13. レグル、頑張って
レグルの話を聞きながら、二人は楽しそうに話していた。シルラはまるで別人のようだった。以前のレグルが知っている彼女は、物静かで控えめな女性だった。しかし、今のシルラはまるで昔からの親友のように感じられた。二人はすぐに意気投合し、何でも気軽に話せるようになっていた。
レグルが今回の襲撃のことを忘れかけていた、その時だった。
突然、頭の中に聞き慣れた女性の声が響いた。
「警告:ブラン・ランという人物の現在地を確認しました」
(何?! ブラン・ラン?! ランって名字なのか? どこにいるんだ?)
「回答:第二階層のダンジョンです」
(第二階層のダンジョン?!)
レグルは勢いよく身体を起こした。
(でも、どうして僕が頼んでもいないのに自分から助けてくれたんだ?)
「…………」
声は突然、黙り込んだ。
レグルは数秒間、返事を待った。しかし、いつまで経っても返事はなかった。
「…………」
レグルは眉をひそめた。
その沈黙には、何か妙なものが感じられた。
まるで、頭の中にいる謎の声が不機嫌になったかのようだった。
まるで、レグルがシルラと一緒にいることを妬いているように。
レグルは、今も楽しそうに自分へ話しかけているシルラへ視線を向けた。
そして突然、勢いよく立ち上がった。
シルラは驚いたようにレグルを見上げる。
「レグル?」
「ブランがどこにいるのか分かった!」
少年の顔に決意が浮かんだ。
ようやく、襲撃のあとブランに何が起きたのかを知ることができる。
そして今、レグルは彼を助けに向かおうとしていた。
「本当? どうしてブランがどこにいるのか分かったの?」
「えーっと……勘……かな」
「そう……。でも、あなたを信じるわ……」
シルラは月明かりの下で微笑んでいた。
レグルは無意識のうちに、自分の頬を叩いた。
「え? レグル、何してるの?」
(え? なんで僕、自分の頬を叩いたんだ?)
「ご、ごめん……。虫が飛んできたと思って……」
そう言うと、レグルは家から飛び出していった。
シルラはベッドに座ったまま、何が起きたのか分からず、呆然と彼の背中を見送っていた。
レグルはクララのもとへ走り、ブランを見つけたことを伝えようとした。
つまり、あの謎の声が彼を助けてくれたのだ。
「クララ! 君のお父さんがどこにいるのか分かった! すぐに向かう!」
「え? お父さんを見つけたの? でも、どうやって? どこにいるの? 私も一緒に行く!」
「いや、ごめん。僕一人で行く」
「でも……」
「クララ……。僕に任せてくれ……」
「…………分かった。でも……お願いだから、生きて帰ってきて……」
レグルは頷き、その場から勢いよく駆け出した。
背後から、村人たちの声が聞こえてくる。
「俺の息子を見つけてくれ!」
「私の妹を探して!」
「ブランと一緒に帰ってきてくれ!」
「俺たちはお前を信じているぞ!」
レグルは走り続けた。
そして、嬉しさから一筋の涙をこぼした。
村の門まで駆けてくると、そこにはすでに髭を生やしたドワーフ、クリルが待っていた。
クリルは門を開けると、森へ向かって走っていくレグルに手を振った。
レグルはそのまま、魔物がひしめく森の中へと駆け込んでいった。




