第26音 開戦の夜と確かな覚悟
崩壊するノイズ施設。
紫の雷。
白銀の光。
そして。
二人の力がぶつかった瞬間。
空間そのものが割れた。
ドォォォォォン!!!!
衝撃波で施設が半壊。
旧破音五人衆すら吹き飛ばされる。
ミオはゼロビートに守られながら、その光景を見ることしかできなかった。
ノクターンが指揮棒を振るう。
黒い音波。
都市一つ消し飛ばせるほどの超高密度ノイズ。
だが。
ゼロビートは真正面から斬った。
白銀の斬撃。
黒いノイズを両断。
レゾナンスが震える。
「……ありえない」
ノクターンが静かに言う。
「やはり完成していたか」
ゼロビートはミオを背後へ庇いながら言う。
「お前をここで止める」
ノクターンが少しだけ笑う。
「なら止めてみろ」
次の瞬間。
超高速戦闘。
二人が消える。
空間に残るのは衝撃だけ。
空中。
地上。
壁。
天井。
全方向で光と闇が激突。
施設が耐えられない。
崩壊が始まる。
その頃。
ヒーロー協会本部。
全警報。
【S級災害認定】
【ノクターン出現】
司令室が騒然となる。
若き日のオラクルが立ち上がる。
「ゼロビートから緊急信号!」
モニターに映る。
崩壊する施設。
そして。
ノクターン。
会議室が凍る。
セレスティアが息を呑む。
「……本当にいたの」
その時。
全世界のトップヒーローへ緊急通知。
《総力招集》
夜空。
一筋の炎。
《ブレイズハウル》
「待ってろォ!!」
炎を噴きながら飛ぶ。
上空。
光速の軌跡。
《アークヴェイル》
「最悪の戦争になるな……!」
大地を揺らす巨体。
《ギガント》
「全部潰す」
静かに未来を見る女性ヒーロー。
《オラクル》
「生存率……低い」
その声が震えていた。
そして。
黒いロングコート。
まだ若いクロノス。
ノイズ契約前。
だが今より荒々しい。
《クロノス》
「ゼロビートが苦戦?」
初めて焦った顔をする。
白銀の光が空を裂く。
若きセレスティア。
今より少し幼い。
だが。
圧倒的に強い。
彼女は静かに空を見る。
「……無事でいて」
その呟きに。
クロノスが一瞬だけ視線を向けた。
施設周辺。
ノイズ軍勢が大量出現。
数万。
旧破音五人衆が笑う。
「始まるぞォ!!」
世界規模の戦争。
後に。
《第一次ノイズ大戦》
そう呼ばれる戦い。
未来で“生き残った英雄達”として語られる者たちが、この場所へ集まり始めていた。
施設中心部。
ノクターンが巨大なノイズを放つ。
ゼロビートが回避。
そして。
白銀の翼展開。
エネルギー全開。
「――殲滅モード」
ミオが目を見開く。
初めて見る形態。
翼が六枚へ増加。
ブレードが巨大化。
白銀の粒子が舞う。
レゾナンスが青ざめる。
「まさか……!」
ゼロビートが突撃。
一瞬。
本当に一瞬。
ノクターンの防御を突破。
斬撃。
ザンッ!!
ノクターンの胸部へ傷。
ノクターンが初めて後退する。
旧破音五人衆が凍る。
「ノクターン様が……!」
ゼロビートが押していた。
わずかに。
だが確実に。
現時点では。
ゼロビートの方が強かった。
だが
ノクターンは笑っていた。
「素晴らしい」
その瞬間。
黒いノイズが周囲から集まり始める。
街。
人々。
世界中の“負の音”。
全てがノクターンへ流れ込む。
オラクルが青ざめる。
「まずい……!」
「ノクターンが世界中のノイズを吸収してる!」
ゼロビートがミオを見る。
そして。
静かに言う。
「……逃げる準備を」
ミオが涙目で叫ぶ。
「嫌だ!!」
「一緒に帰る!!」
ゼロビートは少しだけ笑った。
その顔は。
今のビートと同じだった。
「約束する」
だが。
その瞳の奥には。
覚悟があった。




