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第19音 追放された英雄と契約ノイズ


ヒーロー協会本部。


地下最上階。


超大型会議室。


そこには――


日本中のトップヒーローたちが集結していた。


空気は重い。


誰一人笑っていない。


巨大モニターには。


破壊された街。


倒された二人のトップヒーロー。


そして。


紫色の紋章。


《NOISER》


司会役のオラクルが静かに言う。


「ランキング4位《アークヴェイル》」


「ランキング38位《ヴォルテクス》」


「両名戦闘不能」


会議室がざわつく。


ブレイズハウルが机を叩く。


「ふざけんな……!」


ギガントも険しい顔。


「ノクターンだな」


セレスティアが静かに頷く。


「間違いありません」


その一言で。


空気がさらに冷える。


ブレイズハウルが立ち上がる


「待て」


「4年前にゼロビートと戦って消えたんじゃなかったのか?」


別のヒーローも叫ぶ。


「そうだ!」


「なんで今さら現れる!?」


「そもそも生きてること自体おかしい!」


ミオは後ろの席で黙って聞いていた。


ビートも珍しく静か。


セレスティアが目を伏せる。


「……4年前」


「あの戦いでゼロビートは消息不明」


「ノクターンも消滅反応を確認していた」


「ですが」


オラクルが続きを言う。


「完全撃破ではなかった可能性があります」


会議室に緊張が走る。


その時。


あるヒーローがミオを見る。


「……で」


「なんで正式登録したばかりの新人がここにいる?」


会議室の視線が集まる。


ミオがビクッとする。


セレスティアが静かに言う。


「音羽ミオはノクターン側に狙われています」


ざわつく会議室。


「何?」


「どういうことだ」


ミオは拳を握る。


ビートが肩で小さく光る。


オラクルが真剣に言う。


「レゾナンスが“鍵”と発言」


「さらに高濃度未知反応を確認しています」


その瞬間。


会議室のドアが開く。


ギィィ……


全員が振り向く。


そこに立っていたのは。


黒いロングコート。


鋭い青い瞳。


整った顔立ち。


そして。


どこか危険な雰囲気。


イケメンだった。


ミオが思わず呟く。


「……誰?」


だが。


トップヒーローたちの顔色が変わる。


ブレイズハウルが舌打ち。


「チッ……」


ギガントも眉をひそめる。


そして。


セレスティアが露骨に目を細めた。


「……今さら何のつもりですか」


男は軽く笑う。


「挨拶くらいさせろよ」


その名前を。


オラクルが静かに告げる。


《クロノス》


元ヒーローランキング第4位。


会議室がざわつく。


「追放された男……!」


「なんでここに!?」


ミオは驚く。


元トップ5。


つまり。


超英雄。


クロノスは椅子へ腰掛ける。


「久しぶりだな」


セレスティアは冷たい。


「あなたはヒーローではありません」


「免許剥奪済みです」


ミオが小声で聞く。


「何したの……?」


ソラがヒソヒソ。


「噂レベルだけど」


「ノイズと契約したらしい」


会議室が静まり返る。


クロノスは苦笑する。


「まぁ事実だ」


その瞬間。


黒いノイズが彼の腕に走る。


周囲が警戒。


ブレイズハウルが立ち上がる。


「ここで暴れんなよ」


クロノスは肩をすくめる。


「安心しろ」


「今は敵じゃない」


ミオがふと気づく。


セレスティアの様子がおかしい。


いつも冷静なのに。


明らかに感情が揺れていた。


クロノスが少し笑う。


「相変わらず綺麗だな、セレス」


「……その呼び方やめてください」


空気が凍る。


ソラが小声。


「修羅場?」


ルナが頷く。


「修羅場」


どうやら。


元恋人らしい。


ギガントが低く言う。


「で、お前は何しに来た」


クロノスの表情が変わる。


真剣。


「ノクターンが動き出した」


「なら俺の力が必要だ」


ブレイズハウルが睨む。


「ノイズの力使ってる時点で信用ゼロだ」


クロノスは鼻で笑う。


「なら試すか?」


その瞬間。


彼の周囲に黒いノイズが浮かぶ。


# 《Perfect Command》


## 完璧な指示者


クロノスの耳元で。


誰かの声が囁く。


『最適解:回避』


瞬間。


天井から崩れた照明を、クロノスがノールックで避ける。


全員が驚く。


クロノスが説明する。


「契約ノイズが最適行動を提示する」


「俺は3秒以内に実行するだけ」


「成功すれば最大効率」


「失敗すれば――」


クロノスの身体が止まる。


ピタッ。


1秒間硬直。


「こうなる」


ミオが驚く。


「クセ強っ!?」


クロノスが笑う。


「だが強いぞ」


クロノスの表情が急に真剣になる。


「……アイツは4年前より強い」


会議室が静まる。


「マジで世界が終わる」


セレスティアが睨む。


「あなたでも勝てない?」


クロノスが少し黙る。


そして。


静かに言った。


「ゼロビートが全盛期でも怪しかった」


ビートが反応する。


ミオが気づく。


「ビート?」


だが。


ビートは黙ったままだった。


クロノスがミオを見る。


真っ直ぐ。


「お前が音羽ミオか」


ミオが警戒する。


クロノスは静かに言う。


「……なるほど」


「ノクターンが狙う理由も分かる」


その瞬間。


ミオの背筋に悪寒が走る。


クロノスの瞳が一瞬だけ。


紫色に染まった。


そして彼は呟く。


「“原初音”」


「やっぱり宿ってるな」


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