2 ドレスの打ち合わせ
祝!100話目!
読んでくださった方に感謝です!
昼食後、リタはそのまま勉強を続けていたが、私はキアラと一緒に客間に移動した。
卒業パーティで着るドレスを注文するために、デザイナーの人が来てくれたのだ。
どんな感じにしようかしら。
ちなみに、ゲーム攻略掲示板にアップされていたイヴァン王子の恋愛エンド動画では、私は、濃い紫色の、大胆なカットでスタイルの良さを強調するような、ザ悪役令嬢という感じのドレスを着ていた。
ちなみに、ヒロインは、イヴァン王子の色である、淡い水色に金糸で刺しゅうしたフリフリドレスを着ていた。
動画をアップしてくれたプレイヤーの場合は、真っ赤なベリーショートのボーイッシュな感じのアバターだったから、フリフリドレスは似合っていなかった。
乙女ゲームのお約束の一つに、攻略対象の色を決めて、ルートに入ったらその色のドレスやアイテムをまとわせるというものがある。
主人公は、攻略対象の色を身に着けて気合を入れる一方、攻略対象は主人公に自分の色を身にまとわせることで、自分のものだと主張して独占欲を充たすのだそうだ。
わかる、わかるわ。推しの色を身に着けたい気持ち。
独占欲うんぬんは、ちょっとよくわからないところもあるけれど、要は「自分の色に染めてやる」ってことなのかしら。
でも、相手の髪や目の色が自分に似合わない色だった場合は、どうするのかしら。
自分に似合う色の相手を好きになるわけじゃないのですもの、どうしてもそういう組み合わせになる可能性はあるわよね。
それに、両想いならあらかじめ相談してリンクコーデにしたほうが仲良しに見えるでしょうに。
正直、あの動画を見た時は、ヒロインより悪役令嬢のほうがきれいだなと思いましたもの。
ま、私、その悪役令嬢になってしまったわけで、おかげさまでスタイルいいし、美人だし、普段着飾るのはめんどうだけれど、たまにはうんときれいにしてみようかしら。
と思っていたら、デザイナーさんの一押しは、ゲームで見た濃紫のドレスだった。
動画ではよく似合っていたけれど、結局、それを着て断罪されたので、縁起悪いしやめておこう。
いろいろと悩んでいたのだが、デザイナーさんが、私の今日の髪形を見てひらめいたというドレスのスケッチを見せてくれた。
黒い光沢のある生地に銀の糸でオルロー地方に伝わる模様を刺しゅうしたイブニングドレス。デザイナーさんがノリノリなので、勢いに押されてお任せすることにした。
話がまとまったので、デザイナーさんをお誘いして、お茶の時間にする。ピョートル殿下からいただいたアップルパイをお出しすると、喜んでいただけた。
実際、とてもおいしかった。
これ、ダイがどこからともなく入手して、おやつに出してくれていたアップルパイと同じ物だと思う。
ただ、おいしいけれど、私はカスタードタルトのほうが好きだ。
どうしてピョートル殿下は、私の好物がこのアップルパイだと勘違いしたのだろう?
リタの様子を見るために台所に行く。
真面目に勉強していたので、休憩するように言ってアップルパイを出していると、マリがやってきた。
「うわー、それ、ダウリポリの店のアップルパイだよね。
私、大好きです!あ、お嬢様、お嬢様も大好きで、すよね?」
「ええ、とっても」と私はもう一切れ切り分けながら言った。
そういえば、マリはこのアップルパイを見るといつもテンションが上がるので、ついつい私も流されて返事をしてしまう。
コテージの情報をピョートル殿下に流しているのは、この子かしら?
考えていると、マリが聞いてきた。
「そういえば、デザイナーさんが来ていたんだ、ですよね。卒業パーティの準備ですか?
お嬢様、きれいだからなんでも似合いそう。
どんなドレスにしたんですか?」
「ふふ、それは当日のお楽しみよ」
少し警戒してはぐらかしてみるけれど、マリは結構追求してきた。
「えー、私見れませんよ!知りたいです!きっときれいです!」
私はあえて偽情報を流してみることにした。これで、マリが情報を流しているかどうかわかるかもしれない。
「あら、うれしいわ。濃紫で体にぴったりしたちょっと大胆なドレスよ」




