第6音 ツインビート
崩壊しかけた校庭。
巨大ノイズが咆哮を上げる。
「グオオオオオオ!!」
スピーカーのような腕が無数に伸び、周囲へ音波を撒き散らす。
校舎の窓が割れ、生徒たちが悲鳴を上げる。
「出力がまだ上がってる!」
ビートが警告する。
バルクラインが砲撃を放つ。
ドォン!!
だが。
ノイズは音を吸収し、さらに巨大化する。
「砲撃が効いてない!?」
グラヴィナの顔が険しくなる。
「これ、もう普通のノイズじゃない!」
ミオはギターアックスを構える。
だがノイズが強すぎる。
「音が……乱れる……!」
自分のリズムが崩される。
ノイザーが笑うように低音を鳴らす。
「ググググ……」
「ミオ!」
ユナが叫ぶ。
その時だった。
「わーーーっ!! ギリギリ!?」
「間に合ったぁぁぁ!!」
空から二つの影が落ちてくる。
ドゴォン!!
土煙。
そこに立っていたのは――
そっくりな二人のヒーロー。
白と水色を基調にした軽装スーツ。
まるで鏡写し。
「ヒーロー協会所属!」
「双子ヒーローユニット!」
二人が同時にポーズを決める。
「「シンクロツインズ参上!!」」
静寂。
ミオが呟く。
「……誰?」
「そこ!?」
二人同時にズッコケる。
天音ソラ(あまね そら)
明るく元気な
天音ルナ(あまね るな)
マイペースで眠そう。
二人はヒーロー界でも有名な特殊ヒーロー。
その能力は――
“超高シンクロ”
行動、判断、動き。
全てをほぼ同時に共有できる。
シンクロ率は驚異の98%。
「わー、本物の音楽ヒーローだ!」
ソラが目を輝かせる。
「かわいい」
ルナが真顔で言う。
「えっ」
ミオが固まる。
「そのスーツ好き!」
「ギターかっこいい!」
「あとロボかわいい!」
ビートが嬉しそうに回転。
「褒められた!」
緊張感ゼロ。
グラヴィナが頭を抱える。
「お前ら戦場だぞ」
ノイザーが巨大音波を放つ。
ソラとルナが同時に動く。
「「いくよ!」」
完全同時。
左右から跳躍。
動きが全くズレない。
「すご……!」
ミオが驚く。
ソラが高速蹴り。
ルナが空中ワイヤーで拘束。
連携ではない。
ほぼ“一人”の動き。
「シンクロ率98%!」
「今日はちょっと高め!」
「高めなんだ!?」
「音楽ヒーロー!」
ソラが叫ぶ。
「君のリズム合わせやすい!」
ルナが頷く。
「心拍テンポが安定してる」
ミオは少し驚く。
今まで。
プロヒーローとは合わせづらかった。
でもこの二人は違う。
「……いけるかも!」
「ビート!」
「OK!」
ミオがPOPフォームへ変更。
軽快なリズムが広がる。
ソラとルナがそのテンポに完全同期。
「右!」
「左!」
「上!」
三人の動きが噛み合う。
ノイザーを翻弄していく。
バルクラインが少し驚く。
「もう連携している……?」
リズが分析する。
「音を介してタイミング共有してるんです!」
だが。
巨大ノイザーの中心部が裂ける。
黒いコアが露出。
「グアアアアア!!」
都市中の音を吸収し始める。
信号。
スマホ。
電車。
全部の音が消えていく。
「まずい!」
ビートが叫ぶ。
「このままだと街の音全部持ってかれる!」
ミオは歯を食いしばる。
「そんなの――」
ソラが笑う。
「じゃあ!」
ルナも笑う。
「もっと大きい音を出そう」
ミオがニヤッとする。
「……いいね、それ!」
ミオがギターを構える。
ソラとルナが左右に立つ。
「「シンクロ接続!」」
二人の装置が光る。
ミオのリズムと同期。
ビートが叫ぶ。
「シンクロ率上昇!」
98%
99%
「えっ!?」
100%
瞬間。
巨大な音のフィールドが広がる。
街中に光のリズムが走る。
ノイズが初めて怯えた。
ミオが笑う。
「――こっからが本番だよ!!」
巨大なライブのような空間。
戦いは、次のステージへ。




