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本日三回目の投稿です。

 そして、桃華は入部届けを提出していない事に気が付き、もらった入部届けを広げた。名前とクラスを記入するだけの物だ。女の子らしいマルっとした字で、記入する。

「あ、桃ちん…。ごっめーん!私さぁ、薫君と同じ演劇部に入ろうと思うんだ。ほんっとゴメンね。」

 涼子は悪びれも無く謝る。桃華は自分の眉が八の字になるのを自覚したけど、中学時代は常に1人だった。それを考えると、別にどうという事でも無い気がした。


「おい、流石にそれはねーべ。」

 準は八の字になった桃華の眉を見つめて、静かに涼子を注意した。

涼子の事は、確かに彼女にしたいと思うぐらい綺麗だったが、友達を蔑ろにする行為に、自分の気持ちが冷めていく事に気が付いた。

「あ、いいの。涼子は行きたい部活に行ってね。」

 桃華は、気持ちを切り替えてニコっと笑う。準はそんな桃華にも、もっと怒っていいんじゃないか?と思ったが、心根が優しそうな桃華には言えないだろうなと思いなおして、ため息を付いた。

「ほらっ!桃ちんだって、いいって言ってるし。」

 臍を曲げた涼子は、プイっと綺麗な顔を背けた。その時紫色の霞が人の形を取り始めた。まだ、影と呼ばれる位だったが…


 早速朝のホームルームが終わった時、桃華は担任である良哉に入部届けを出した。

「お、澄田は写真部か!俺、写真部顧問なんだ。」

「え!そうだったんですか。よろしくお願いします。」

 桃華は律義に頭を下げる。

「体験入部はしたのか?」

「はい。昨日行ってきました。先輩の写真を見せてもらいました。」

「そうか。澄田がどんな写真撮るか楽しみだな。今日は行くのか?」

「はい。土日に鬼封村へ行くので、先輩に景色の撮り方を教わりたいと思っているんですけど、活動曜日は…?」

「基本的には自由だが…名越はほぼ毎日いると思うよ。今日は俺も部室に行くからな。」


 顧問は誰だろうと思っていたが、年若い良哉が顧問で何となく桃華は親しみが湧いてホっとした。

 名越先輩、あれから大丈夫だったのだろうか…

昨日の出来事を思い出して、そっと肩を震わせた。


「こんにちは。」

桃華は1人で来て部室の扉を開けた。

「こんちわ~って…あれ、澄田さん。写真部に入部したの?」

「はい。父がデジタル一眼レフを持っていたみたいで、鬼封村の景色も撮りたいなって。」

たどたどしく喋る桃華に、名越はにっこり笑った。

「そっか。今日からよろしくな。」

「よろしくお願いします…あの…この間の事ですけど…。」

「ああ、あれな。変な男に付きまとわれているの?また何かあったら、俺家まで送るから遠慮するなよ?」

「あ、ありがとうございます。」


 名越は本当に心配そうに桃華の事を案じた。ただ、桃華は変な男では無く怨霊だったと伝える事が出来なかった。人には知らなくていい事があるのだ。

「あの…名越先輩は景色がとても綺麗だったので、コツを教わってもいいですか?」

「もちろん。」


 名越は、部活用の共有カメラで初心者用のちょっとしたコツを熱心に教えてくれた。


「名越先輩、練習に付き合って下さい。その扉をバックに写真とってもいいですか?」

「ん?俺?いいけど…。」


 その時、「おっす!!」と言いながら良哉が思い切り中に入った。


カシャ!


 驚いて桃華はうっかりシャッターを押した。

「おお!ビックリした。澄田、早速来たか。名越、澄田は俺のクラスの生徒なんだ。色々教えてやってくれよ。」

「もちろんです。」

「あ、先生。写真の練習したいので名越先輩の隣に立ってもらってもいいですか?」

「お!いいぞ。」


 良哉は、名越の隣に立ちピースをした。良哉は写真を撮る時おじさん臭いと思いつつ、ついついピースをしてしまうのだ。


「はい、チーズ。」


 そんな桃華もベタな合図をして撮った。

「見せて!」

 名越は、桃華の肩越しにカメラの再生を見た。

「え…。」


 画像には、映ってはいけない者が名越と良哉の間にいた(・・)。

 桃華は、無言で画像を消して次の画面になった。先ほど驚いてシャッターを切った良哉の写真があった。


その首筋には赤い線が横切っていた。


 これも、直ぐ削除した。

桃華は、冷や汗が出た。先輩と先生は自分の事をどう思っただろうか?気持ち悪いって…思われたかな。小さい頃の記憶が、桃華の心に影を落としている。きっと、黒い霞が溢れる…。


「いや~凄い物見ちゃったな。けど、今澄田が削除したし大丈夫だ。」

良哉は、一瞬だが首に赤い線が入っていたのを見ている筈なのに、何てことないように笑いながらおどけた。


「そうそう。澄田さんが気に病む事は無いよ。大丈夫?」

名越に至っては、この間の事もあるのに逆に桃華を心配そうに見ている。

「はい。大丈夫です。」

 何時の間に息を詰めていたのか、ふぅーっと震えるように吐息が漏れた。

名越は、やけにその吐息が色っぽく感じられたのだが、繊細そうな後輩の事が本当に心配だった。


 その日は、それで終わりにして彩子に迎えに来てもらった。

とりあえず、部活は鬼封村に行ってからにしよう。と決意をする。絶対にこの怨霊は鬼封村に関係している筈だ。


 寝る前に、岩の欠片から金色の糸を紡いで、ドリームキャッチャーを作りベッドの脇に置いておいた。



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