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他グループ

ヴグレたちの事情も、取り巻く環境も分かった。

しかし、騎士団を獲る程の大きな戦い。国もただでは済まない。当然、無関係な人々も。


「……その、五揮将を……騎士団を獲ったとして……」


戦後の荒廃した国は、ヴグレたちが望んむ自由な世界なのだろうか。


「何だ」

「……大きな爪痕は、強く残ると思います」


土地だけなら、地龍の力があれば復旧は容易。だが、文明や人の心はどうだろうか。


「何が言いたい」

「理不尽な戦いの後の国は、自由とは遠いものだと思います」


リエラの真っ直ぐな目に、ヴグレは舌を打つ。


「バカか。んな馬鹿正直におっぱじめねぇよ」


短い間にバカと二回も言われ、心中ざわつくリエラ。が、自分の指摘は的外れだったらしい。

新入りに多くを語らないヴグレの代わりに、クワイツが口を開く。


「騎士団を獲るって言っても、成り替わる気はないさ」

「どういう意味です?」

「ボクたちの目標は、確かにトップを獲ること。けど、力関係が逆転すれば、五揮将の座に拘る必要はない」

「わたしらが無理に上に座る必要はないんよ」

「……上のクソどもが、俺たちを解放すると証明できればいい。んなことするとは思えねぇが。そうなったら、『やる』だけだ」

「……やった「後」は、ナンバーツーを上に上げる。そんで、ボクたちには干渉しないようにする。そうなれば、一歩クリア。全騎士団やれば、オールクリア」


……トップさえ下ろしてしまえば、高い確率で力量はひっくり返る。

ナンバーツーも自分たちより上なら、流れる血が多くなる。それか、干渉しないようにすればいい。

それを、五回繰り返す。


「……南方騎士団だけでも良いのでは、というのは愚問ですか?」

「わたしらみたいなのは、騎士団の数だけあるんは言ったよね」

「はい」

「ここだけ解放しても、他のとこが攻めてくるんよ」

「え……?」

「表向きは、それぞれの区画を守っている騎士団組織。でも、本当はお互いが邪魔で仕方ないんだ」

「え?え……?」

「五揮将は皆、他騎士団基地を潰したいって思ってるんよ」


中央騎士団は割と余裕あるけどね、とイヨイは続けた。


「組織が分かれて、それぞれを守っているんですよね?守る区画が整理されて、良いのでは……?」

「欲しいのは、土地。資源よ」

「!」

「区画が分かれていて整理されてる反面、物資に偏りがあるんよ。五揮将は、表では仲良しを演じてるけど、裏ではよその土地が欲しくてたまらないの」

「…………」


騎士団の表と裏。物事は、そうシンプルではないらしい。


「ボクたちは、五揮将の命令には従いつつも、五揮将を撮らないといけない。でも、騎士団を支配する気はないから、五揮将以外の血はいらない」

「そんな感じの裏表ゲーが、それぞれの騎士団で起こってるんよ」

「焦ってもダメだけど、のんびりしてもいられない。自分とこが終われは、他グループもだからね」

「……他グループにもお詳しいのは、理由を聞いても……?」


裏表遊戯ゲームが他基地でも行われており、目的も似ている。

なぜ、それが分かっているのか。


「……何度か戦わせられているからね」

「!!」

「他グループの目的も、五揮将、そしてボクたちだ。他が血を流すのは求めていない。だから、決闘みたいな形で、やり合うことがあったんだ」

「基本五分五分だったね」

「やっぱ、聞いちゃうんだよね。戦ってるのにさ。従順になってるのか!?とか」

「んで、皆納得してないの。でも、同じように無差別に暴れるほどムチャやないし、結果どうなるか弁えとる。やから、ターゲットが明確なんよ」

「そう。無意味に相手の区画で暴れる理由がない。上に知られても都合悪いしね」

「やけん、ターゲットが上か、他グループに限られるんよ。どっちが先になるかは、互いの情勢次第ってとこ」

「…………」


受けた仕打ちも置かれている状況もクソの様子だが、自制している。しかも、他グループメンバーも。

だから、いたずらに誰かを傷付けないし、破壊行為もしない。目標のためだけに、一応まとまっているグループ。

そんなグループを、自分は知っている気がするが、気のせいだろう。


「そんな感じだ」

「ッ……」


一気に情報が入り、混乱している。が、適応しなければ、今日を生き抜けない。

情報を色々教えてもらい、一区切りついたところで、拠点が見えてきた。


「あ、あれがボクたちの家だよ」


普通の一軒家。シェアハウスという形で暮らしているらしい。裏の組織ではあるものの、割と自由だ。

これも、四聖龍の組織形態に似ている気がした。


「個室はねぇ。お前はイヨイとそっちを使え」

「飯と家事は交代やね。好き嫌いが効くのは自分の当番の時だけだと思いなよ」

「記憶はないけど、習慣とか知識とかはあるんよね?よろしくね」

「みたいです……分かりました」


やる回数が減った、とクワイツとイヨイは喜んでいる。

そんな中、ヴグレだけが、今後の展開について、様々なパターンを予測し、逆算していた。


(その力、使わせてもらうぞ)

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