第17音 最初の仕事とライセンス
正式ヒーロー試験から三日後。
ミオはヒーロー協会本部へ来ていた。
「うぅ……緊張する……」
新しい制服。
正式候補用の黒いジャケット。
胸元には仮バッジではなく――
正式登録直前の認証タグ。
ビートが肩で言う。
「震えてる」
「うるさい」
「心拍数上昇」
「言わなくていい!」
大型モニターに映し出される街。
担当官が説明する。
「リズムシティ第7区画」
「ノイズ大量発生」
「現在、避難誘導中」
画面には大量のノイズ。
さらに。
巨大個体までいる。
ミオが息を呑む。
「……多い」
担当官が真剣な顔で言う。
「これは正式ヒーロー認定前、最後の実地確認でもある」
「あなたは現場指揮ヒーローと共闘してください」
モニターに表示される名前。
《ブレイズハウル》
「えっ」
ソラが騒ぐ。
「あの炎の人!?」
ルナも珍しく興奮。
「暑そうな人」
夜の街。
燃える道路。
逃げ惑う人々。
空には飛行型ノイズ。
大型ノイズがビルを破壊していた。
そこへ。
炎の衝撃波。
ドォォォォン!!!
大型ノイズが吹き飛ぶ。
「遅ぇぞ新人!!」
現れたのは。
ブレイズハウル。
巨大な炎爪。
灼熱の装甲。
完全に熱血タイプ。
ミオが慌てて頭を下げる。
「お、音羽ミオです!」
「知ってる!!」
「音楽の嬢ちゃんだろ!!」
声がデカい。
警報。
ノイズ群が突撃。
ブレイズハウルが笑う。
「行くぞ新人!!」
ミオもスーツ起動。
「POP MODE!!」
音楽が街へ響く。
避難していた人々の表情が少し落ち着く。
ブレイズハウルがニヤッとする。
「いい音だ!!」
炎を纏って突撃。
ミオも続く。
ギターアックス一閃。
ザシュ!!
ノイズ撃破。
さらに。
「EDM MODE!!」
高速移動。
飛行型を撃墜。
ビートがサポート。
「右後方!」
「了解!!」
連携も完璧。
だが。
地面が揺れる。
現れたのは超大型ノイズ。
四本腕。
ビルサイズ。
「うわデカ!?」
ブレイズハウルが笑う。
「新人!!」
「合わせろ!!」
炎が爆発。
ミオが理解する。
「……同時攻撃!」
ブレイズハウルが突撃。
ミオもギターを構える。
「ROCK MODE!!」
爆音。
炎。
音。
二つのエネルギーが重なる。
「ぶっ飛べぇぇぇぇぇ!!」
ドォォォォォン!!!!!!
超大型ノイズ撃破。
夜空へ炎と音の波が広がる。
街から歓声。
戦闘終了後。
避難民の子供がミオへ駆け寄る。
「ありがとうヒーローさん!」
ミオが少し照れる。
「えへへ……」
その様子を。
協会ドローンが記録していた。
司令室。
セレスティアが静かに映像を見る。
「……合格ですね」
リズも笑う。
「はい」
翌日。
ヒーロー協会中央ホール。
ミオはステージへ呼ばれる。
会場にはヒーローたち。
ソラたちもいた。
司会が宣言する。
「正式審査結果――」
静寂。
そして。
「音羽ミオ」
「正式ヒーロー認定」
会場が拍手に包まれる。
ミオが固まる。
「……え」
ソラが大号泣。
「ミオォォォ!!」
ルナも拍手。
「正式ヒーロー」
ビートが静かに光る。
「おめでとう」
係員がカードを渡す。
銀色のライセンス。
そこには。
HERO LICENSE
名前:音羽ミオ
ヒーロー名:
《ポップビート》
能力:
音響共鳴戦闘
ミオの手が震える。
「……私」
「ヒーローになれたんだ」
ビートが優しく言う。
「最初からそうだった」
ミオは少し笑って。
空を見上げた。
その頃。
暗黒空間。
ノクターンが静かに目を開く。
「正式認定されたか」
レゾナンスが跪く。
「はい」
ノクターンはゆっくり立ち上がる。
「ならば始めよう」
黒いノイズが世界を覆い始める。
「“原初音”回収作戦を」




