほとんどない。
おかげで安心して俺は後ろで楽を・・・じゃなくてじっくりと装備を考えれるのだ。
今日ここに来るまでにレンが縛られて銃が使い物にならない事件があった、俺がもし縛られても力任せにロープを千切れるがあくまでも普通の人間のレンにはそんな事は出来ない。
ずっと24時間一緒に居ればいいだけだがもしもの時の為に策を考えておいても損はないだろう。
「うーん、レンの腕を切り飛ばして機械に付け替えるとか・・」
ん?レンが恐怖の表情でこちらを見ている、前を見ろ前を
そんな冗談はさておき、これからも俺が楽をするためもとい俺達の安全の為に十分すぎる装備はいるだろう。
まずはレンに大きな髪飾りの見た目のドローンを勝手に装備させる。
「え!?なんですか!?」
自分の頭に急に現れた装備にびっくりして射撃の手を止めてしまう
次に腕に巻き付ける様にマシンガンと脱着式の短剣、アサシンブレードの様な物を着ける。
背中にはリュックの様な機械を着けてミサイルポッドを装備させ、肩に乗るようにセントリーのガトリングと自動照準を転用して装備させる
「お、おも!?」
何がついたのか確認しようと頭の髪飾りを触っていた腕にマシンガンが装着されたせいで重さでガン!と音を立てて腕を下に落としてしまう。
腰にも大口径の銃をつけてセントリーと連動させる。これで完成だ。
「名付けて『レイタン01』略して『RT01』だ、足にはキャタピラをつけてやろう」
「つ、つぶれるぅ!動けないですぅ」
改造画面では完璧な装備になっていたがいざ顔を上げてレンを見て見ると装備の重量に潰されないように必死に耐えているレンの姿があった
「・・・・ないな」
ロマンあふれる装備だったが流石に重そうだったので全部外してやる。
唯一頭のドローン二つだけはそのままにする。
「はぁ・・・はぁ・・・これは・・・髪飾りですか?」
さわさわと卵を半分にしたような形の髪留めを触りながら聞いてくる。
「まぁ武器だよ、使い方は俺にも分からんなんとか自分で見つけてくれ」
「え」
そりゃそうだろう、俺が使えるような武装として作ればそれこそ亀のボスで集めたDPがほとんど吹っ飛ぶだろう。
だからこそドローンが使える装備専用としてのドローンを作ったのだ、これならかなり安上がりだ。 その代り普通はドローンに装備させたら勝手に使うので俺にも使い方は分からない、AIはどうやって操作しているのだろうか。
ちなみにドローン装備専用のドローンがなぜ安いかと言うと1個や2個じゃただ空中に飛ぶハエであり雑魚だからだ。
レンは髪飾りを外して構えて見たり振ってしばらく考え込んだ後投げようと振りかぶる。
「投げんなよ、それ俺が使ってるこの銃5個分くらいの素材が掛かってるんだぞ。 投げたら俺がお前を投げるぞ」
そう言われびびりまくっているレンに対して、さっき俺が調子に乗った『RT01』だけで1万DP以上無駄に使っている事は俺の名誉の為に伏せておいた。
「ご主人様止まってください、敵です私が倒しますので」
「んー」
今は俺のSCARのアタッチメントを決めているのでレンの言われるとおりに立ち止まると
「なにこれ?」
「ん?どしたって・・おお」
武器を構えようとしていたところに例の髪飾りがクルクルとレンの周りを飛んでいる。
・・・・飛んでいるな
「・・・・飛んでるけど攻撃しないの?」
「どうやったら・・・」
「念じてみたら?」
前の現実世界でこういう名言がある「しかも脳波コントロールできる」。 あれ?迷言だっけ?
半分冗談で言ったことをレンは大真面目に目を瞑りながら「攻撃あれを攻撃攻撃」とブツブツ言っている、完全危ない人だ。
しかしなんとレンの周りを飛んでいた髪飾りが敵の亀に向かって飛んで行き攻撃をしだした、と言うか亀だったのか全く見てなかった。
「おー攻撃しだしたぞ、レーザーだしたけどただ甲羅を焦がしてるだけだぞ。 首だ首、危ない壊されるぞ避けろ避けろ。あー何してるんだよ首だってば、おおいい感じイケイケ!危ない!壊すなよ?お、倒れた」
「・・・・ご主人様後ろからうるさいですよもう!」
亀を倒し終えたレンは頬を膨らませながらこちらを見る。
「いやぁごめんごめ・・・なんかあれ俺に向かってきてない?」
「え!?」
髪飾りのドローンは攻撃こそしてこないがどう見ても俺の方に猛スピードで突っ込んできている。
「わ!わ!止まってー!」
叫びながら俺の前で髪飾りに向かって手を上げると一瞬静止した後レンの頭に戻って行った。
ホッとしているレンだがホッとしたのは俺の方だ。
とにかくダメ元だったドローンは使えた、しかし操作の訓練が必要だ。 そうじゃないと俺が危ない
日ごろから装備して間違って俺や他人に起動させてしまってはいけないのでダンジョンの外や戦闘時以外は取っておくと言うと拒否られてしまった。
そんな武器じゃなくて普通の髪飾りくらい買ってやるのだがそう言う問題じゃないと怒られてしまった、女と言うものはやっぱり分からん。




