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メイド勇者とホスト魔王  作者: わったん
第八章 掴み取る平和と手放す記憶編
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第110話 勇者一行 VS 四大魔王

 自分を包む輝く光が薄れていくと、目の前には懐かしい風景が広がっている。それは、最後にアルマと戦った大陸中央の山岳地帯であった。

 自分が生まれた世界なはずなのに、ラヴィの胸の内には違う感情が湧き上がっていた。


「帰って…きたのか…。」


 大事で、命を懸けて守ると誓ったはずの世界は、どこか知らない場所のように感じる。それほどまでに、ラヴィの中でヤオの世界が故郷のようになっていたのだろう。

 すると、少し遅れてアヤネとレナも転移の渦から現れる。


「へー。ここがラヴィの生まれ故郷なのか。」


「ニャ?枯れた山ばっかりだね。」


「ここは私とアルマが最後にぶつかった場所なんだ。街や国なんかはずっと遠くだ。」


 乾いた風がラヴィの綺麗な髪を撫でると、離れた場所に、アルマやヨルカ、そしてネネが渦から現れた。


「あいつらも来たか…。アルマの横に居るのは瑠偉か?」


「ママ!?シルバさん達も!ボロボロじゃないか!」


「ニャー!狐!」


 ラヴィ達が他のチームと話そうとするが、少し遠いため、その前に強大な悪の力を4つ感じ取って足が止まる。

 四大魔王の面々は、正面の山の頂上に現れ、先に着いていたラヴィ達を見下ろしている。


「おー!雑魚のみんなが集まってるみたいだよ!強いオーラを感じるのがちょこちょこ居るみたいだけど、これなら数分で終わっちゃうんじゃない?」


「あのアルマは私のよ。」


「クソが!せっかく良い所だったのにこんなとこに送りやがって!俺は続きをやりに行ってくるからな!」


「ほっほっほっ!じゃあ儂はあの勇者をもらおうかのー。」


「えー!みんなワガママだな!それだとあたしが1番雑魚っぽい魔王候補の子達とやらなきゃダメじゃん!つまんないなぁー!」


 そして、四大魔王がそれぞれの相手の所へと向かおうとした時、ラヴィ達と四大魔王の間にイリスがやって来る。


「どうやら戦いが始まる前に間に合ったようですね。この力を渡さなければさすがに勝ち目はなさそうなので…。」


 そう言うと、イリスは悪の宝玉を取り出して、ヨルカや瑠偉の方へと向ける。悪の宝玉は、ラヴィに斬られて両断されたはずだったが、少し小さくなって元の黒い水晶に戻っている。


「悪の力よ。持ち主の元へと帰りなさい。」


 イリスが黒い水晶を掲げると、そこから4つの黒い光が現れて、それぞれ一つずつヨルカ達の身体の中へと入っていく。

 黒い光が身体の中に入ると、ラヴィ達と戦った時よりも大きくなった悪のオーラが漏れ出し、周りを驚かせる。


「ふー!やっと力を取り返したアル。しかも天誅が強く進化して天罰になった状態で返してくれるなんて太っ腹アルな。」


「幻惑が幻想になってるでありんす。」


「狂気が…狂乱だなんて…!僕の頭をもっと狂わせろって事なんだよね!?」


 そして、黒い光は瑠偉の元にもやって来て、ヨルカ達よりも大きな悪の力を放っている。それと同時に黒いスライムのようなオーラも復活する。


「へー。恐怖が震撼に変わってるんだね。能力に大きな違いはないみたいだけど、オーラの強靭さが段違いだよ。」


「くくく…。さすが瑠偉だな。今の我の力を大きく上回っているではないか!」


「でも凄い決断だよね。僕とあの四天王達の力を戻すだなんて。また反逆にでもあったらどうするんだろうね。」


「そんなもの!我が叩き潰すに決まっておろうが!それに、そんなつもり…あるのか…?」


「あはは!ないない!もうそういうのには興味無いんだよね!」


「そうか。ならば手を貸せ!あのヴァンパイアを倒した後、他の魔王も我が全員倒してやる!」


「はは!了解!」


 最後に、イリスは刀1本と鉈2本を、それぞれキョウとハルの所に投げると、それをキョウ達が受け取った。


「武器もお返ししておきます。」


月裂つきざきまで…。本当にあれらをわちきらに倒してほしいんでありんすね。」


「やっぱり…これがないと思う存分狂えないもんね!分かってるじゃんか!!」


 そして、力を戻した四天王や瑠偉を見たシュシュは少し驚いている。


「おー!Cクラスとかしかなかったのに、力が戻ればSクラスを大きく上回ったね!やるじゃないか!」


「うるせぇ!俺はもう行く!そっちは勝手にやってろ!」


 そう言うと、レイヴァンはネネ達の居る方向へと走っていった。


「私もアルマの所に行くわ。やられそうになっても助けになんか行かないからね。」


「ほっ!コウモリ女が言いよるわ!まぁ儂は勇者の剣技をしかと堪能してくるわい。」


「あたしも楽しくなりそうな感じになってきたし!じゃあみんなファイトー!」


 こうして、四大魔王はそれぞれが相手をしたい元の所へと向かう。

 その様子を見ていたイリスは、自分ですら読めないこの先の展開に大きな不安を抱えるが、今はこうするように指示したセリーナを信じるしかなかった。


「後は、セリーナ様が仕掛けていたと言われていたものを発動させなければ…。上手くいけば良いのですが…。」


 イリスは、それぞれの戦いが始まりそうなのを確認すると、地面に魔法陣を描き始める。


 そして、アルマ達の前にローゼン、ラヴィ達にはシャクレン、ヨルカ達はシュシュ、ネネ達には再びレイヴァンが立ちはだかる。


 そんな中、始まりの合図を告げるように、イリスの作った魔法陣から花火のような光が打ち上げられた。

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