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第11音 最強の力と限界の体


白い光が夜を裂く。


ビートの小さな身体から溢れる膨大なエネルギー。


空間が震え、街中の電子機器が暴走する。


ミオはその光景を見たまま――


「……ビート……?」


意識を失った。


崩れ落ちる。


「ミオ!!」


ユナが駆け寄る。


ソラとルナも叫ぶ。


だが。


その場にいる誰もが動けなかった。


目の前の存在に、圧倒されて。


ビートの外装が砕け散る。


小型ボディが分解。


内部から現れる無数の白銀パーツ。


音が鳴る。


それはまるで――起動音。


『LIMITER RELEASE』


『CORE IDENTIFICATION』


『ZERO-BEAT』


白い装甲が空中で再構築されていく。


巨大な人型。


鋭いシルエット。


背部には音響ユニット。


胸部コアが青白く輝く。


そして。


静かに地面へ降り立つ。


《ゼロビート》


伝説の最強ヒーロー。


4年前に消えたはずの存在。


その姿が、今ここにあった。


ソラが震える。


「……これが」


ルナが呆然と呟く。


「最強……」


バルクラインですら息を呑む。


「本当に……生きていたのか」


ゼロビートは何も言わない。


ただ静かに。


倒れたミオを一瞬見る。


その視線だけが、少し優しかった。


そして。


ディストーションへ向き直る。


「はは……!」


ディストーションが心底嬉しそうに笑う。


「いい!!」


「やっぱり君じゃないと!!」


ノイズが爆発的に膨れ上がる。


周囲の建物が軋む。


ディストーションの身体が巨大化。


「4年ぶりだ!! ゼロビート!!」


しかし。


ゼロビートは微動だにしない。


ただ一言。


「……お前は変わらないな」


低い声。


機械のようで。


どこか人間らしい。


ディストーションが突撃。


超高速。


ノイズの槍が無数に放たれる。


だが。


ゼロビートは片手で受け止めた。


「……え?」


ディストーションの笑みが固まる。


次の瞬間。


ゼロビートの拳。


ドォン!!!!!!


空気が爆発する。


ディストーションが数百メートル吹き飛ぶ。


街を貫通。


ビルを破壊しながら転がる。


ソラが引く。


「えぇ……」


ルナも引く。


「強すぎ」


ディストーションが立ち上がる。


「ハハッ……!」


口からノイズを流しながら笑う。


「最高!!」


さらに出力上昇。


巨大なノイズ竜を形成。


都市を飲み込む規模。


だが。


ゼロビートは静かに右手を上げる。


音が収束する。


街中のリズムが、一点へ集まる。


バルクラインが目を見開く。


「まさか……!」


それはミオの音に似ていた。


優しく。


だが圧倒的。


ゼロビートの周囲に、巨大な音響リングが展開される。


『SONIC DRIVE』


ディストーションが初めて焦る。


「待っ――」


遅い。


ゼロビートが拳を振るう。


瞬間。


巨大な“音”が放たれる。


ノイズ竜ごと。


ディストーションを消し飛ばした。


夜空が割れる。


雲が吹き飛ぶ。


街全体へ衝撃波が広がる。


完全なる一撃。


静寂。


誰も喋れない。


破音五人衆の一人。


あのディストーションを。


ほぼ一方的に叩き潰した。


グラヴィナが引きつった笑みを浮かべる。


「……バケモノじゃん」


瓦礫の中。


ディストーションはボロボロになりながら笑っていた。


「やっぱり……」


「最高だよ……ゼロビート」


身体が崩壊していく。


だが。


最後まで笑っていた。


「でも……もう前とは違う」


「その身体、限界だろ?」


ゼロビートは無言。


ディストーションは消滅寸前に呟く。


「ノクターンが……来る」


「今度こそ終わりだ」


そしてどこかへ消えてしまった。


戦いが終わる。


その瞬間。


ゼロビートの装甲に亀裂。


『ERROR』


『CORE OUTPUT LOW』


膝をつく。


「っ……!」


ソラが驚く。


「まずい!」


ルナがミオを見る。


「コアが不安定」


ゼロビートはゆっくり振り返る。


倒れているミオを見る。


その視線だけは。


とても優しかった。


「……守れた」


そして。


白い巨体は崩れ始める。


装甲が砕け。


再び小型形態へ戻っていく。


最後に残ったのは。


ボロボロになった小さなビートだけだった


気絶したミオの手の中へ、ビートが落ちる。


かすかな声。


「……ミオ」


「ごめんね」


その小さな瞳が、静かに消えかけていた。


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