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火球しか使えない私が、異世界最強の英雄に祭り上げられる(と、本人は不服である)  作者: SSS
精霊と築く私の国が、なぜか勝手に建国されて聖女国家と呼ばれる(と、本人は思っていない)

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エピローグ 仲直りできないまま



 ……私の、機嫌が、直って。……国が、また、豊かさを、取り戻した。……その、裏で。


 ……ある、"影"が。……静かに。……忍び寄って、いた。



  ◇



 ……ことの、発端は。……少し、前に、遡る。


 私の、周りには。……いつも。……たくさんの、精霊が、いる。……野良精霊も、含めれば。……その、数は。……もう。……数えきれない。……誰でも。……私を、慕えば。……仲間として。……受け入れて、きた。


 ……それが。……仇に、なった。


 ……その、群れの、中に。……一匹。……精霊の、ふりを、した。……"別の、もの"が。……紛れ込んで、いたのだ。


 ……帝国軍の。……使い魔。……こっそりと。……私たちの、様子を。……探るための。……スパイ。



  ◇



 ……精霊たちは。……気づいて、いた。


『……ミライ。……あのね。……変なやつが、いるの』


『……最近、来た、あの子。……なんか。……精霊じゃ、ない、気がする』


『……ミライ。……聞いて、ミライ』


 ……でも。


 ……そのとき、私は。


『……五百旗頭さんが、さあ。……また、帝都に、行っちゃって……』


『……ねえ、聞いてる、ミライ?』


『……私って、やっぱり。……蚊帳の外、なのかしら……』


『……ミライ、そうじゃなくて、変なやつが……』


「……もう、うるさいわね。……今、私の、愚痴を、聞いてる、ところでしょう。……あとに、して」


 ……そう。……私は。……五百旗頭への、愚痴と。……自分の、"もやもや"で。……頭が、いっぱいで。


 ……精霊たちの。……大事な、警告を。


 ……ろくに。……聞いて、いなかったのだ。



  ◇



 ……そして。……その、使い魔は。……まんまと。……見て、いた。


 ……聖女と、勇者が。……仲たがい、していること。……ミライが、五百旗頭に、拗ねて。……二人の、間に。……隙間風が。……吹いて、いること。


 ……その、情報は。……帝国の。……あの、軍師のもとへと。……ひそかに。……届けられた。



  ◇



 ――さて。……ここで。……舞台は。……帝国の、宮廷に、移る。



「……ふむ。……聖女と、勇者が。……仲たがい、とな」


 目つきの、鋭い、軍師は。……使い魔の、報告を、聞いて。……にやり、と。……笑った。


「……好機だ」


 軍師には。……かねてより。……一つの。……悩みが、あった。


 ……あの、"聖女の、国"。……本当なら。……とっくに。……帝国の、属国に、してやる、はず、だった。……なのに。……あの、国には。……あの、小賢しい、勇者――五百旗頭、が、いる。


 ……あの、女が。……厄介、なのだ。……交渉ごとは。……すべて。……あの、女が、仕切る。……そして。……のらりくらりと。……こちらの、要求を、かわし。……いつのまにか。……あの、国は。……"半独立国"として。……なし崩し的に。……追認、せざるを。……得ない、状況に。……追い込まれて、いた。


 ……あの、勇者が、いる、限り。……聖女の、国を。……帝国の、思う、ままには。……できない。



  ◇



「……だが」軍師は。……ほくそ笑んだ。「……その、聖女と、勇者が。……仲たがい、して、いるなら。……話は。……別だ」


 軍師の、狙いは。……こうだ。


 ……あの、承認欲求の、塊のような。……聖女を。……勇者から。……引き離す。……そして。……大勢の、人間が。……見て、いる、場所へ。……引きずり、出す。


 ……そう。……"諸侯会議"――。


 人間の、国々の。……王や。……諸侯が。……一堂に、会する。……国際会議。……トップ会談の、場、だ。


 ……その、大舞台で。……聖女を。……おだてて。……いい気に、させ。……そして。……たった、一言。……"我が、国は、帝国の、庇護下に、あります"、と。……公の、場で。……言わせさえ、すれば。


 ……それで。……終わり。


 ……聖女の、国は。……名実ともに。……帝国の、属国。……そして。……その、聖女を、擁する、帝国は。……人間、諸国の、中で。……頭一つ、抜けた。……覇権国家へと。……のし上がる。


「……ふふ。……あの、単純な、聖女なら」軍師は。……舌なめずり、した。「……舞踏会だの。……名誉だのと。……おだてて、やれば。……ころり、と。……乗って、くる。……勇者の、目の。……届かぬ、場所で。……な」



  ◇



 ――そして。……数日後。


 私たちの、国に。……一通の。……仰々しい。……招待状が。……届いた。



『……諸侯連合、主催。……国際会議への。……ご招待』



「……国際会議?」私は。……その、招待状を。……手に、取った。


「……見せて、ください」五百旗頭が。……横から。……招待状を、覗き込み。……その、表情を。……険しく、した。「……人間の、諸国が。……一堂に、会する。……トップ会談……。……そこに。……"聖女の、国"も。……招かれた、と」


「……ふうん」私は。……気の、ない、返事を、した。「……なんか。……面倒くさそう」


「……ミライ」五百旗頭は。……真剣な、顔で、言った。「……これは。……罠の、匂いが、します。……こんな、大舞台に。……わざわざ。……うちを、招く、なんて。……何か。……裏が、ある。……安易に。……行っては……」


「……行くわよ」私は。……ぴしゃり、と、言った。


「……ミライ」


「……だって」私は。……そっぽを、向いたまま、言った。「……国際会議、でしょう。……いろんな、国の。……偉い、人が、集まる。……その、場に。……"聖女"として。……招かれるの。……名誉な、ことじゃ、ない。……行くに、決まってる」


 ……本当は。……まだ。……五百旗頭に。……拗ねて、いた、私は。……五百旗頭が。……"行くな"、と、言うから。……なおさら。……"行く"、と。……意地に、なって、いた、だけ。……なのだけど。



  ◇



「……はあ」五百旗頭は。……ため息を、ついた。「……わかりました。……あなたが、そう、言うなら。……止めても。……無駄、でしょう。……でも」


「……でも?」


「……私も。……行きます」五百旗頭は。……きっぱりと、言った。「……あなた、一人を。……あんな。……魑魅魍魎の、巣窟に。……行かせる、わけには。……いきません。……勇者である、私が。……国を、空けるのは。……本当は。……避けたい、ですが。……背に、腹は。……代えられない」


 ……ふん。


 ……勝手に、すれば。


「……ちなみに」五百旗頭は。……ちらり、と。……私を、見た。「……ミライ。……その。……先日の、こと、なんですが。……私が。……あなたを、構えて、いなかったのは……」


「――その、話は、いいの」私は。……ぴしゃり、と。……遮った。「……別に。……もう。……怒って、ないし。……あんたの、ことなんて。……なんとも、思って、ないから」


 ……嘘。……まだ。……ちょっと。……もやもや、してる。


「……そう、ですか」五百旗頭は。……困った、ように。……微笑んだ。「……そう、ですか……」


 ……こうして、私たちは。……仲直り、できないまま。……ぎくしゃくした、空気を。……引きずったまま。


 ……あの、"諸侯会議"へと。……向かう、ことに、なったのだった。



  ◇



 ……ちなみに。……この、とき。


 私は。……まだ。……何も。……わかって、いなかった。


 ……あの、招待状が。……軍師の、仕掛けた。……罠、である、ことも。……私の、群れに。……敵の、使い魔が。……紛れ込んで、いる、ことも。……そして。……この、会議で。……私が。……たった、一言。……"帝国の、庇護下に、あります"、と。……口を、滑らせる、だけで。……この、国が。……築き上げた、独立が。……音を、立てて。……崩れ去る、ことも。


 ……私は。……ただ。……"国際会議に、招かれた、聖女"、という。……その、響きに。……浮かれて。……そして。……隣を、歩く、五百旗頭とは。……気まずいまま。……ぷいと。……顔を、背けて、いた。


 ……人間と、魔族と、精霊。……その、すべてに、認められた。……私の、小さな、国。


 ……その、真価が。……そして。……私と、五百旗頭の。……絆が。……本当に、問われるのは。


 ……この、先。……あの。……諸侯会議の、大舞台。……そこから、だった。


 ――でも。……それは。……また。……次の、お話。



(最終話 了 / 精霊郷建国編 完)

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