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第88話 ※番外編※おまけの話

私の名前はリスティナです。今4才です。

お父様はこの国の国王さま、お母様はお妃さまをしています。

私の毛並みはお父さま似。瞳はお母様と同じです。黒い色で日に透かすと濃い緑になります。

私にはお兄さまが2人います。リュオンお兄さまとシュオンお兄さま。

2人とも私を可愛がってくれますが、悪戯のし過ぎは感心できません。


私の夢はお父さまとお母さまのような結婚をする事です。

ロマンチックな出会いとかではなく、いつまでも愛し合える家庭を築くのが夢です。

お父さまの世界の殆どはお母さまを中心に回っています。

お仕事をしている時でも暇があればすぐお母さまの所にいらっしゃるし。

もちろん、私達の事も愛してくれていますけど………やっぱりお母さまがイチバンみたい。

お母さまはそんなお父さまの事を苦笑しながら見守ってらっしゃるけど、でも嬉しく思ってるのが分かります。私の両親はどんな時でもラブラブです。


ラブラブと言えばリュオンお兄さま。先日シャーリアお姉さまと許嫁のお約束をなさいました。

第1位王位継承候補者なので大方のまだ早いんじゃない? という意見が大臣さん達の間には多かったそうですが。無視しての強行です。

流石のお父さまも苦笑なさってました。

シャーリアお姉さまのお父さまのリンおじ様なんて今にも泣き出しそうな顔をしてましたけど。

お母さまとミーシャおば様は大喜びでした。


後はシュオンお兄さまですが………。大人は皆、シュオンお兄さまを甘く見過ぎだと思います。子供の恋と思ったら大間違いですよ。

シュオンお兄さまはエヴァお姉さまを落とす気満々です。今もエヴァお姉さまに近寄ろうとしている男子を牽制してます。エヴァお姉さまや大人たちは気付いてないみたいですけど。

エヴァお姉さま、シュオンお兄さまを弟扱いして甘く見てますけど………。気をつけて下さいね。

うちの兄は単純な子供じゃありません。十分腹黒いです。もちろん優しいですけど。


私は十中八九、エヴァお姉さまがシュオンお兄さまに押し負けると思います。

何だかんだで、エヴァお姉さまって私達に弱いんですもの。

「お願い」ってされると逆らえないものがあるそうです。

今の所シュオンお兄さまはその効果を適切に使ってらっしゃいます。


年上のお兄さま達はもう王立学院に通っていて昼間は同い年のシザリアとトリッドと良く遊びます。

シザリアは神官のジュド―おじ様とお母さまの護衛の騎士、エルザおば様の娘です。彼女の弟のラディスはまだヨチヨチ歩きなので時々見せて貰いに行きます。

私も弟が欲しいです。妹でも良いですけど。だってコロコロしていて可愛いのだもの。

トリッドはリンおじ様とミーシャおば様の息子です。お兄さま達の悪戯を止めようとするタイプ。

常識人のようでいて、最終的には巻き込まれて一緒に怒られてますけど。


午後になって学校が終わるとお兄さま達が帰って来てお城の庭は一気に騒がしくなります。

ファウエルお兄さまは一番年上。ヨランダおじ様とルーシアおば様の息子です。

ヨランダおじ様に似て体格が良く騎士の授業では首席をとる位の腕前だとか。将来はラムザおじさんのような騎士になりたいんですって。

ラムザおじ様と言えば先日結婚なさいました。お相手はアリッサ様。ミーシャおば様が産休中にお母様のお世話を任されていた女性です。どこか、ミーシャおば様に似たタイプの方ですよ。

お父様達が苦笑してました。


マルセルお兄さまはレンブラントおじ様とメルフィおば様の息子です。

年の割に言葉少なげな方ですけど、私は大好き。

お兄さま達程、粗野な感じでもないし。悪戯に加担してはいますけど………お兄さま達が暴走してやり過ぎそうな時は、はっきり言って止めて下さいます。

そう言う所がカッコいいんです。でもこの事はお兄さま達には秘密。

だってからかわれるのが目に見えてますから。


お兄さま達は小さいからとか女だからと言って遊びから外したりしません。流石にお人形遊びは付き合ってくれませんけど。お陰で少々お転婆になりました。

でもお父さまもお母さまも笑って許してくれます。


「今のうちに遊んでおきなさい。どうせ学院に行くようになったら沢山勉強するんだから。今できる全力で遊べばいいんだよ」


お母さまは笑いながらそう言います。


「元気なのが1番だ。怪我さえしなければ遊ぶ事で学ぶ事も多いからな」


お父さまもどこか嬉しそうにそう言うんです。お父さま自身、昔ヤンチャだったからでしょうか。

お母さまがこっそり教えてくれました。お父さま、「昔はジラルダさんに怒られてたんだって」想像できませんけど。お父さまも子供の時があったのですね。


「チビ共大人しくしてたか?」


そう言ってのっそり帰ってくるのはファウエルお兄さま。


「俺達よりなんぼか大人しくしてると思けど」


マルセルお兄さまはそう言って苦笑します。


「違いない。悪戯するのは俺達だもんな」「そうそう。いつも巻き込んでるけどね」


リュオンお兄さまとシュオンお兄さまが笑って言いました。

暫くすればそこにシャーリアお姉さまが加わって今日は何をしようかと言う話しになるんです。

この前は森に探検に行きました。ティレンカおばあ様の所に連れて言って貰った事もあります。

後はごっこ遊びとか。本を題材にして劇をするんです。でもこの前、間違ってお城のカーテンを燃やしてしまってジラルダさんに物凄く怒られました。

お腹が減るとこっそりゼファンさんの所に行きます。そうするとお菓子をくれるんです。

前はお兄さま達が盗み食いしに行ってたんですけど、ゼファンさんは盗み食いされるより、素直に渡した方が被害が少ないって。「私ももう年ですからね。追っかけっこは無理です」って言ってました。


「今日も皆仲が良いですわね。またこの前みたいな悪戯をしては駄目ですわよ」


通りかかったエヴァお姉さまがそう声をかけてくれました。


「エヴァ姉ぇ! 何処行くの?」


真っ先に嬉しそうな子供を装って近づくシュオンお兄さま。


「街に買い物に行くのよイリアナお姉さまにお手紙を書くのに何か良い便箋はないかと思って」


イリアナお姉さまと言うのはエヴァお姉さまのお姉さま。何か事情があって北の修道院にいるんです。

昔、絵姿を見せて貰いましたがとても綺麗な方でした。

シュオンお兄さまが後ろ手でブロックサイン「今日は遊ばない。エヴァについてく」はいはい。了解ですよ。私達は顔を見合わせて苦笑しました。


「へえ!楽しそう。僕も行くよ」


いつもは「俺」なのに。エヴァお姉さまの前では「僕」なんですよね。


「別に構わないですけど………男の子にはつまらないのじゃなくて?」


「別につまらなくなんてないよ。エヴァと一緒だと楽しい」


無邪気な子供の装いが板についてます。シュオンお兄さま。

まぁそうなると思ってました。エヴァお姉さまは美人さんですからね。虫除けも楽じゃなさそうです。

2人が行ってしまったあとシャーリアお姉さまが帰ってきました。今のやり取りは見ていたみたい。


「頑張りますわねシュオン。いつ見ても吃驚。お姉さまの前だと別人なんですもの。エヴァお姉さまもいつになったらシュオンが本気だって気付くのかしら………」


「多分、捕まった時です」


そう言うと皆がマジマジと私を見ました。


「確かに………あり得そうだね」


マルセルお兄さまが苦笑しながらそう呟いて皆が頷きました。

エヴァお姉さまにとって私達は弟や妹みたいなもの。まったく予想もしてないに違いありません。

シュオンお兄さまがエヴァお姉さまの事、本気で好きだって。


「捕まった時って言うのが現実にありそうだからなぁ………あいつはやってのける気がする」


リュオンお兄さまがそう言います。


「確かにな。何だか俺、エヴァ姉が憐れになってきた」


ファウエルお兄さまがそんな事を呟きます。


「いいじゃないですか。私はエヴァお姉さまに本当のお姉さまになって貰いたいですもの。それに結ばれてしまえば2人とも幸せになります」


私はむくれながらそう言いました。エヴァお姉さまはちゃんと幸せになれますよ。


「ふふ。年の差の恋なんて素敵」


「えぇ。あれはあれでお似合いだと私も思うわ」


シャーリアお姉さまとシザリアが共感してくれました。

お兄さま達は微妙そうな顔ですが。


「なんだ、また悪戯の相談か?」


突然声をかけられて驚きました。お父さまです。

レンブラントおじ様とリンおじ様、エルザおば様にミーシャおば様、お母さまもいらっしゃいます。

お母さまは今日ミーシャおば様、エルザおば様、ルーシアおば様とレンブラントおじ様の家でメルフィおば様とお茶会だったはず。どうやら終わってお父さまの所に行ったらしいですね。

それともお父さま達がお迎えに行ったのかしら?


「まだしてませんよ。父上」


「まだって事はこれからするつもり?」


お母さまの悪戯めいた言葉にリュオンお兄さまが苦笑します。


「さぁ。まだ決めてません」


「程々にして下さい。火事はもうごめんですよ」


「ジラルダ殿が血相を変えて執務室に怒鳴りこんできましたしね」


お兄さまの言葉に苦虫を噛み潰した顔のレンブラントおじ様、それから苦笑するリンおじ様。

こう言う時、釘を刺す役目は大抵レンブラントおじ様です。

私達は首を竦めてお父さま達を見ました。


「あれは不可抗力です。ワザとじゃありませんよ」


痛い所を突かれた顔でマルセルお兄さま。

こういう言いかたをする時はレンブラントおじ様にそっくりです。


「分かっていますよ。じゃなければもっとキツイお仕置きをしてますからね」


その言葉に皆溜息を吐きました。何時間も正座させられてレンブラントおじ様やジラルダさんにお説教されるのはもうごめんです。


「周りに気をつけて遊べば大丈夫ですよ。流石に蝋燭を使った遊びは2度としないんじゃありませんか」


「えぇあんな風に怒られるのは嫌でしょうし」


笑いながらエルザおば様とミーシャおば様がそう言って下さいました。

お母さまも笑いながら言います。


「元気なのは良いけど、怪我はしないようにね」


「はい母上」


リュオンお兄さまが代表してそう言って、私達もうんうん頷きました。

我が家には家訓があるんです。お母さまを泣かせない事。

それは徹底していて今では他のお兄さまやお姉さま達の所にまで浸透しています。


「何ですか。皆、揃って悪戯の相談でもしてるんですか?」


「陛下方もいらっしゃるし流石にそれは無理なんでは」


私達=悪戯という公式でもあるんでしょうか。

ニコニコ笑ったジュド―おじ様とラムザおじ様、更にはヨランダおじ様が加わりました。


「なんで親父まで………」


ファウエルお兄さまがそんな呟きを洩らします。


「またあんたは。パパって呼んでって言ってるのに………反抗期って辛いわぁ」


「別に反抗期じゃないぞ………ていうか、パパは勘弁してくれよ。俺そんな年じゃないんだから」


ファウエルお兄さまが天を仰ぎました。

男らしくなりたいファウエルお兄さまと可愛く呼んで貰いたいヨランダおじ様の相互理解は難しいと思います。でも、ファウエルお兄さまはそんなヨランダおじ様が大好きなんですけど。

皆がそれを分かっているのでその場は暖かい笑みで溢れました。


「そう言えば、シュオンがいないけど………」


お母さまが心配そうに言います。


「エヴァお姉さまと街に買い物にいきました」


私はにっこり笑ってそう言いました。


「まったく。あの子ったら………邪魔してなきゃいいんだけど」


大人は皆、納得顔です。シュオンお兄さま、エヴァお姉さまを見つければくっ付いて行きますからね。

でも、邪魔はしてると思いますよ。お母さま。エヴァお姉さまに寄って来る虫のですけど。


「悪戯は程々にな。気をつけて遊ぶんだぞ」


お父さま達はそう言うと笑い合いながら歩いて行きました。


「何だかやる気がそがれたな………」


そう言うのはリュオンお兄さま。


「あれだけ悪戯、悪戯と釘を刺されるとなぁ」


ファウエルお兄さまも溜息を吐きながら言います。


「今日は大人しく遊べばいいんじゃない?」


そう言ったのはトリッド。


「だとして何して遊ぶんだ?」


とマルセルお兄さま。


「エヴァお姉さまとシュオンお兄さまの後をつけるのは?」


私が言うと皆がぎょっとした顔で私を見ます。


「リスティは中々、危険な事をいいますね。バレたらシュオンが相当怒りますよ」


マルセルお兄さまが感心したようにそう言いました。


「でも面白いかも………」


シザリアが頷いてワクワクした顔をします。


「どんな風にデートしてるか気になりますしね」


シャーリアお姉さまも言いました。


「決まりだね」


「決まりだな」


リュオンお兄さまとファウエルお兄さまが頷きます。


私達はこっそり街へ行きました。エヴァお姉さまとシュオンお兄さまを生暖かい目で見守ります。

シュオンお兄さま大活躍です。近寄る男を邪気のない笑顔でコテンパンにして追い返してます。

我が兄ながらすごい手腕です。エヴァお姉さまが気付かないのが不思議な位。

結局、この尾行はシュオンお兄さまにバレて私達はかなり怒られる事になるんですけど………。

でも今日も楽しい1日でした。

ずっとこんな風に仲良くできたら嬉しいな。

※※突然ですが『『召喚されて来てみれば』 アクセス御礼対談。 …… 対談?』 を2017年2月4日にアップしました。 短い物ですが、 お読み頂ければ嬉しいです。※※


語り手は深音のお腹にいた赤ちゃんでした。もう4才ですけど。

彼女から見た両親や幼馴染の話です。

これをもって「召喚されて来てみれば」完結となります。


短いような長いような不思議な気持ち。このお話を書き切れて良かったです。

気付けばお気に入り登録してくれた方も1000人を超えていてとても嬉しい限り。


これから暫くは誤字脱字の修正と多少の見やすさの改善をした後、放置してる小説と向き合いたいと思っています。


感想やお手紙を下さった皆様、

先日教えて貰ったのですがツイッターにコメントを書いてくれた皆様、

そして何より最後まで読んで下さった皆様、本当に本当にありがとうございました!書き切れたのは皆様が読んでくれたおかげです。

またどこかでお会いできることを祈って………。


蒼月かなた拝

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