2 羽ばたき
「美羽!」
龍太郎が作戦室の扉を開けると、中では美羽がひとり、椅子に座ってしょぼくれていた。
「あ、周防さん……お疲れ様です」
「……あ、お疲れ様です」
かける言葉が見当たらず、龍太郎はほとんどオウム返しになってしまった。
「ごめんなさい、私のせいでこんなことに……」
「え?いやそれはない。……事情は聞いたよ、悪いのは……あいつらの方だ」
井村から聞いた話によれば、美羽が「自分の身の安全を第一にする」「必ず生きて帰る」ことをチームの方針として主張したが、砂田を中心に他三名は反発。そこからさらに口論が激化し、三人は脱退してしまったのだそうだ。
「安全第一が間違ってるもんか。ヒーローが生きてなきゃ、誰も助けられんっちゅーに」
「ごめんなさい周防さん、このままじゃこの会社は……」
否定してやりたいところだが、実際問題、クワトロフォースには社運がかかっていた。このままではすべてが丸潰れになるだけである。
「……俺がなんとかするしかねぇか」
「……え?」
龍太郎は大きく息を吐いて、ネクタイを力いっぱい閉めなおした。残ってくれた美羽のためにも、龍太郎はここで諦める気にはなれなかったのだ。
「残りのメンバーは、俺がなんとかする。必ず集める。美羽のここまでの頑張りは無駄にさせない。だから……」
美羽は潤んだ瞳で龍太郎を見つめる。
「……申し訳ないんだけど、勧誘一緒にやってくれない?」
美羽はその言葉に、一瞬目を丸くしたあと、ぷ、噴き出した。
「……ふふ、わかりました。私も一緒にやります。私もこんなところで諦めたくないですから」
二人は立ち上がると、作戦室を飛び出した。




