7 最後の一人を求めて
それから一週間後。龍太郎たちは焦っていた。なぜならクワトロフォース最後のメンバー、すなわち玄武が決まらないからである。作戦室で皆がうなだれていた。
これまで通りのビラ配り、さらにはSNSでの発信も行っているが、好ましい人材は一向に現れない。装備一式を準備する都合上。デビュー一週間前までには何とかしなければいけなかった。
困り果てて、龍太郎は井村にも協力を仰いだ。井村も伝手を使って探してくれるとのことだったが、今のところ何の音沙汰もない。
「やべーな、どうしたもんか……」
「指揮官、いっそもう誰でもいいんじゃ……」
「駄目ですよ空。それじゃ後で後悔します」
美羽が空をたしなめる。この一週間の間に、龍太郎は美羽の提案により、クワトロフォースの「指揮官」となった。クワトロフォースが現場に出る際、自身がナビゲートを務めるからだ。
「んー。指揮官、とりあえずお昼食べない?みんなでみなとや食堂行こうよ」
「あー、あり。全然あり。行くか」
龍太郎の声と同時に皆が立ち上がる。しかし時計を見ると、時刻はまだ十一時半。昼休みまではもう三十分だ。
「まだ十一時半かよ……あと三十分あるよ……」
再び座る一同。
「はい、妙案ある人ー。……ないよねー。はーあ、もういっそかなやんに頼んでみたらよくない?」
かなやん、というのは佳奈巳のことである。
「……志麻子、それ、ありだな」
「……うそ、マジで?」
「事務方のことがわかる現場の人間って貴重だろ」
「……えぇ!?私が玄武に!?」
佳奈巳の反応は龍太郎の予想通りだった。
「無理だよそんなの。井村さんも探してくれるっていうんだから、今は待つしかないでしょ」
「それだってあの井村さんだぞ。あの人はいい人だが、人を見る目はない。前の三人の件ではっきりしてる」
龍太郎は声をひそめて言った。
「……もし、もしだよ?私が玄武になったとして……盾を構えるだけでいいんだよね?あとは水をかけたりとか、凍らせたりとか、玄武ならそれだけだよね」
「……うん。こういう言い方するのもアレだけど、玄武はやることが一番単純で、動きも少ない。攻撃には向かないから」
「……じゃあさ、もし、もし誰もいい人見つからなかったら、そのときは私、やる」
そこへ、龍太郎のスマートフォンに着信があった。井村だ。
「……はい、周防です」
「あぁ周防くん?お疲れ様。玄武なんだけどさ、実は知り合いの伝手で、一人、見つかったんだよね」
「……本当ですか」
「うん。時間はとれるっていうから、明日、事務所に来てもらうように言っといたから。よろしくね」
龍太郎は通話を切る。佳奈巳が心配そうな顔で龍太郎を見た。
「……見つかったの?」
「まぁ、一応。明日来るってさ。マトモな人だといいけど」
「そっか。私の出番、なかったね」
龍太郎は天井を見つめながら、顔をしかめた。
「……どうかな……」




