9. 俺が嬉しいと思える光
村は完全にゴブリンたちに襲撃されていた。レグルは村の中を走りながら、人間やゴブリンの死体を目にしていた。何よりも恐れていたのは、死者の中にブランの姿を見つけることだった。道中で一匹ずつ遭遇するゴブリンなら、レグルの足を止めることはできなかった。しかし、数が増えれば話は別だ。奴らは数の力で徐々に優勢になっていく。
レグルはゴブリンたちの攻撃をかわしながら、短剣で次々と倒していった。しかし、気づかないうちに大量のゴブリンに囲まれており、一斉に襲いかかられてしまった。
ゴブリンたちの血が辺りに飛び散る。レグルは必死に攻撃をかわしながら、忌々しい化け物たちを倒していった。しかし、やがて膝に一撃を受け、続けて腹、そして後頭部にも攻撃を受けた。レグルは地面に倒れ込み、ゴブリンたちは彼を取り囲み、鈍い剣や棍棒で攻撃を続けた。
「があっ……ぐっ……うっ……」
(くそっ……死にたくない……)
モンスターたちは笑っていた。周囲には、レグルを助けてくれる者はもう誰もいなかった。すでに全員が死んでいるか、村から逃げてしまっていた。
攻撃は続いた。レグルは徐々に力が抜けていくのを感じていた。一匹のゴブリンが大きな石を掴み、頭上へと持ち上げる。
(これで……俺の異世界での人生も終わりか……)
しかし、その瞬間、レグルの身体が突然光り始めた。
「――何だ!?」
ゴブリンたちは数歩後退した。
レグルの身体から眩い光が放たれ、そして村全体に、まるで神の声のような大きな声が響き渡った。同時に、教会で聖職者たちが唱える聖なる祈りが聞こえてきた。
レグルは苦しそうに目を開けた。
ゴブリンたちはすでに十分な距離まで離れていた。怯えた様子を見せ、もうレグルに近づこうとはしなかった。
(何が……起きてるんだ……?)
レグルが顔を上げると、光り輝く自分の身体から、ゆっくりと一人の少女が飛び出してくるのが見えた。
少女の目は閉じられていた。
少女は柔らかな光に包まれながら宙に浮かび、長い髪がまるで水中にいるかのようにゆっくりと揺れていた。両手は胸元で組まれており、まるで祈りを捧げているようだった。
突然、少女の身体から目に見えない攻撃が次々と放たれ、周囲のゴブリンたちを一体、また一体と襲っていった。モンスターたちは逃げようとしたが、謎の攻撃は彼らを追い続け、逃げることを許さなかった。
数瞬後、レグルの周囲にいたゴブリンたちはすべて倒れていた。
少女はゆっくりとレグルのもとへ飛んでくると、彼の前に膝をついた。
「覚えておいて……私は、あなたを死なせたりなんかしない」
「これは……」
白いドレスを着た少女は、そっとレグルの顔に手を当てた。彼女の手のひらから柔らかな光が放たれ、レグルの傷がみるみるうちに癒えていく。
レグルは自分の目を疑った。これほどの傷を治すには、普通ならかなり高位の治癒術師が必要なはずだった。
少女は微笑むと、そっとレグルの額に口づけをした。
その後、彼女の身体は再び光へと変わり、ゆっくりとレグルの身体へ入っていった。光が消え、少女も姿を消した。
レグルは数秒間、何も言わずに前を見つめていた。
「今の……何だったんだ……?」




