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火球しか使えない私が、異世界最強の英雄に祭り上げられる(と、本人は不服である)  作者: SSS
借りてきた猫だった私が、なぜか国際会議で帝国を屈服させた聖女と讃えられる(と、本人は脳汁が足りず不完全燃焼である)

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第12話 なんなんだ、この情報包囲網は



 一人目の、暗殺者を、捕えてから。……あとは、早かった。



  ◇



 なにしろ、うちの国には。……そこらじゅうに、精霊が、いる。


 地面にも、木にも、水にも、風にも。……野良の、精霊まで、含めれば。……もう、数えきれない、ほどの、精霊が。……国中に、遍在している。


 ……その、精霊たちが。……こぞって、私に、教えてくれるのだ。「あ、あそこに、殺意を持ったやつがいる」「こっちにも、こそこそ調べてるやつがいる」と。……悪意も、殺意も。……この国では、隠しようが、ない。


 ……だから。……あとは。……精霊たちに、教えてもらった、片っ端から。……とっ捕まえて、いくだけ、だった。



  ◇



 殺意を、持った、二〇人。……そして、悪口を、ばらまいて、いた、一〇人。……合わせて、三〇人。


 ……その、全員を。……私たちは。……一人、残らず。……捕縛した。


 ……逃げた、者は、いない。……そもそも、精霊の、目からは。……どこに、隠れようが。……無駄なのだ。


「……なんなんだ、この国は……!」


 縄を、打たれた、捕虜の、一人が。……青ざめた、顔で、呻いた。


「……どこに、いても。……どこに、隠れても。……どうやって、探し出しやがる……! ……この、情報包囲網は。……いったい、なんなんだ……!?」


 ……ふふ。……精霊、様々、ね。


 ……もちろん、答えて、あげる、義理は、ないので。……私は、にっこり、微笑んで、おいた。



  ◇



「……で。……あんたたち。……誰に、雇われて、来たの?」


 私は、捕虜たちに、尋ねた。


「……知らねえ」捕虜の、一人が。……ふてくされたように、言った。「……裏の、ギルドで。……依頼を、受けただけだ。……"聖女を、始末すれば。……莫大な、報奨金を、出す"、と。……それだけの、話さ」


「……依頼主は?」


「……知らねえ、って。……そういうのは。……足が、つかないように。……何重にも。……仲介を、挟んでる。……俺たち、下っ端に。……依頼主の、名前なんか。……わかる、わけ、ねえだろ」


 ……ふうん。


 ……金で、雇われた、だけ。……依頼主は、不明。……なるほど。……用意周到、ね。



  ◇



「……信じられませんね」


 いつのまにか、隣に、来ていた、五百旗頭さんが。……腕を、組んで、言った。


「……これだけの、人数を。……金で、雇って。……あなたを、狙わせる、なんて。……よほど、うちの国を。……良く思って、いない、勢力の、仕業でしょう」


「……心当たり、ある?」私は、聞いた。


「……いくつか」五百旗頭さんは、目を、細めた。「……一番、怪しいのは。……先日、諸侯会議で、恥を、かかされた。……帝国、でしょうか。……あの、宰相なら。……逆恨みで。……こういう、汚い、手を、使っても。……おかしくない。……ですが」


「……ですが?」


「……それ以外の、可能性も。……ある。……なにせ、うちは。……いろいろな、国に。……恨まれる、心当たりが。……ありすぎますから」


 ……それは、それで、どうなの。……我が国。



  ◇



「……で。……この、三〇人。……どうしましょうか」私は、ずらりと、並んだ、捕虜たちを、見て、言った。


「……ギルドに、引き渡すのが。……筋、ですが」五百旗頭さんが、言った。「……ただ、こいつら。……依頼主を、知らない、以上。……引き渡しても。……大した、情報は。……出ないでしょうね」


 ……ふむ。


 ……私は、少し、考えて。……それから、ぽん、と、手を、打った。


「……じゃあ。……こうしましょう」私は、にっこり、笑った。「……この、暗殺者たちを。……魔王軍の、陣地の、近くに。……放り投げて、おきましょう」


「……は?」五百旗頭さんが、目を、丸くした。「……魔王軍の、陣地に?」


「そう」私は、頷いた。「……ほら。……うちと、魔王軍は。……秘密の、不可侵条約、結んでる、でしょう。……ちょっとした、"よしみ"が、あるの。……だから。……魔王軍の、情報網なら。……ひょっとしたら。……この、暗殺者の、雇い主に。……心当たりが。……あるかも、しれないじゃない」


 ……我ながら。……なかなか。……いい、思いつき。



  ◇



「……あなた。……たまに。……妙に、冴えますね」五百旗頭さんが。……感心したように、言った。「……ええ。……悪くない、案です。……魔王軍なら。……人間の、諜報網とは。……別の、情報を。……持っている、かも、しれない」


「……でしょう?」私は、得意げに、胸を、張った。


「……ちょっと、待て!」捕虜の、一人が。……悲鳴を、上げた。「……ま、魔王軍だと!? ……魔族の、ところに、放り込む、気か!? ……やめてくれ! ……何を、されるか……!」


「……あら。……大丈夫よ」私は、にっこり、微笑んだ。「……ちゃんと、生きた、まま。……届けて、あげるから。……そのあと、どうなるかは。……知らないけど」


「……ひいっ」


 ……ふふ。……ちょっと、意地悪、だったかしら。……でも。……人の、国で。……暗殺だの、悪口だの。……好き放題、してくれたんだから。……これくらいの、お仕置きは。……当然、でしょう。



  ◇



 ……こうして。……三〇人の、刺客と、工作員は。……あっけなく、全員、捕縛され。……そのうち、何人かは。……魔王軍への、"お届け物"に、なった。


 ……国を、揺るがそうと、やってきた、はずの、刺客たちは。……何一つ、成果を、上げられない、まま。……ただ、"精霊の、情報包囲網"の、前に。……完敗した、のだった。


 ……そして。……この、捕虜たちの、中に。……一人。……のちに。……あの、王国の、企みの、尻尾を。……つかむ、きっかけと、なる、人物が。……交じって、いた、こと。


 ……それに、気づいたのは。……私では、なく。……五百旗頭さん、だった。



(第12話 了)

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