2 面談対策を考えます
《それより、夕刻に学園から先生がいらっしゃるのですよね》
《その問題もあったわね。
体調不良ということで連絡してもらっているけれど、よく考えればお医者様に見てもらったわけでもないし、仮病なのが明白よ。
少しでも、しおらしくして、寝間着に着替えてベッドで対応すべきかしら。
お行儀はよくないし、うそをつくのは嫌いなのだけれど、しょうがないわね》
《お嬢様が、【公爵令嬢のお願い】スキル全開で体調不良だと言い張れば、それを嘘だと指摘できる者はこの世におりませんよ。
ですが、お嬢様、そろそろ引きこもりを止めることを考えるべきではないでしょうか。
オルロー家の没落を防ぎ、お嬢様の処刑を免れるためには、お嬢様が卒業パーティに参加し、主人公の助けを借りて断罪に対応し、無罪を勝ち取る必要があります。
体調不良を言い訳にして引きこもっていると、ミトロヒナ嬢以外の者が主人公であった場合、主人公との接触ができない状態が続き、お茶会に誘って友人になることができなくなる可能性があります》
《でも、ミトロヒナ嬢が主人公の可能性が高いのですもの。
無駄な努力はしたくないわ》
《無駄ですか》
《ダイが言いたいことはわかるわ。
わずかでもオルロー領が戦場になるのを避けるチャンスがあるのなら、それを拾いに行くのが、今までオルロー家を盛り立ててくれた領民に対する、領主家の者の仕事だということでしょ。
ただ、私が言いたいのは、これはゲームではないのだから、ほかの方法がないかということよ。
今からでもイヴァン殿下にすり寄ってお世辞を使い、ミトロヒナ嬢を愛妾にすることを認めて、お役目だけの正妃の地位を確保する方法も考えたわ。
すごく嫌だけど、死ぬ気でやれば、お世辞を言うぐらいはできると思うの。
でも、その場合、私を断罪するかどうかの判断をイヴァン殿下に委ねることになる。
そうなると、イヴァン殿下は性格悪いので、結局断罪を選ぶこともあると思うの。
だから、この方法は最終手段ね。
今考えているのは、私が体調不良だとオルロー領に連絡がいけば、おじいさまが確実に動いてくれるはずなので、おじいさまに交渉して、王家に婚約解消の申し入れをしてもらうことよ。
婚約さえ解消されれば、お互い、傷もなく別れることができるし、そうなれば、無駄にオルロー家を敵に回すような、断罪、処刑はやらないはずだわ》
《三馬鹿とヒドインに常識があれば、そんな愚かな行動には出ないと思いますが、ゲームの世界では婚約破棄して戦争を起こしていますからね》
《とりあえず、もう少し待って。
おじいさまから連絡が来ないようなら、私からおじいさまに連絡して、王都に来てもらうよう頼むわ。
おじいさまにお会いして、「イヴァン殿下との婚約が嫌で嫌でもう何もやる気が起きない、体調が悪くて死にそう」と言えば、きっとおじいさまが何とかしてくれると思うわ。
それでもだめなら、しょうがないからイヴァン殿下にハニートラップ作戦を決行するわ。
大丈夫、落としてしまえば、こちらはURキャラですもの!
ステータスではイヴァン殿下より上なのだから、私のスキルでコントロールして、最後はオルロー家の使用人たちに頼んで、ちょっと痛い目にあってもらえば、いろいろと分かり合えるのではないかしら、私たち》
《お嬢様がハニートラップですか。
無理だと思いますし、それなら最初からスキルや使用人の力を借りてわからせるほうが、筋がいいと思いますけどね。
しかし、ゲームと違う選択肢、ですか。
なるほど。いい視点ですね》
ダイはまた何かを考え始めた。
私は待った。
暇なのでスビートを見に行き、ついでに猫じゃらしを振って遊んでやっていると、ようやく考え事を終えたダイがこちらを見ながら言った。
《お嬢様、何をなさっているのですか》
《ダイの邪魔をしないように、待っていたのよ。
何を考えていたの?》
《そういう行動を待っていたと言って差し支えないのでしょうか。
まあ、よろしいでしょう。
私に考えがございます。
オルロー家の没落を回避するためには、URキャラの覚醒が欠かせません。
ですが、URキャラのうち、お嬢様とスビート様とは覚醒に至らない可能性が高いです。
お嬢様は、覚醒するために、主人公とお茶会で接触して友人になり、主人公に卒業パーティの断罪時に助けてもらう必要があります。
スビート様も、覚醒するためには、中庭で授業をさぼっていた主人公と接触して友人になり、その後、勇気を出して主人公を集団いじめから救う必要があります。
しかし、主人公はミトロヒナ嬢である確率が高いところ、お二人ともミトロヒナ嬢に対する好感度は最悪なので、今から友情レベルまで好感度を上げるのは難しいです。
そうなると、ゲーム的に一番見込みがあるのは、最後のURキャラクター、ピョートル殿下に覚醒していただくルートです。
ピョートル殿下は、今、学園で進路指導の教師をやっているはずです。
学園に、進路で迷っていると相談すれば、ピョートル殿下にエンカウントする可能性があります。
あと、ピョートル殿下は、卒業時の成績優秀者に接触するはずです。
お嬢様は、あと少しで成績優秀者になれるような成績だと、以前おっしゃっていませんでしたか?》
《そうね、座学では優秀な成績を収めているの。
ただ、卒業成績の認定は、スキル実技の科目の配点が大きいから、、、。
スキル実技の科目でそこそこの成績を上げれば、余裕で学年一位で卒業できるはずだったのだけれど、私、ほら、スキルがないから》
そこで私は気が付いた。
《あ、スキル、ありましたわ》
昨日の投稿について、微修正しています。
すいません。




