↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者パーティーを追放された俺、実は生産スキルが勇者のスキルより強かった  作者: 月兎
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/23

21. 安全第一

 男はレグルの首を掴み、そのまま地面から持ち上げた。握る力はどんどん強くなり、レグルは次第に息をすることさえ苦しくなっていった。


「ブ、ブラン……?」


 その握力は、まるで首を万力で締めつけられているかのようだった。レグルはブランの手に自分の両手を重ね、その指を一本ずつ外そうとしたが、まったく歯が立たなかった。やはりレグルは、ゴリラのような体格をしたこの男よりもはるかに小さかった。


「俺の妻に何をした!?」

「つ、妻……?」


 そのとき、レグルはシルラの記憶を消したことを思い出した。しかし、それは彼女のためでもあった。


 村人たちは、ただ黙ってその様子を見ていた。レグルは助けを求めたかったが、誰も助けに入ろうとはしなかった。その中で、クララが涙を浮かべながら二人を見つめているのが目に入った。


「ブランさん、お願いです! その人を放してください!」


 クララが一歩前へ出た。しかし、ブランは指一本動かそうとしなかった。


「俺はお前を野良犬みたいな状態から拾ってやった……。それなのに、お前は俺の妻にあんな酷いことをした……。お前を殺してやる!」

「警告:物理的な危険を確認。脅威を排除します」

「え? やめろ!」

「ブラン、話を聞いてくれ……」

「黙れ!」


 そう言うと、男はもう片方の手を握りしめ、拳を振り上げた。そして、そのままレグルへ殴りかかろうとした。


 その瞬間、レグルの身体が光り始めた。

 そして彼の背後に、巨大な木製のハンマーが現れた。ハンマーには有刺鉄線が巻きついている。まるで見えない何かに操られているかのように、それは勢いよく振り下ろされ、ブランの後頭部を強く打ちつけた。


 ブランはすぐにレグルの首から手を離し、その場に倒れ込んだ。その一撃は、大柄な男の命を奪うほどの威力だった。


 レグルは片膝をつき、数秒間その場から動くことができなかった。ブランに掴まれていた首には、まだ冷たい感触が残っている。そして、自分の身に一体何が起きたのか、レグル自身も理解できていなかった。背後に浮かんでいた巨大なハンマーはゆっくりと消え、地面には木片だけが残された。レグルは倒れているブランを見つめ、それから自分の手へと視線を落とした。


「俺は……」


 誰も答えなかった。村人たちは動かず、レグルへ近づくことさえできずにいた。ほんの数分前まで、彼らはレグルを助けなければならない人間として見ていた。しかし今、その目に浮かんでいるのは恐怖だった。レグルはそれに気づき、自分の胸の奥がさらに重くなっていくのを感じた。


 最初に沈黙を破ったのはクララだった。彼女はブランのもとへ駆け寄ると、その隣に膝をついた。


「お父さん……」


 声が震えていた。クララは恐る恐るブランの肩に触れたが、ブランは動かなかった。


「お父さん! 起きて! お願いだから!」


 レグルが一歩前へ進む。しかし、クララは勢いよく顔を上げ、レグルを見つめた。その目には涙が浮かんでいたが、そこには悲しみだけではなく、怒りも宿っていた。


 レグルは足を止めた。


 自分はブランを殺そうとしたわけではない。自分のスキルが勝手に危険へ反応したのだ。そう説明したかった。


 しかし、それすらも自分自身への言い訳にしか聞こえなかった。


「警告:脅威を排除しました」


「……黙れ」


「ユーザーの状態は安定しています」


 レグルを取り囲んでいた村人たちの表情が、少しずつ変わっていった。


「ブランさん!! ブランさん!!」


 村人たちは一斉にブランのもとへ駆け寄った。どうやらブランは、この村の人々にとって、それほど大切な存在だったらしい。



 警告:物理的な危険を確認。脅威を排除します」

 嫌だ! どうすればいいんだ……。このままじゃ、みんなに殺される……! それに……もし俺のスキルが、こいつらまで殺してしまったら……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。