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2 取材を受けました

昼前にケイトリン様とトーニャちゃんがお見舞いに来てくれた。リタは侍女として、少し離れた場所で控えている。


「マルガリータ様、メイド服、かわいい!」トーニャちゃんがリタに飛びついて言った。

「そうですわね、マルガリータさんのきりっとした感じに似合っていますわ」


お二人はリタの服装をほめてくださった。リタは、少し頬を染め、おさげを揺らして一礼した。


少し体調について話をした後、ケイトリン様がおっしゃった。


「ライラ様、今日は厚かましいお願いがございますの。


実は、私たち、アルテリア学園に関する新聞を発行しておりますのよ」


「学園には秘密の部活なの、でも、結構、読者はいます!


それでね!今日は、ライラ様とマルガリータ様にインタビューさせてください!


武術大会で優勝したノリノリペアで、【剣神】スキルを授かったマルガリータ様と、最優秀生徒候補と目されていて将来は女公爵になると言われているライラ様に、将来の夢や普段の生活、プライベートのご予定などなど、お二人の素顔に迫るインタビュー記事は、読者から希望がいっぱいあって、あと、ええっと、今度の法改正で貴族家の当主になって爵位を授かる可能性がある女の子たちの参考になると思います!」


この押しが強い感じ、昨日リタが見せてくれた新聞記事を書いたのは、きっとトニアちゃんね。


「ケイトリン様は、成績優秀で、お友達も多いし、なにより将来、公爵を承継されることは間違いなし、司法卿として立派なお仕事なさると思いますわ。


まずケイトリン様のことを記事にしてみてはどうかしら」


「ええっと、ケイトリン様も、いつかそのうち、載せたいですよ?


ただ、読者の希望というか、リクエストが多いのは、ライラ様なので…」


あら、なんだか歯切れが悪いわね。私は、少し鎌をかけてみることにした。


「もしかしたら、ゴシップ的な内容かしら?


でも、私、ご存じのとおり、婚約を破棄したばかりで何もないわよ。


それでいいなら、記事にしてもいいわ」


トニアちゃんとケイトリン様は顔を見合わせ、ケイトリン様が切り込んだ。


「……ライラ様が婚約を破棄したのですから、きっとたくさんの縁談が来ていると思っていましたわ。

候補者が誰かを知りたいわけではありませんが、縁談を進めているわけではないのですね?」


なるほど、ケイトリン様は、レオニード先生が平民出身だと思っているのだろう。

だから、オルロー家が貴族間の縁談を勧めていないなら、レオニード先生が私と付き合っている可能性があると考えているのかもしれない。


「そういったことは、おじいさまにお任せしていますの」

私はとぼけることにした。


「ああ、もう、そういった腹の探り合いはやめませんか?


私、ぶっちゃけますと、そういった貴族的な会話は、苦手ですのよ。


それに、ライラ様とは、腹を割って話せる関係を築きたいと思っておりますもの」

ケイトリン様はずばりとおっしゃった。


もともと、ケイトリン様はお優しいだけではなく、女子寮の監督生を務めるなど、物事を進めていく実行力をお持ちの方だ。だから、違和感はない。

ただ、インタビューを受けるとなると、私だけ正直にしゃべれと言うことではないのかしら。


「何を記事にしたいのかしら」


トーニャちゃんが勢い込んで答えた。

「25日早朝、レオニード先生がライラ様を抱えて歩いていたという、複数の目撃証言がありました。


目撃者たちはみんな、レオニード先生が、いつもは真面目だけど地味な感じなのに、キラキラ輝いていたとか、ライラ様のお顔をじっと見つめていて、すごく幸せそうだったとか、あれは絶対ライラ様のことが好きだとか、一様におっしゃっています!


それに、ライラ様ともあろうお方が、心を許していない男性に抱きかかえられることを許すはずがありません。


お二人の間には、なにがあったのですか?」


「あら、そんなに大きな噂になっているのかしら。困ったわね」


「はっきり言って、今、生徒たちは、このうわさが気になって、弁論大会のイベントや期末試験の勉強が全く手に着かない状況です。


もし、お二人の間に、まだ説明できないようなことがあるのなら、私たちは、まだ記事にせず、ただお二人を応援しようとだけ続報を出します。


一方、何もなかった場合は、そのことを記事にします。


失礼ですが、ライラ様が何も説明せずに貴族と婚約するなら、この話はライラ様の瑕疵になりかねません。

説明の場を設けるのは、いいことだと思いますが、いかがでしょうか」


ケイトリン様が冷静に説明すると、トーニャちゃんが畳みかけた。


「ライラ様のお立場を考えると、きっと障害はあると思いますが、みんな、お二人の仲を応援します!」


これは、話をもみ消すためにちゃんと説明したほうがいいかもしれない。

だが、レオニード先生がピョートル殿下であることや、スビートが聖獣であること、王家の地下ダンジョンに隠し部屋があることなど、説明できないことだらけだ。

ピョートル殿下から政略目的のプロポーズはあったけれど、レオニード先生との関係を説明すればややこしくなりそうだし。


ダンジョンに行ったことを説明すればいいのかしら。

でも、淑女が付き添いなしにダンジョンに入ったことが知られるのはまずいわね。

とはいえ、この際、ある程度のことは話さないといけないのかしら。


「そうね、どこまでお話していいのかしら。


私、25日、学園で倒れてしまいましたの。

その日の前日、私、夜更かししてしまったので、そのせいだと思いますわ。

しかも、侍従があいにく留守にしていたものですから、一人で学園に行っていましたの。だから、結構危険な状況でした。


倒れた私を見つけた、たまたま近くにいたレオニード先生が助けてくださったと伺っていますわ。


レオニード先生は、御存じのとおり、教育熱心ですから、一生徒である私を下心なく助けてくださったのだと思います。

とても感謝しています」


一応、嘘は言っていない。


ケイトリン様とトーニャちゃんは、目を皿のようにしてこちらを見つめていたが、私が恋愛に関係ないことはご理解いただけたようだ。


その後は、他愛もない話をしてお帰りになった。



リタは、午後の勉強時間、にこにこしていたが、用事があって学園にお使いに行き、新聞を持って帰ってきた。


新聞にはこう書いてあった。


『続報!


本紙記者は、渦中の令嬢に突撃取材を行った。

令嬢によれば、令嬢が倒れた際、たまたま近くにいたレオニード先生が助けただけとのことだ。静かに事態の推移を見守りたい。

猫さん(匿名、レオニード先生のファン)のコメント:

レオニード先生は、いつも幸薄そうなのに、あの時は本当にキラキラしていて幸せそうでした。先輩は気がついていないだけかもしれません。今はそっと見守りたいです。

皆のお医者さん(匿名、レオニード先生の友人)のコメント:

そうね、まだ明らかにできないことはあると思うの。恋が育つ時って周りが騒ぎすぎるとだめになることもあるじゃない?だから、私たちにできることは、静かに待つことだと思うわ。でも、近々、彼から重大発表があるかも!ちょっと待ってね!』


うーん、これ、二人を応援しましょう、のほうの記事よね。


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