1 図書館で調査します
昨晩は、緊張の糸が切れるとぐったりしてしまい、夕食は軽めにして自室でスビートとひたすらにごろごろしていた。
「もう、なんでこんなに疲れちゃってるの?
限度ってものがあるんじゃないの?
君、お勉強できるって自慢してたけど、実はバカでしょ」
スビートは文句を言いながらも、ベッドにぐったり横たわる私の背中にちょっとだけ背中をつけて、一緒にごろごろしてくれた。
スビート、かわいかったなー。
気が付くと、緊張疲れも、ダイに言われたことのショックもおさまり、一晩寝ればすっかり元気になっていた。
うん、若いっていいわね!
今日は、王立図書館にいきますわよ!
今日も使用人は忙しいらしく、ついにメイドのマリが侍女服を着て、荷物持ちで着いてきてくれることになった。
図書館では、スキル関係の本や雑誌をひたすらに調べていく。
スキル理論の卒業論文を修正するためには、公式HPに書かれていたスキルに関する正しい知識を記載するだけではだめで、現在のこの世界におけるスキル理論の最先端を知らなくてはならないからだ。
とりあえず、四大元素(火土風水)と光闇無の7属性があること、スキルはその効果により物理攻撃、魔法攻撃、支援の三系統のスキルタイプがあることは、この世界でもすでに知られている
そして、そもそもスキルを授からない人もいる。
統計を取った論文によると、平民はスキルを授かる人がだいたい30%、貴族は75%、王族は統計がない(ほぼ全員が授かるのではないかという噂だ。)。
どうして貴族のほうがスキルを授かる率が高いのかはわからない。
お金がある分、教育を受けたり、いろいろな経験を積んだりできるので、スキルの取得条件を充たす可能性が高くなるという説と、スキルは血で承継されるという説があるようだ。
これは、前世でも説明されていないことだから、よくわからない。
ただ、この論文の数字は、スキルを授かったかどうかを確認する方法に影響を受けている可能性があるのではないかと思っている。
スキルを授かったかどうかは、6歳から15歳ぐらいまでの子供たちが、何か自分の能力に変化があると感じた時に、神殿に行って高位の神官にスキルを確認してもらうことで判明する。
そして、貴族のほうが、見栄っ張り、というか名誉を重視するため、スキル取得に熱心であり、神殿にお布施を納めてスキル確認を受ける傾向があるのではないか。
また、スキル取得の条件があるとすると、物理攻撃、魔法攻撃が必要になるのは、貴族が多いのではないか。
あと、私のようなパッシブスキルは変化に気付きにくいので確認されにくい可能性もある。
貴族は人口比で言うと平民より相当少ないので、平民と貴族とを併せた集団におけるスキルを授かる人の割合は、やはり30パーセントぐらいだ。
だが、実際は、平民に協力してもらって鑑定すれば、案外家事スキルや商売のスキルといったスキル持ちがごろごろいるかもしれない。
例えば、コテージの料理人が作る料理は非常においしいのだけれど、彼が休みの日に料理人の弟子が作ると、同じレシピなのに、微妙に何かが違う。
おいしくないとまではいえないが、洗練された感じがないのだ。
材料の切り方や、火の通し方といった微妙な技術の差かもしれないけれど、弟子だって一生懸命研究しているのだ。
もしかしたら、料理人は料理スキルがあり、弟子はまだそのスキルを授かっていないのかもしれない。
神殿の協力は必要だけど、調べてみたいかもしれないわね。
あと、属性間の相性は知られていたが、こちらではHPが数値表示される訳ではないので、強い属性のスキルを使って弱い属性のスキル持ちを攻撃すると通常の攻撃の1.2倍のダメージというようにはっきりした数値でわかっているわけではない。
また、光闇無の属性は、それぞれとても珍しいので、研究はあまり進んでいないみたい。
倍率については、私の卒業論文は書きすぎだったかもしれないわね。
調べているうち、お昼の時間になったので、コテージに戻ってお昼をいただくことにする。
食堂に行くと、びっくり!
おじいさまがお見えになっていた。
王立図書館もコテージと同一敷地内です、、、。
ライラの自宅敷地、広いな。何でもありな気がしてきた。




