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3 ダイの休日5

ダイはあせっていた。


昨日から、ダイは2日の休暇を取っていた。


まずダイは、ルカにあって、千里靴を借りるついでに、結婚するとか言っていたルカを冷やかしてやろう、と軽い気持ちでダウリポリにあるルカの家に行った。

ルカはいなかった。


ダイは、勝手に家の中に転移し、『あいかわらず散らかっている、恋人を家に連れ込むなら少し片付ければいいのに』と思いながら、ポストの手紙を家の中に入れたり、家の周りの草むしりをしたりした。


ダウリポリのギルドに行き、職員にルカについて聞くとここ3日ほど姿を見ていないという。ちょっとした手続きをする必要があるためギルドでもルカを探していたようだ。

ルカはいい加減なように見えて、仕事はいつもきっちりこなしているので、少しおかしいなと思いつつ、伝言を残した。


次に、ダイは、ダウリポリ名物のアップルパイを大量に買いに行った。職場の同僚たちのお土産に好評なのだ。


そこで、ダイはルカと共通の友人に会った。

「やあ、ショータじゃないか!ルカを探しているのか?あいつ、どうしたんだ?」


「たしかに俺はルカのことを探している。どうしてわかった?」


「あいつ、ちょっと前に婚約発表をするとか言い出して、ちょうど3日前の夕方にお祝いをするとか言って自ら酒場を予約したのに、会場に現れなかったのさ。


ルカが先に金を払っていたから、みんなで勝手にルカ失恋パーティをやっていたら、ルカの父ちゃんと弟妹が来たんだ。

あいつから、前日に婚約発表をするから会場に来いと連絡があったきり、何の連絡もないらしい。


プロポーズを断られたら、俺らには恥ずかしくて顔を見せられないだろうけど、家族にも連絡しないってよっぽどだろ。

それに、あいつが誰かと付き合っているとか聞いたこともなかったから、何か変なことに巻き込まれたんじゃないかって、仲間内じゃ噂になっていたんだ」



ダイは、友人からルカの実家の場所を聞き、様子を見に行った。


ルカからは何の連絡もなく、家族は心配していた。


父親は体が不自由なようであり、妹が手助けをしていた。

ダイは立ち上がろうとする父親に肩を貸しながら言った。

「大変ですね」


「ええ、10年前のドラゴン襲来の時に怪我をしてしまいまして」


「ああ、あの時の。話は聞いたことがあります」


10年前、ダイがこちらに来たのと同じ時期に、ツチャビッチ・ミトロヒナが日本からこちらに来た。そして、アル戦のストーリーどおり、エンシェントドラゴンに会い、近くの村に逃げ込んだ。追いかけてきたエンシェントドラゴンと人間の争いが生じ、結果、村が二つなくなり、多くの人命が失われたことがあった。

ルカの父親は、この事件の生き残りらしかった。


ダイは、ルカの実家に泊めてもらうことにした。夜、ルカの弟が、ぽつりぽつりと話を始めた。


ルカ一家はもともとダウリポリ周辺の村に住んでいた。その村は、10年前、ドラゴンに襲撃されてなくなった。ルカ達は生き残り、その後、ダウリポリに移住したのだ。


「4日前、兄ちゃんが、婚約が決まったと言って、うちに来ました。


兄ちゃんは、ああ見えて、すごく苦労してきたんです。


10年前、僕らの村に女の子がやって来て、ドラゴンが来ると言いました。

それで、村の自警団でドラゴンの様子を見に行くことになって、私と兄ちゃんがダウリポリの兵隊さんを呼びに行くことになりました。小さな村だったので、大人はみんな、自警団に入っていたから。

他の子たちは、もっと小さい子や動けないお年寄り、あと逃げてきた女の子の面倒を見ることになりました。


僕たちがダウリポリに行き、兵隊さんたちと一緒に村に戻るとちょうど襲撃を受けている最中で、お母ちゃんは妹をかばって死んでいたし、お父ちゃんは大けがをしていました。

他の子たちもあの時、ほとんど死んじゃったんです。


僕たちは、家じゅうの財産を売り払って、なんとかここに家を買いました。

それから、兄ちゃんが町で働いて、そのうち冒険者になって、お金を送ってくれることになり、僕が父の面倒を見ながら近くで働いて、何とか生活してきました。


兄ちゃんは冒険者だから、依頼を受けて何日も連絡がつかないことはあったけれど、そうなる前は必ず僕たちに知らせてくれていました。


だから、僕、兄ちゃんが心配です」


ダイがルカに初めて会ったのは、ちょうどルカが初めて働き始めたころだった。

いつも明るくお調子者のルカの過去を聞き、ダイは驚き、弟につまらない慰めを言うぐらいしかできなかった。


「もちろん探させてもらうよ。私も偶々、ルカに用事があるからね。

婚約者はだれだか聞いたかい?」


「婚約者をはっきりとは教えてくれなかったけれど、多分、ドラゴンの襲来を告げた女の子だと思います。


あの子は生きていました。運良く、他の子どもたちとはぐれたみたいです。

僕より先に村に帰っていた兄ちゃんがあの子と妹、あと、母ちゃんの死体を見つけたんです。


あの子は、娘さんをなくした近所のおばさんが引き取って、僕たちより先にダウリポリに来たと聞きました。おばさんは苦労したようで、一時は人に言えないような仕事をしていたらしいけれど、その後、貴族様の後妻におさまったそうです。


兄ちゃんは、ちょくちょくあの子と連絡を取っているようでしたし、ダウリポリの知り合いに兄ちゃんがピンクの髪の女と歩いていたと聞いたことがありますから」


「……逃げてきた女の子の髪の毛は、ピンク色だったのかな?」


弟はうなずいた。


「あと、前に会った時、ルカは何か手掛かりになるようなことを言っていなかったかな?」


「手掛かりになるかどうかわかりませんが、復讐の時が来た、と言っていました。

婚約という言葉と不釣り合いなので、よく覚えています」


「復讐……?」



翌朝、ダイは早々に出発すると、ばあさんの巣の前に転移した。


《ルカは、エンシェントドラゴンに対する恨みをばあさんにぶつけるつもりじゃないだろうな、ばあさん、大丈夫かな》

ダイが独り言をつぶやきながらばあさんの巣に入ると、ばあさんからブレスを吹きかけられた。


「おっと」ダイはさらりとかわすと言った。


「ばあさん、あぶないな」


「あたしのなわばりに勝手に入ってきたやつがいるよ」


「だからって俺にあたるなよ、ばあさん」


「ふん、いらいらするのさ。


3日前の昼頃、突然、人間が3人、私のなわばりに入り込んだ。千里靴でも使ったみたいだ。


その後、1人はどこかに行ったが、もう2人はまだ私のなわばりをうろついている。

あたしも無視しているけれど、なまいきにもここ2日間、ドラゴン笛を拭きながらうろつくもんだから、腹が立ってきたよ」


「そいつら、命知らずだな。前連れてきたルカじゃないかな?」


「最初のやつはわからないけど、今いる奴らは違う。

臭いでわかるね。男と女だよ。さっきから、いちゃついてる」

自分の家の庭に入り込んだどこかのカップルが突然いちゃいちゃし始めたら、いらっとしますよね(;^_^A


2020.10.01 人間が入り込んだ日付等(2日前→3日前)を微修正しました。

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