「神様の忘れ物」
ほんの少しの時間を、この物語に預けてみてください。
あなたの心に何かが残れば嬉しいです。
矢田は公園のベンチで、古びたノートを拾った。
表紙には「創造記録」と書かれている。
開くと、几帳面な文字でびっしりと何かが記されていた。
「4月3日 桜を咲かせる。風に舞わせる演出、良好」
「4月5日 矢田に偶然の出会いを与える。反応は予想通り」
矢田は凍りついた。自分の名前がある。
ページをめくると、自分の人生が事細かに記録されていた。就職、失恋、引っ越し。すべて、誰かの計画通りだった。
「これは…神様の日記?」
最後のページに、明日の日付があった。
「4月12日 矢田、公園にて心臓発作。18:30、死亡」
矢田は震えた。明日、死ぬ?
その時、背後で声がした。「あ、それ私の」
振り返ると、スーツ姿の青年が立っていた。
「神様…ですか?」
青年は困った顔で頷いた。「見ちゃいましたか。ルール違反なんですよね、予定を知られるの」
彼はノートを受け取り、ペンで何かを書き足した。
「4月11日 矢田、ノートを読む。18:30、記憶消去」
矢田の意識が、ゆっくりと遠のいていった。
お読みいただき、ありがとうございました。
この物語が、皆さまの時間に少しでも寄り添えていたら嬉しいです。
よろしければ、次の話も楽しみにしていただけると幸いです。




