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THE ORION  作者: 黒羽感類
東編 ー迷霧ー
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再会

日の出の時刻、オリオンたち五人は深い霧に包まれながら、オッサ山の中腹にも満たない場所を歩いていた。


仙人の助言によって、一本のロープを五人で握り、ただ前進する事のみを考えて歩いた。


すると五人を包んでいた深い霧が薄くなってきた。


ガブリエルは言う。


「霧地帯を抜けたか?」


その言葉にオリオンが返そうとした時、急激に霧が晴れて、五人は日に照らされる。


オリオンは仙人から受けた忠告を思い出した。


「霧が急激に晴れたら走り出せって言ってたよね・・・‼」


アネッテが返答をする間もなく、今度は山頂付近で木に何かが勢いよくぶつかる音がした。


五人は一斉に振り返る。


「戦いが始まったんだ・・・‼」


アネッテは言う。


「仙人の頑張りを無駄にしないように急ごう‼」


そう言って五人が振り返った瞬間、目の前の光景に驚愕する。


そこには、目に光が無く物憂そうに立つエルザ・リウがいたのだ。


エルザは抑揚のない声で言う。


「ギムレット:バースト 灼獄砲」


エルザの最大火力を誇る火炎放射が五人を襲う。


だが、炎はオリオンたちに直撃せず、足元に当たり、そのまま技の衝撃によって五人は投げ出されて来た道をいくらか戻されてしまう。


砂埃が晴れて五人はなんとか立ち上ろうとするが、エルザがすぐ近くまで登って来ていた。


「エルザ先生・・・なぜ・・・」


オリオンの問いかけに応答はなく表情一つ変えないエリザによって炎の弾丸が放たれる。


「テキーラ・ショット」


炎の弾丸はまたも五人に直撃はせず、足元に当たり砂埃を立てる。


五人が砂埃で視界を悪くしている間もエルザによる攻撃は絶えない。


「ネグローニ」


拳に炎を纏ったエルザが五人に襲いかかる。


オリオンは呪文詠唱の声と砂埃の変化を頼りにエルザの位置を導き出し、間一髪で引力によって動きを止めた。


砂埃が晴れる。


オリオンはエルザに語り掛ける。


「エルザ先生‼ 俺です‼ オリオン・ハナムレ―です‼ 攻撃をやめてください‼」


オリオンの制御された引力に捕まりながらも、エルザは淡々と目的を達成しようともがいている。


その動きに生気は感じられない。


様子のおかしいエルザにアネッテは疑問を抱く。


「いくらなんでもまったく応答しないのは変だよ」


エルザは明らかに五人を狙っている。だが遭遇してから、まだ一度も目が合っていないのだ。


「それってぇ。エルザ先生が本心で動いていないってことぉ?」


レンダが言う。


「つまり、何者かに操られている?」


「何者かって、ダヴィの仲間ってことか⁉」


ガブリエルの発言に五人に緊張が走った。


するとその時、エルザの口が開く。


「・・・に・・げ・・・・て・・・に・・げ・・・・・て・・・・・」


「先生‼ エルザ先生‼」


「操られているんですよね‼」


「助けるから‼ 他に何か言ってくれ‼」


「安心してぇ‼ アタシたちがやっつけるからぁ‼」


「エルザ先生、もう少しだけ待っていてください」


そう五人が語り掛けるとエルザの動きに変化が起きる。


引力に阻まれつつも五人を攻撃しようと動いていたエルザの体が動きを止めたのだ。


それと同時にエルザは眠るように目と口を閉じ、体はだらんと垂れた。


敵意が無くなったと判断したオリオンが引力を解くと五人はエルザに駆け寄る。


「先生ぃ動かなくなっちゃったぁ」


オリオンは言う。


「とにかく運ばなきゃ」


「でもよ。どこに運ぶ? 仙人は頼れねぇぞ」


レンダは言う。


「・・・フィモスの民。確か、医療技術が発達しているって」


その提案に他の四人が賛成し、エルザを起き上がらせようとした時だった。


「スプリッツァー」


エルザがそう詠唱するとエルザの周りに炎が現れ、五人を攻撃する。


五人は間一髪で避けるが、尻もちをついてしまう。


エルザは続ける。


「マティーニ」


エルザがそう言うと、エルザの頭上に炎の王冠が現れ、更に背後には炎の輪が出現した。


「エルザ先生・・・・・・クソッ‼」


「まだ、魔法は解けていない‼」


状況を理解した五人は即座に立ち上って構える。


「エルザ先生を傷つけたくないけど」とアネッテが言うと「本気でやらなきゃ、捕まえることもできないっしょ‼」とサレンが続く。


レンダは最低限他の四人が聞こえる声量で言う。


「エルザ先生を操っている魔法使いがこの近くで監視しているはずだ。二手に別れよう」


「わかった」


五人はエルザから距離を取ろうと走り出すと、ガブリエル、サレン、レンダが魔法使いを探しに木々の中に入って行き、オリオンとアネッテがエルザの相手をするためエルザの気を引いた。


オリオンはエルザに相対すると引力を放つ。


オリオンの引力があれば、エルザを傷つけずに捕えられ、ガブリエルたち三人が魔法使いを倒している間、時間稼ぎができる。


そう判断しての役割分担であったが、学院教師であるエルザに同じ手は通用しなかった。


エルザは言う。


「スプリッツァー」


呪文詠唱を終えるとエルザの背後にある炎の輪から翼の形をした炎が現れ、そこから炎が勢いよく噴出した。


噴出する炎によってエルザの動く速度が格段に上がり、オリオンはエルザを捕え損ねる。


エルザはオリオンとアネッテを追い越して山頂の方向へ飛んでいく。


二人がエルザを追いかけようとすると炎の弾丸が放たれる。


炎の弾丸はこれまでと違い、威力と速度が格段に上昇しており、避けることを諦めた二人の足元に当たり、二人は投げ出された。


オリオンは立ち上る。


「あの、王冠と輪が現れてからだ」


「うん。魔法の威力を上げる魔法みたいだね」


山頂へ向かうエルザを追って二人は走り出した。

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