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第10音 ゼロの残響とビートの正体



戦いから一夜明けた。


街はまだ混乱していた。


ニュースでは連日、


「謎の敵組織ノイザー」


「復活した破音五人衆」


の話題で持ち切りだった。


そして――


「新ヒーロー、“ハートビートフォーム”確認」


ミオの映像まで流れている。


「ミオー!」


ソラが窓から飛び込んでくる。


「普通に来るな!!」


ルナも後ろから入ってくる。


「怒られた」


「そりゃそうでしょ!」


ユナが苦笑する。


今では彼女も、ミオの正体を知る数少ない人物になっていた。


「でも昨日、本当にすごかったよ」


ミオは少し照れる。


「……なんかよく分かんなかったけどね」


あのフォーム。


あの力。


今までと明らかに違った。


そして何より――


ノクターンの言葉。


「ゼロビート」


その名前が頭から離れない。


昼休み。


屋上。


ミオはビートを見つめていた。


「ねぇ」


「なに?」


「ゼロビートって知ってる?」


その瞬間。


ビートの動きが止まる。


「……」


「ビート?」


小さくノイズが走る。


『ERROR』


『ACCESS LOCK』


ビートがふらつく。


「っ……!」


「ちょっと!?」


ミオが慌てて支える。


ビートは苦しそうに点滅した後、なんとか戻る。


「……ごめん」


「今の何!?」


「わからない」


だが。


ビート自身も動揺していた。


まるで。


“触れてはいけない記憶”に触れたように。


一方。


ヒーロー協会。


リズ・クロムが5年前の記録を解析していた。


「ありえない……」


モニターに映るデータ。


ゼロビートの戦闘波形。


そして。


ミオのハートビートフォーム。


完全一致。


バルクラインが低く聞く。


「どういうことだ」


リズが息を呑む。


「ミオちゃんの音……」


「ゼロビートと同じなんです」


空気が凍る。


暗黒空間。


巨大なノイズの海。


そこにノクターンと破音五人衆がいた。


ディストーションが笑う。


「面白かったよ、あの子」


ハウリングが唸る。


「殺ス」


だが。


ノクターンは静かだった。


「……まだだ」


サイレンスが問う。


「なぜ放置するのです」


ノクターンはゆっくり座る。


「確認したい」


「“器”として完成しているのか」


デッドエコーが無数の声で笑う。


「ゼロビートの後継……」


その言葉に、空気がさらに冷える。


夕方。


帰宅中のミオたち。


突然。


街の電光掲示板がノイズに染まる。


『HELLO』


『MUSIC GIRL』


ミオが止まる。


「……!」


空中に黒い円。


そこから現れたのは。


ディストーション。


「こんばんは」


「うわ最悪」


ソラが即答。


ルナも頷く。


「帰ってほしい」


「辛辣だなぁ」


ディストーションは笑う。


だが今回は様子が違う。


戦う気配がない。


ただ。


ミオを見ている。


「君さ」


「5年前のこと、覚えてる?」


その瞬間。


ミオの頭にノイズが走る。


知らないはずの景色。


暗い施設。


泣いている幼い自分。


そして――


白い光。


「っ……!」


ミオが頭を押さえる。


「ミオ!?」


ビートが珍しく大声を出す。


「それ以上触れるな!!」


全員が驚く。


ビートが怒鳴った。


初めてだった。


いつものポンコツな声ではない。


重く。


低い。


まるで別人。


ディストーションが笑みを深める。


「やっぱりそうか」


「久しぶりだね」


ビートを見つめる。


「――ゼロビート」


静寂。


ミオたちの時間が止まる。


「……え?」


ソラとルナが同時に固まる。


ユナも目を見開く。


ビートは何も言わない。


ただ。


小さな機体が震えていた。


その瞬間。


ビートのコアが暴走する。


白い光。


轟音。


空気が震える。


「警告――封印領域損傷」


「え?」


ビートの身体に亀裂が走る。


中から見えたのは。


小型ロボットとは思えないほど高度な内部構造。


ディストーションが笑う。


「やっぱり生きてた」


「最高傑作」


ミオは混乱する。


「どういうこと……!?」


その時。


ビートが苦しそうに言う。


「……逃げて、ミオ」


「え」


「今はまだ……知らなくていい」


白い光がさらに強くなる。


そして。


ビートの体の周りに一瞬だけ現れる。


巨大な人型シルエット。


白銀のヒーロー。


伝説の最強。


《ゼロビート》


ミオが息を呑む。


「……ビート?」


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