生還
パパパパパパパパ パパパ
「はぁ・・・はぁ・・・」
武器を置き弾の生成とリロードを行う。
あれから俺は逃げて戦い、逃げて戦いを繰り返して部屋状になっている場所を見つけ籠城している。
アイテムボックスの枠はもう満帆でゴブリンなどの死体は壁として土嚢の様に入り口に積み上げている。
初めの頃は数が沢山いたので分からなかった亀一体につきDPが200貰えているので今の所有DPは軽く3万を超えている。
今は敵が来ないので今のうちに準備を進めよう。
デジタルプリント画面を開く、作る物は頑丈な壁と休めるスペースだ。
ゲーム時代皆使っていたいつでも展開できる防壁を作る、名前はコンクリボールと呼ばれていた。
ボール状のアイテムを投げるとそこにいつでも胸辺りの高さコンクリートの壁を設置することが出来る、こんな便利なアイテムは50DPと言う安さで作る事が出来る。
これを3つほど作り自分の正面に設置する。
ついでにセントリーガンを一つ5000DPを2つ作り設置する。
これでしばらくは安全だろう、もし敵が入って来ればセントリーの銃声が聞こえるだろう。
疲れはないが流石に・・・眠い・・・・
瞼がゆっくりと降りていき浅い眠りへ落ちて行った。
俺には昔夢があった、特別な夢じゃないごくありふれた夢だった。
何か失敗した訳じゃない、何か選択肢を間違えたわけでもない。
人と話すのが苦手で気付けば周りの人達は勝手にグループを作っていた、そこからは流れていくように学校が楽しくなくなりひきこもりになりニートになっていただろう。
何かしたい訳でもなく毎日ゲームをしながら生活していた、したいこと・・・やりたいことあの子がいた、あの子?
見つめていたPCのディスプレイに白髪の少女の後ろ姿が現れそれに触れようと手を伸ばす。
手を握り締めると金属の感触が帰ってくる
「夢か」
セントリーガンは動いていないどれだけ眠ってたのか分からないが敵は入ってこなかったんだろう。
セントリーガンとコンクリボールを回収してモンスターの山を退けてもし亀たちに待ち構えられてたら困るので手榴弾を投げ入れる。
爆発を確認してから亀の死体を避けて行き初めの広場まで戻ってくる、目的は道が通れるようになっているかどうかだがまだ封鎖されているみたいだ。
ただのモンスターハウスなどにしてはあまりに多すぎるし部屋が広すぎるこれ以上籠城して時間を稼いでも状態が改善するとは思えない。
なんにせよもう進むしかないだろう。
来た道を歩きながら念の為に装備の強化をもう一度する。
まずAK47にグレネードランチャーを着けて弾薬を補充し、おにぎりを作り腹を満たす。
どれくらい歩いただろうか、距離的にはそれほど移動していないが毎度毎度大量にやってくる亀のせいで進む速度が極端に落ちてしまう。
AK47の銃口をずるずると引きづりながら開けた部屋に入ると天井から光が出ている、その光を見上げていると上から何かが落ちてくる。
「また新手か!」
ポン!
また亀かと思いグレネードを打ち込むが手ごたえが無い、普通の亀であればこれで倒れるはずだ。
爆発の煙からゆっくりと体中がギザギザの真っ白な亀が歩いてくる。
あれは・・・ボスか!?
真っ白なだけなら綺麗な亀で済むが甲羅は普通の亀より豪華でとげとげやギザギザがついているので見るからに強そうだ。
パパパ パパパ
キンキンキン キンキンキン
すぐに姿勢を低くしてボスへの射撃を開始するが顔や足に当ててもすべて弾かれている。
普通の亀の様に伸びてくる首を避けながらグレネードランチャーとAK47のリロードをする。
避けた首が少し距離のある所で止まる。
なんだ?
その顔に銃弾を浴びせようとAKを構えるが開いた口から炎が出てきたのを見て射撃を中断し横にステップして回避行動取ったが間に合わない。
「あああああ!」
右腕に直撃してしまい、悲鳴を上げる。
あまりの痛みにステップの着地が出来ずにゴロゴロと転がっていく。しかしそれを追う様に敵の首が炎をもう一度浴びせてくる。
横になっている状態で立ち上がってからの回避行動では間に合わないと判断して左手で思いっきり地面を殴る。
「くっ うおお!」
ドン! バン!
強化されている腕力で殴った地面が抉れた代わりに俺が回転しながら壁に叩きつけられる。
「うぅぅ・・・」
壁に背を預けながらよろよろと立ち上がる、AK47はさっきの攻撃を回避する時にで落としてしまった。
痛みで意識が朦朧とするが必死に敵の首を見失わないように襲って来る首を目で追う。
おかしい、なぜ炎で攻撃してこない。 遊んでいるのか連続では使用できないのか・・・・
理由は分からないが炎の攻撃とかみつきの攻撃を混合させて来る。
外からの攻撃が効かないなら・・・・
セントリーガンを二つとも設置して亀の気を反らすが一つはすぐに壊されてしまう。
もう一つのセントリーガンから銃撃を受けて敵と認識したのか炎の攻撃で壊す、炎を出して隙を確認した俺は焦げた右手をぶら下げながらボスの首へと突撃する。
やるべきことは一つ左手に持った手榴弾を口の中に入れる事だ。
俺の接近に気づいた亀の首は口を開けて噛みつこうとこちらに突っ込んでくる。
手に持った二つの手榴弾の安全ピンを歯で抜き自ら首の口の中へとパンチを食らわせる。
喉の奥まで手榴弾を入れたのはいいが俺が手を抜くよりも早く敵が俺の腕を根元から噛み千切られてしまう
「ああああああああああああああああああああ!」
悲痛な悲鳴を上げて背中から地面に叩きつけられ痛みで身体が動かない
ボンッ!!
籠った爆発音が聞こえボスの喉がガマ蛙の様に一瞬だけ大きく膨らみ血を吐いて倒れる。
右腕の千切れた個所の肉が盛り上がり血はゆっくりと止まりつつあるがそれでもかなりの量が流れている。
腕がないのでバランスがとりにくく意識が朦朧しながら出口を求めて歩いていると次の11層への階段が運よく近くにあり、11層の魔法陣を使いダンジョンから脱出できた
光を抜けるとダンジョンの前には何個かのテントが張ってあった。
出てきた俺に気づいたのは警備をしていた兵士だった、初め俺の姿を見た時は安心した表情だったが怪我を見ると慌てて駆け寄って来た。
「おい!大丈夫か!? 誰か来てくれ!」
「だ、大丈夫だ・・・・それより宿に・・天使の腕に連れて行ってくれ」
腕が使えなく操作画面を使えない今すぐに回復は無理だ、しかし宿にはレンが そしてあれがある。
「何言ってるんだ! 早く治療しないと!」
そんな必死な兵士の声を聞きながら視界が闇に覆われて行った。




