第35音 普通の日と守るべきもの
朝。
目覚まし。
大音量。
♪ピピピピピピ――!!
ミオが布団から手だけ出す。
「うるさぁい……」
止めようとして。
間違えてスピーカーランチャー起動。
ドォン!!
部屋の壁が少し吹き飛ぶ。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
ビートが空中で呆れる。
「朝から破壊活動」
「事故だもん!!」
通学路。
ミオは食パンをくわえて走る。
完全に遅刻寸前。
「やばいやばい!!」
ビートが横を飛ぶ。
「昨日夜更かしするから」
「ノイズ報告書が多かったの!!」
角を曲がる。
そして。
ドン!!
誰かにぶつかる。
ミオが転びそうになる。
「わっ!?」
その瞬間。
腕を掴まれる。
「大丈夫?」
男子生徒。
クラスメイト。
優しそうな笑顔。
ミオが少し赤くなる。
「ご、ごめん!」
男子が笑う。
「相変わらず慌ただしいね」
ビートが小声。
「朝からラブコメ」
「うるさい!」
ガラッ!!
ミオが飛び込む。
「セーフ!?」
先生。
「アウトだ」
ミオ。
「ですよねぇぇぇ!!」
クラス爆笑。
いつもの光景。
ミオは席へ座る。
友達が笑う。
「音羽って毎日騒がしいよね」
「そんなことないもん!」
その瞬間。
カバンからギターアックスの部品落下。
ガシャァ!!
教室静止。
ミオ。
「……」
先生。
「音羽ァ?」
ミオが超高速で回収。
「DIYです!!」
「何を作ってるんだお前は」
屋上。
ミオはパンを食べていた。
ビートも小さいバッテリーを充電中。
平和。
だが。
ミオは少しぼーっとしていた。
進化型ノイズ。
「助けて」
あの言葉が離れない。
本当に。
ノイズはただの敵なのか。
ミオが小さく呟く。
「……助けられるのかな」
その時。
友達が屋上へ来る。
「ミオー!」
「お昼食べよー!」
ミオは慌てて笑顔。
「いくー!」
普通の日常。
でも。
その普通が今は少し嬉しかった。
音楽室。
ミオはギターを弾いていた。
静かな曲。
少し優しいメロディ。
窓から夕日。
その音を。
誰かが外で聞いていた。
セレスティアだった。
任務帰り。
偶然通りかかっただけ。
だが。
セレスティアは少し目を細める。
「……いい音」
昔。
クロノスも同じことを言っていた。
少しだけ。
胸が痛む。
商店街。
ミオとビート。
買い物袋。
完全に普通の女子高生。
ミオがアイスを食べる。
「うまー」
ビートが言う。
「太る」
「ロボットに言われたくない!」
その時。
遠くから悲鳴。
「きゃぁぁ!!」
ミオが反応。
ビートも即警戒。
だが。
そこにいたのは。
木に登って降りられなくなった猫。
ミオ。
「なんだ猫かぁ……」
ビート。
「助ける?」
ミオは笑う。
「もちろん!」
数分後。
ミオは木の上。
「よーしよし」
猫救出成功。
下の子供が目を輝かせる。
「お姉ちゃんすごーい!」
ミオが照れる。
「えへへ」
ビートが小さく言う。
「ヒーローっぽい」
ミオが笑う。
「ヒーローだもん」
帰宅。
疲れてベッドへダイブ。
「はぁぁぁ……」
ビートが机の上で充電モード。
静かな時間。
ミオはスマホを見る。
クラス写真。
友達。
笑顔。
普通の生活。
でも。
ミオは知っている。
その裏で。
世界は少しずつ壊れ始めていることを。
ミオは窓の外を見る。
夜空。
小さく呟く。
「……守らなきゃなぁ」




