第二話 兄の家
ノゾムと共にとある森にやってきた
イスカ「どうしてこんな森の奥に?」
僕の問いかけにノゾムは振り返りもせず
ノゾム「回収せなあかんもんがあるんよ」
回収しないといけないもの?
まぁ確かに、ノゾムは世間的には「危ない」、「子供が真似したらどう責任をとるつもりだ」とか言われるものを作っているからな……
ノゾム「あ、見えてきたで」
「あれが、私の兄さんが住んでいた家や」
ノゾムに兄がいたのか
どんな人だったのだろうか……
ノゾム「私の兄さんのことは、考えん方がええで」
そう言われると更に気になってしまうのだが……
ノゾム「ほら、早く入るで」
ノゾムがドアノブに手をかける
ノゾム「あ、やっぱり脆くなっとるなぁ」
ドアノブに触れた瞬間、ボロボロと崩れ落ちていた
イスカ「……何年放置したんだ?」
ノゾム「さぁね、兄がここに住む前からあったからな」
ノゾムの隣に来てその横顔を覗き見ると、凄く悲しげな顔をしていた
……ノゾムでも、そんな顔すんだな
ノゾム「まぁええわ」
「どうせ、もうここには来おへんし」
ノゾムがドアに触れると、そこがぐわんと歪み、ボロボロと崩れ落ちていった
イスカ「大丈夫なのか、これ」
ノゾム「大丈夫や……多分」
多分て
腐り落ちた木の破片を踏みながら中に入って行くのを、僕はただ見ていた
ノゾム「イスカも、入ってええで」
許可が出た
たとえ、人が居なくとも不法侵入はダメだからな
……兄弟間でもダメな気がするが
まぁいいか
木の破片を踏まずに家の中に入る
ノゾムは迷いなく進む
ノゾム「用事が済むまで、この家見ててええで」
「……もうすぐ、この家も無くなるやろうし」
無くなるとは……
追求する前に、ノゾムは更に奥へと進み姿が見えなくなっていた
僕は、とりあえず右の扉を開けた
そこは、何かの作業室だった
錆びたノコギリ、鉄臭い机
ゆっくり扉を閉め、見なかったフリをした
気を取り直し、家の奥に行く
歩き進めていると、壁の木には虫食いの穴があるのに気づき早歩きにする
少しすると、左に扉が見えてきた
そこの扉を開けると、リビングルームのようだった
他のところより、新しそうだった
……というより、本当に新しかった
外の様子は見えないが明るいのは分かる
テーブルの上に、開いたままのノートがあるのを発見
ノートを覗き込むと、そこには僕の知らない言語が書かれていた
解読しようとポケットからペンを取り出そうとした
だが
ノゾム「イスカ、終わったで」
用事が済んだのか、部屋の外にノゾムが立っていた
イスカ「あ、もう終わったのか」
ノゾム「兄さんの部屋に行っとったんや」
兄の部屋、なぜ
ノゾム「それよか、その日記帳、こっちに持ってきてくれへんか?」
ノゾムは僕が見ていたノートを指さし言っていた
イスカ「……あ、これ日記帳なんだ」
日記帳を持ち、扉の方へ向かう
ノゾム「あんがとな」
「さて、そろそろ行こか」
✿
玄関を通り抜けるともう夕方のようだ
体感、20分しか経っていないが……
振り向くと、そこにあったはずの家が無くなっていた
あったのは、小さな木が一つだけ
ノゾムに視線をやると
ノゾム「この近くに、私の秘密基地があるんよ」
「そこで休もか」
秘密基地
憧れの基地
イスカ「早く行こう」
ノゾム「なんでそんな乗り気なんやこん人」
✿
新月の日にしか現れない、私の兄さんの家
イスカが寝てる隙に、外へ行った
そして、持ってきた兄さんの日記帳を見る
……やはり、私の兄さんは
『同族喰い』だ
私は静かに、兄さんの日記帳を魔法で燃やし、祈る
あぁ、神様
兄さんの罰は私が受け継ぐ
そして、イスカを共犯にする罪も、私が全て受け入れる
だからどうか
彼だけは許してください
彼はまだ、愛されている
だからどうか、私にだけ罰を
日記にはこう記されていた
『"O? Dè a th' ann?" Thionndaidh i gu sgiobalta, a falt fada geal a' gluasad. "O, dìreach mharbh mi cuideigin." "Mar sin, shaoil mi gum b' urrainn dhuinn an corp a cho-roinn." Nuair a thuirt mi sin, bha coltas beagan iongantais oirre. "Tuigidh mi... mar sin tha sinn a' roinn na creiche, a-nis." "Ma-thà, an urrainn dhomh am falt a ghabhail?" "Agus na sùilean agus an eanchainn cuideachd." Dh'innis ise cuideachd na bha i ag iarraidh, mar gum b' e an rud as nàdarrach san t-saoghal a bh' ann. Mar sin, thug mi na sùilean agus an eanchainn dhi. "O, an dà chuid?" "Tapadh leat." "Co-dhiù, rinn mi tì glè mhath." Bha sin fìor. Bha an tì a rinn i nas fheàrr na tì duine sam bith eile. "Uill, tha mi a' smaoineachadh gun gabh mi beagan dheth." Thug i cupa a-mach agus dhòirt i an tì dhomh. ...Sin an cuimhne mu dheireadh a th' agam oirre. Chan urrainn dhomh cuimhneachadh dè thachair às a dhèidh sin. Tha mi a' faighneachd dhomh fhìn carson. Ma smaoinicheas mi air, cò ris a bha i coltach? ...Chan urrainn dhomh cuimhneachadh.』




