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任務

ヴグレのチームに加わってから、数日が経過した。

リエラは龍力を自由に引き出せる状況ではないため、任務には不参加。

その場合、町の外で食料や水を調達する係となる。


合間を縫って、リエラの龍魂の特訓である。

サブの龍が光のイヨイと共に、特訓をすることが多い。その中で、色々と情報が増えた。

今は、町の外で特訓の休憩中だ。


「全員で(任務を)こなすものかと思っていました」

「ん?仕事のこと?」

「はい」

「もちろん、全員のときもあるよ。けど、バラバラのが多いかな」

「……理由を聞いても?」


イヨイはヴグレほど怖くはない。が、裏の人間。事情があって、ここにいる。

接しやすさに甘えすぎないよう注意が必要。


「……これもヴグレの予測だけど」

「…………」

「ジュアスは、わたしらを「強化」してる」

「強化、ですか?」


コク、とイヨイは頷く。


「前見たように、わたしらはサブの力が上手く扱えない」


実際、龍力レベルは凄かった。しかし、継戦能力は高くないように見えた。また、力の反動も凄まじい。


「だから、光属性の敵はヴグレが、風属性の敵はクワイツが。闇属性の敵はわたしが、って感じで指名してくる。当然、その敵もそんな強くはないの」

「あぁ、それで……」

「それでも、依頼は依頼。わたしらに拒否権はない。そんで、中抜きされた金額が、報酬になる」


生かすが、余裕はない。そんな中抜きされた少ない給料。ヴグレたちは、その額でやり繰りしなければならない。

しかも、リエラが加入したことはシークレット。よって、3人の時の給料で、4人分賄わなければならないのだ。

よって、狩れる日は狩るし、水も自力で調達。傷薬も現地調合。カットできるコストは、とことんカット。


「…………」


自分の駒の強化と、死なない程度の飴。反抗されても力で制圧できる、丁度いいレベル帯の駒。

仮に死んでしまったとしても、いくらでも補充が可能。本当に、騎士団がやって良いことなのだろうか。

いや、騎士団への信頼が厚いからこそ、闇が表沙汰にならない。なったとしても、信憑性がない。


「……ほんとやったら、わたしらに回さなくても、団内で処理できると思う。でも、それをやらん」

「……その方が「強化」できるから……」

「そう。で、手柄はぜんぶあっち持ち」


敵のレベル帯に注意は必要でも、騎士団はノーダメージで依頼をクリアできる。

そして、依頼料もガッポリ。そして、駒の強化も。


「バカバカしいやろ?どんだけ頑張っても、報われん」

「……悔しいです」

「だから、抜け出すの。いつか、絶対に」

「…………」

「いっぱい稼いで、好きな物食べて、オシャレもいっぱいして……血生臭い生活からサヨナラ!!って……」


そのために、彼女たちも動いている。

表面上は、従順な犬を。しかし、裏では反逆の準備を。そして、自分はその反逆に力を貸すことになる。

彼女たちは彼女たちで、自分を駒として扱っている。尤も、今はその駒の役割すら果たせないが。


(もう少し情報が欲しいですね……特に、中央の)


情勢的にもそうだが、個人的に、中央騎士団の情報が気になる。

しかし、こちらから聞くのは理由が必要。しかも、それ相応の。


自力で調べることができれば構わないが、それも難しい。裏組織だが、想像していたよりも出歩ける。ただし、施設の利用は制限されている。任務の往復や食料品、日用品の購入は可能。しかし、図書館や歴史館の利用はできない。生活に直接必要ない施設の利用は不可能。


しかも、リエラという名前すら、本名かどうか分からないのだ。入館時にその(偽の?)個人情報を晒し、調べられたらキツい。身分を証明できるものは、何一つ持っていないのだから。


(大人しく従うしか……)


ヴグレたちと数日過ごして分かった。大人しくしていれば、寝首を搔かれることはないと。

よって、取り敢えずの身の安全は確保できた。が、欲を出すことや、自由に動くことはできない。


従うこともそうだが、自分の価値を高めて交渉のイスに座らなければ、ヴグレからの信頼や、我を通すことはできないだろう。


(光龍、か……)


自分の中に、龍魂が眠っている。今でも信じられないが、不思議な感覚があることは分かる。


「さ、休憩終わり。サボり過ぎたらヴグレに怒られるよ!!」

「……分かりました」


リエラは立ち上がり、臀部の草を払う。

自身に眠る龍。その力を自在に扱うため、イヨイとの特訓に勤しむのであった。

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