13 不意打ち上等!
「はい、ということで今私は、新ヒーローのデビュー戦が行われる採石場に来ております。果たしてどんなヒーローが見られるのか――」
アナウンサーの背後には、見渡す限りの砂利と岩壁があった。
「……あ!見てください!怪人です!怪人が現れました!背中に巨大な大砲があります!まず最初に戦うのは、あのプロミネンスエンタープライズの子会社、アストラルプロダクションのクワトロフォースです!いったいどんなバトルを見せてくれるのでしょうか!」
怪人は腕を振り回しながら叫ぶ。
「さぁかかってこいヒーロー!この俺が倒してやる!」
ちなみに、この怪人はプロミネンスエンタープライズが今日のために作った新造のヴィランスーツである。中には長年こうしたイベントで怪人に入ってきた、プロのスーツアクターが入っていた。
「……おい、ヒーローはどこだ?」
しかしヒーローはなかなか現れず、怪人は振り返るが、どこにもヒーローの姿は見当たらない。するとその背中に、複数の火の玉が直撃した。それは赤のスーツに翼の意匠のヘルメット―—朱雀が放ったものだった。
「痛っ!そこか!」
怪人は振り向き、朱雀の方に大砲を向け、発射した。煙が巻き起こり、一瞬遅れて轟音が響く。
「始まりました!怪人がヒーローに向かって大砲を撃ちました!無事なのでしょうか!」
煙が晴れると、そこには巨大な黒い盾を構えた、真っ黒なスーツのヒーローが立っていた。頭部を覆うヘルメットには、甲羅の意匠が施されている。玄武だ。
「なにぃ!?」
すると今度は怪人の足元から、しゅるしゅると木の根が生えてきて、その足に巻き付いていく。怪人の斜め後方、砂利の山の上には、緑のヒーローが銃を構えていた。ヘルメットには龍の髭の意匠が施されている。
青龍が銃から発射したのは、植物の種だった。青龍は植物を操る力で、怪人の足元に木の根を生やしていたのだ。
「くそっ!動けん!」
その背後から忍び寄るのは、白のスーツ。ヘルメットには虎の耳の意匠があった。
「それっ!」
「うおっ!?」
白虎が背後から爪の一撃を喰らわせる。白虎の右手には、手甲型の大きな爪が装着されていた。怪人は攻撃をもろに喰らい、前のめりに倒れる。
「いただきっ!」
白虎はそのまま怪人の背に跨り、ジッパーを下げる。中に手を突っ込むと、スーツアクターを引きずり出した。
「……え、終わり?」
アナウンサーは周囲のスタッフに確認を取った後、マイクを握りなおした。
「は、はい!アストラルプロダクションのクワトロフォース、怪人を倒し、以上で終了のようです!は、早い!ここまでたった二十秒です!」




