第24音 昔の記憶と崩れ落ちた平穏
崩れ始める研究所でミオは瓦礫に頭を打ち気絶してしまった。
そしてミオは昔の記憶が気絶する中でながれる
――5年前。
まだ世界が今ほど壊れていなかった頃。
ミオはまだ12歳だった。
《音羽家》
朝。
窓から優しい光。
キッチンからいい匂い。
「ミオー!起きてー!」
母親の声。
ミオが布団の中でもぞもぞする。
「あと5分ぅ……」
その瞬間。
カーテンが開く。
「甘い」
父・音羽レイ。
ミオが叫ぶ。
「うわぁぁまぶしっ!!」
レイが笑う。
「学校遅れるぞ」
母・カナデも笑っていた。
平和だった。
本当に。
リビング。
そこには一体のロボット。
白銀の装甲。
青い光。
静かに浮遊している。
《ゼロビート》
今より遥かに光輝いている。
完全体。
ヒーロー仕様。
ニュースでは毎日のように名前が流れていた。
『最新ヒーローランキング!』
『ゼロビート、急上昇!』
ミオが嬉しそうに言う。
「今日もニュース出てる!」
ゼロビートが振り向く。
「おはようミオ」
低く優しい声。
ミオは笑う。
「おはよー!」
カナデが料理を運ぶ。
「ゼロビート、今日も任務?」
「はい」
「南区域のノイズ鎮圧です」
レイがコーヒーを飲みながら笑う。
「働きすぎだな」
ゼロビートが静かに返す。
「守るのが役目ですから」
ミオが目を輝かせる。
「今日も頑張って!」
ゼロビートが少しだけ笑う。
「うん」
学校帰り。
ミオは歌いながら帰る。
その横をゼロビート
「その曲好きなの?」
「うん!」
「最近ハマってる!」
ゼロビートは静かに聞いていた。
ミオの歌を。
優しく。
まるで守るように。
夕食。
ハンバーグ。
ミオが嬉しそう。
「やったー!」
カナデが笑う。
「そんなに好き?」
「好き!」
レイが笑う。
「単純だなぁ」
ゼロビートは少し後ろで待機。
ミオが口を尖らせる。
「ゼロビートも一緒に食べればいいのに」
「機械なので」
「つまんなーい」
家族全員が笑う。
幸せだった。
確かに。
夜。
ミオは一人でお風呂へ入っていた。
鼻歌。
湯気。
普通の日常。
「ふふーん♪」
だが。
その時。
ドン。
二階から音。
ミオが首を傾げる。
「……?」
また。
ガタン。
何かが倒れる音。
ミオが不思議そうに風呂を出る。
「お父さん?」
タオルで髪を拭きながら廊下を歩く。
家の中が静かだった。
静かすぎた。
ゆっくり階段を上がる。
暗い。
廊下の電気が消えている。
「お母さん……?」
返事がない。
ミオの鼓動が速くなる。
その時。
紫色の光。
ミオの目が見開く。
そこにいた。
黒い影。
異形。
人間ではない。
《破音五人衆》
まだ今より若い姿。
だが。
圧倒的に不気味。
壁にはノイズ。
部屋は破壊されていた。
ミオが震える。
「……え」
その中央。
白衣姿のレイとカナデが倒れていた。
血。
ミオの思考が止まる。
「お父……さん?」
一人が笑う。
当時のレゾナンス。
「見つけた」
ミオが後退する。
「……いや」
旧ハウリングが笑う。
「適合体ダァ」
旧サイレンスが静かにミオを見る。
感情のない瞳。
怖い。
怖すぎる。
ミオは震えながら後ずさる。
「来ないで……」
その瞬間。
黒いノイズがミオを拘束。
「きゃぁぁっ!!」
浮かび上がる身体。
ミオが泣き叫ぶ。
「やだ!!」
「お母さん!!」
「お父さん!!」
だが。
返事はない。
レゾナンスが静かに言う。
「ノクターン様の元へ連れていけ」
ミオが暴れる。
涙が止まらない。
「離してぇぇ!!」
その時。
研究所地下から。
巨大な警報。
【緊急起動シークエンス】
旧破音五人衆が振り向く。
レゾナンスが目を細める。
「……来る」
次の瞬間。
研究所地下を突き破り。
白銀の光が空へ飛び出した。
轟音。
衝撃波。
圧倒的なエネルギー。
そして。
ミオの前へ降り立つ。
《ゼロビート》
白銀の翼。
青い瞳。
巨大ブレード。
怒りに満ちた機械の英雄。
ゼロビートが静かに言う。
「ミオから離れろ」
その声には。
今まで聞いたことのないほどの怒気が宿っていた。




