↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
火球しか使えない私が、異世界最強の英雄に祭り上げられる(と、本人は不服である)  作者: SSS
借りてきた猫だった私が、なぜか国際会議で帝国を屈服させた聖女と讃えられる(と、本人は脳汁が足りず不完全燃焼である)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/60

第8話 聖女国支援同盟



 帝国の宰相が、諸国の前で、しどろもどろに、なっている。


 その様子を見て、諸国の空気は、一気に、ある方向へと、傾いていった。



  ◇



「……しかし、考えてみれば」一人の代表が、思案げに、言った。「聖女殿の国は、我ら全員にとって、重要ではないか。魔王軍を、最前線で、食い止めてくださっているのだからな」


「うむ」議長を務める、ドルバー連合王国の王子が、頷いた。「もし、聖女殿の国が、倒れれば。魔王軍は、堰を切ったように、我らの国々へ、なだれ込んでくる」


「つまり」別の代表が、続けた。「聖女殿の国は、今は、無事でも。常に、魔王軍の、脅威に、さらされている。……ならば、これは。帝国一国に、任せておく、話では、あるまい」


「そうだ」


「我ら、諸侯、みなで。聖女殿の国を、支えるべきでは、ないか」


「賛成だ」


「異論なし」


 ……あれよ、あれよ、という間に。話が、どんどん、大きくなっていく。



  ◇



 と。そこで。また、五百旗頭さんが。すっと、前に、出た。


「――皆様の、御厚意。我が国を、代表して、感謝申し上げます」五百旗頭さんは、優雅に、一礼した。「では、この場をもちまして。有志の諸国による、"聖女国支援同盟"の、立ち上げを、ここに、宣言させていただきます」


 ……おお、と。会議場が、どよめいた。


 諸国の代表たちが、次々と、賛意を、示していく。


 ……こうして。私の国――湊ミライ聖教国は。この、諸侯会議の場で。正式に、一つの、独立国家として、承認され。そのうえ、諸国が、こぞって、支える、"支援同盟"まで、結成される、ことに、なった、のだった。


 ……属国化、どころか。逆に。諸国から、守ってもらえる、立場に。


 ……ふふ。……なんだか。よくわからないけど。大成功、みたい。



  ◇



 会議が、一段落し。休憩に、入った、とき。


 帝国の宰相が、苦々しい顔で、五百旗頭さんの、そばに、寄ってきた。そして、低い声で、囁いた。


「……勇者。貴様。……何か、やったのか」


 ……お。修羅場の、匂い。


「さて」五百旗頭さんは、涼しい顔で、答えた。「私は、何も。……我が国の、聖女様に。演説して、いただいた、だけですが。……何か?」


 ……宰相は。ぎり、と、歯噛みして。それ以上、何も言えずに、去っていった。


 ……ふふ。ざまあ、みなさい。私の、演説の、勝利よ。



  ◇



 ――と、そのとき、私は。まだ、知らなかった。


 この、五百旗頭さんの、「聖女様に、演説して、いただいた、だけ」という言葉の。……本当の、意味を。



  ◇



 ……あとで、二人きりに、なったとき。五百旗頭さんは、こっそりと、種を、明かして、くれた。


 ……なんでも。すべては、五百旗頭さんの、筋書き通り、だった、らしい。


 まず、私と、喧嘩したこと。あれで、私が、しょげて、静かになって、いる、間に。五百旗頭さんは、水面下で、動いていた。


 ……魔王領から、逃げていた頃に、世話になった、いくつかの国。それらと、ひそかに、連絡を取り。「帝国が、覇権を、狙っている」という、共通の、危機感で、手を、結んで、いた。ついでに、他に、野心を、抱えた、国が、ないかも、調べて。


 そして、諸侯会議で、帝国が、筋書き通り、私に、詰め寄ってきたのを、見計らって。……私に、あの、耳打ちを、して。スイッチを、入れた。


 ……私の、萎縮も。私の、復活も。私の、演説も。全部。五百旗頭さんの、手の、ひらの、上、だった、のだ。



  ◇



「……ちょっと。それって」私は、思わず、むくれた。「私。いいように、使われた、ってこと?」


「人聞きの、悪い」五百旗頭さんは、くすりと、笑った。「……あなたに、しか、できない、役目を、果たして、もらった、んです。……私が、いくら、裏で、手を、回しても。最後に、あの、大舞台で。諸国の、心を、掴んだのは。……間違いなく、あなたの、演説ですよ、ミライ」


 ……む。


 ……そう、言われると。悪い、気は、しない、けど。


「……なんか。釈然としないわ」私は、頬を、膨らませた。「……せっかく、久しぶりに、脳汁が、出そうだったのに。……なんか、あっさり、終わっちゃって。……不完全燃焼、なのよね」


 ……そう。勝ったことは、勝った。国も、承認された。でも。……こう。もっと、こう。派手に、劇的に。「聖女、ここにあり!」って。脳汁が、ドバドバ、出る、はずだった、のに。……気づいたら、五百旗頭さんの、段取りで。……するっと、勝って、いた。


 ……なんか。物足りない。



  ◇



 ……でも。まあ、いいか。


 私は、すぐに、気を、取り直した。


 ……だって。結果的に。この、格上だらけの、会議で。羨望の、まなざしを、集めて。「聖女、聖女」と、崇められて、いるのは。……ほかでも、ない、この、私、なんだから。


 ……誰が、裏で、何を、していようが。表舞台で、スポットライトを、浴びて、いるのは、私。それで、いいじゃない。細かいことは、気にしない。私は、結果、優先主義、なの。


 ……それに。


 あとで、二人きりのときに、もう一度。「すべて、ミライのお陰です」って。……五百旗頭さんに、言い直して、もらおう。


 ……うん。それで、満足、しようじゃ、ないの。



  ◇



 ……あ。そういえば。


 私は、ふと、思い出した。


 ……そうだ。あの、某国の、伯爵。冒険者ギルドを、支援している、っていう、ギルド長。あいつに、文句を、言うのを、忘れてた。


 ……なんで、アリシアが、Bランクで。この、私が。Cランクの、ままなのよ。おかしいでしょう。私、聖女で、一国の、元首よ? どう考えても、Bランク、いえ、Aランクくらい、あって、然るべき、でしょう。


 ……あわよくば、この、諸侯会議の、ついでに、捕まえて。「Bランクに、上げなさい」って。確約を、もらいたかった、のに。


 ……ま。今回は。魔王討伐だの、支援同盟だので。バタバタ、していたし。……いいでしょう。その話は。また、今度。


 ……そう。今回は、まあ、いいでしょう。


 ……なんて、このときの、私は。呑気に、考えていた、のだった。



(第8話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。