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1 未来予測パラドックス?

朝食後、学園から伝令が来た。

私が長期間お休みをいただいているものだから、学園が終わった夕方ごろ、学園の先生が様子を見に来てくださるそうだ。


ありがたいことだけれど、仮病でお休みしている身の上としては、どのように対応するか、頭が痛いわね。


せっかくキアラがドレスを着せてくれたけれど、もう一度寝間着に着替えたほうがいいのかしら。

でも、めんどうくさいわ。



とりあえず、どのように対応するかを後で考えることにして、自室に戻り、ノートを確認する。



昨日、眠る前に、ダイに聞いたSSRキャラクター情報をノートにまとめていて気が付いたことがある。


UR、SSRキャラは、そのキャラにまつわるサブミッションを一つ受けることでスカウトできるようになり、パーティに加入させることができるようになる。


その後、いくつかのサブミッションを受けて条件を達成すると、サブミッションの結末を見ることができる。


例えば、好感度を上げてキャラクターから告白され、主人公がOKすれば恋愛エンドで、二人がいちゃいちゃしている結末を見ることができる。


好感度の上がり方が足りない場合は、友情エンドになる。


一方、告白を断ると、バッドエンドになり、そのキャラクターが主人公と関係のない進路を選んで別々に生きていく、というような結末を見ることができる。


バッドエンドだと、そのキャラクターは、もうパーティに誘えなくなるので、それまでキャラクターを育成した苦労が無になってしまう。


ただ、アル戦のシステムでは、ミッションと学園パートを別々に進めることができたから、卒業さえしなければ告白を受けた状態で、そのまま返事をせずミッションを進めることができた。


卒業記念パーティまでには、さすがに告白に返事をしなくてはいけない仕様だったみたいだけれど。



あと、アル戦のシステム上、ハーレムや逆ハーレムはできない仕様だった。


特定のキャラとの恋愛エンドが発生した時点で、主人公に告白していた別のキャラクターがいる場合、自動的に別キャラクターのバッドエンドが発生し、別キャラクターはパーティに誘えなくなるためだ。


逆ハーレムルート、などと言っているが、公式が認めた逆ハーレムエンドがあるわけではなく、単にアル戦のシステムを利用して、学園パートを卒業直前まで進めて告白に返事をしないままミッションを進める攻略方法を、プレイヤーたちが勝手にこう呼んでいるのである。



一方、恋愛エンドや友情エンドが発生した場合、キャラクターは覚醒して、ステータスが上昇するとともに上位のスキルを得る。




ところが、ダイから聞いた話には、覚醒後のスキルの話が全くなかったことに気がついた。


ダイが、各キャラクターの覚醒後スキルを知らないはずがない。


逆ハーレムルートで進めていた関係で、攻略対象を覚醒させていない私ですら、ネットの攻略掲示板で調べて、攻略していた3体の覚醒後スキルを知っている。

イワン王子が【雷帝】スキルで、ボリスが【剣聖】、トノリは【暗黒地獄】だ。


ほかのキャラクターの覚醒後スキル、特に、私の覚醒後スキルはどういうものなのかしら。

気になってしょうがないわ。


お茶を用意するよう言いつけると、うまいぐあいに今日もダイが給仕しに来た。


さっそく聞いてみる。


《ねえ、ダイ、そういえば、UR、SSRキャラクターの話を聞いたでしょ。


その時、覚醒後のスキルの話を聞き忘れていたわ。


教えてちょうだい。どんなスキルなの?》


《お嬢様、今、あからさまに【公爵令嬢のお願い】スキルを使いましたね。


私は、お嬢様のお願いに慣れていますから、効きませんよ》


《いいじゃない、覚醒後スキルについて知りたいのだもの》


ダイは、何かを考え始め、無言になった。


私は、ダイが固まっているのを見て、ダイの手元にあったティーセットを使い二人分のお茶を入れると、ダイに座るよう促した。


《ありがとうございます。


王子妃教育の成果か、おいしいですね。


茶葉の蒸し時間もばっちりです》


《でしょう?


それで、私の覚醒後スキルはどんな感じなの?


いいスキルなのかしら》


《お嬢様、言いにくいのですが、まだ覚醒後スキルについて語ることはできないと思います。


これは、全くの私見なのですが、どのようなスキルを取得するかといった未来が予測できたとしても、取得するまでスキルについて語るべきではありません》


《え、、、どういうこと?》


《お嬢様は、未来予測パラドックス、つまり、宣言された未来予測は当たらないという法則があることをご存じでしょうか》


《え、知らないわ》


《そうですね。例えば、お嬢様は悪役令嬢がざまあする小説についてご存じですよね》


《ええ、もちろん》


前世では、とても楽しんでいたような記憶があるわ。


《どうしてざまあできるのだと思いますか》


《そうね、前世を思い出して、そのままでいると処刑や修道院に送られることに気が付いて、チートやヒロインが登場するまでの時間を活用して、結果回避のために努力するからだと思うわ。


だけど、何の努力もせずにスローライフを始めるとか、いろいろあったわね》


《ざっくりいうと、未来を知って行動を変えたからです。


未来を知ると、現在の人間の行動が変わります。


すると、未来が変わるのです。


だから未来を知っているということ自体が、一番のチートといってもいいかもしれません。


今、私がお嬢様に、こういう感じのスキルが手に入ると告げたとします。


だけど、お嬢様は、そんないいスキルが手に入るなら努力しなくてもいいと考えたり、そんなスキルしか手に入らないならとあきらめて努力することをやめたりするかもしれません。


私がお嬢様のスキルを教えることで、未来が変わる可能性があるのです。


スキルは、こちらに来てから結構調べましたが、今でも授かる仕組みが分かっていません。


神様の領域の話です。


そういった微妙なことは、口にしないほうがいいのではないか、と私は感じています》



ダイははっきりと言い切った。


今までの付き合いから、ダイがこういう感じになったら絶対に譲らないことはよくわかっていた。


《つまんないの》


私はあきらめた。


2022.07.17

 章管理を忘れていたので、章を変えました。これは、11月6日の出来事です。

 読みにくい箇所と改行を修正しました。

 「未来を予測すると未来が変わるので未来予測は当たらない」という法則を「未来予測パラドックス」という名前を付けました。あと、紅茶の蒸し時間なしにおいしいお茶を入れたような記載だったので修正しました。主な内容は変化ありません。

 表題を、「未来予測パラドックス?」に変更しました。

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