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第23音 残り時間と原初の力

崩壊する研究所。


天井が落ちる。


警報が鳴り響く。


赤い光。


粉塵。


その中心で。


白銀と紫が激突していた。


ドォォォォン!!


衝撃だけで壁が吹き飛ぶ。


ミオは瓦礫の中でその戦いを見る。


「速すぎる……!」


目で追えない。


ゼロビートの斬撃。


レゾナンスの共鳴波。


空間そのものが歪む


ゼロビートが翼を広げる。


かつての英雄。


今のビートとは別物。


「ミオから離れろ」


低い声。


完全戦闘モード。


レゾナンスが笑う。


「やっぱり厄介だねぇ!」


紫の音波が襲う。


だが。


ゼロビートは避けない。


白銀のバリア。


ノイズを強引に突破。


一瞬で距離を詰める。


「速――」


レゾナンスの言葉より早く。


光刃一閃。


ザンッ!!


レゾナンスの仮面に亀裂。


「っ!」


吹き飛ばされる。


ミオが呆然。


「強い……」


レゾナンスですら押していた。


だが。


ビートの身体にノイズが走る。


バチッ。


装甲が崩れる。


【残り時間:01:12】


ミオが気づく。


「ビート!!」


ゼロビートは答えない。


ただ戦う。


ミオを守るためだけに。


その時。


研究所最深部。


巨大カプセルが開き始める。


中から聞こえる。


低い“音”。


ズゥゥゥゥン……


ミオの心臓と同期するような音。


レゾナンスが笑う。


「聞こえる?」


「終末音」


「世界を終わらせる音」


ミオが苦しそうに胸を押さえる。


「っ……!」


頭の中へ直接響く。


悲鳴。


怒り。


絶望。


無数の感情。


レゾナンスが恍惚とした顔になる。


「原初音が完全覚醒した時」


「世界中の音は一つになる」


「争いも」


「人間も」


「全部消える」


ミオが叫ぶ。


「そんなの間違ってる!!」


その瞬間。


虹色の音が爆発。


研究所全体が震える。


レゾナンスが目を見開く。


「……っ!」


ミオの周囲に。


光の粒子。


音が形になる。


それは。


まるで“歌”。


崩れた機械が浮く。


壊れた装置が修復され始める。


ミオ自身も驚く。


「え……?」


レゾナンスが震える。


「創造……!?」


原初音は。


破壊だけじゃない。


“再生”すら可能だった。


その瞬間。


研究所全体が静まり返る。


音が止まる。


ゼロビートが反応。


「……来る」


暗闇。


空間が裂ける。


黒いノイズ。


そして。


ゆっくり現れる。


《ノクターン》


ミオの身体が硬直する。


本能が理解する。


“勝てない”。


ノクターンは静かに動けないミオを見る。


「目覚め始めたか」


レゾナンスが跪く。


「ノクターン様」


ゼロビートがミオの前へ立つ。


剣を構える。


ノクターンはそれを見る。


「まだ動くか」


ゼロビートが低く言う。


「……お前だけは止める」


ノクターンが少しだけ笑った。


「壊れかけの機械が」


次の瞬間。


ノクターンが消える。


ゼロビートの瞳が開く。


「っ!」


ドォォォォォン!!!!


一撃。


それだけだった。


ゼロビートが壁ごと吹き飛ぶ。


ミオが叫ぶ。


「ビートォォ!!」


圧倒的。


レベルが違う。


レゾナンスですら息を呑む。


ノクターンは歩くだけで空間を歪める。


まるで災害。


ノクターンがミオの前へ立つ。


静かに。


ゆっくり。


「音羽ミオ」


ミオが震える。


だが逃げない。


ノクターンはミオの胸へ手を伸ばす。


「返してもらう」


その瞬間。


ミオの中から歌声。


虹色の衝撃波。


ノクターンの手を弾く。


ノクターンが初めて目を細めた。


「……拒絶した?」


ミオ自身も理解できない。


だけど。


胸の奥から声が聞こえる。


『まだ渡さない』


誰の声なのか。


分からない。


崩壊限界。


研究所が完全に沈み始める。


ノクターンは静かに振り返る。


「今はまだいい」


「だが次は回収する」


黒いゲート。


レゾナンスも撤退。


消える直前。


ノクターンがミオへ告げる。


「原初音は必ず目覚める」


「その時」


「世界は終わる」


ノイズゲートが閉じる。


静寂。


崩壊する研究所。


ミオは倒れたゼロビートへ駆け寄る。


白銀装甲が砕けていく。


ゼロドライブ限界。


ビートの声が弱くなる。


「……ごめん」


ミオが涙を流す。


「謝るな!!」


その時。


研究所最深部のモニターに最後の文字。


「Phase-2 起動条件達成」


そして世界のどこかで。


巨大な黒い塔が。


ゆっくりと動き始めていた。


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